Max Ionata, Clarence Penn, Reuben Rogers / Kind of Trio

Max Ionata(Ts)
Clarence Penn(Ds)
Reuben Rogers(B)
Rec. March 22-25, 2011, Rome
(Via Veneto Jazz VVJ074)

マックス・イオナータがルーベン・ロジャース、クラレンス・ペンの強力リズム隊と共演するのは、「Scannapieco,Ionata,Rogers,Penn/Tenor Legacy(09年、別頁あり)」以来。またもやコード楽器レスで、いったいどんなことになっているのだろうと非常にワクワクするというのに、昨年のリリース時点でAmazonはダウンロード販売だけだったので、CDの入手をあきらめかけていたところ、ディスクユニオンで取り扱いを始めたので即購入した。でも注文した後に分かったけど、HMVでも扱っていて(Max Ionataではなく、Kind of Trioで検索しないと引っ掛からない)、しかも値段が400円近くも安いんだよね(苦笑)。送料も考えると700円ぐらい違うわけなので、完全に注文先を誤まってしまったのだが、HMVだとマルチバイの抱き合わせ品の関係で、入荷が5月や6月になってしまうのが確実なので、これで良しとしておこう。

イオナータ曲が4曲、ペン曲が4曲、ロジャース曲が1曲、ガレスピーの「Con Alma」、エンニオ・モリコーネの「Nuovo Cinema Paradiso - Love Theme」で全11曲。
1曲目は腹八分目といった感じの意外とあっさりした演奏で(特にイオナータが肩の力を抜きすぎている)、なんだこの程度かと思ってしまうのだが、2曲目「Con Alma」の中盤からは俄然エンジンがかかり、その流れで3曲目のミディアム・ファーストのブルース曲へと突入しているので、そういう思いもどこかに吹き飛んでしまう。はやりこのようなハードな演奏をしてもらわないと、このメンバーでやる意味がないんだよね。とはいえイオナータはむしろ他のリーダー作の方がもっと吹きまくっているような気がしないでもない。その分ロジャースとペンが本領を発揮してガンガンいっているので、特にもの足りないと感じることはないのだが、3人が対等な立場でのトリオとはいえ、イオナータはもう少しアグレッシブに攻めた方がバランスが取れたのではと思う。でもロジャースは逞しいベースラインとソロで終始存在感たっぷりに聴かせてくれるし、ペンもまた思いっきり自己主張しながら叩いているので、リズム隊好きの私としてはこれで充分だけどね。そのような演奏スタイルは4曲目5曲目と曲が進んでいっても大きく変わることはないので、ますますイオナータの影が薄いように感じてしまうのだが、ロジャースとペンがあまりにも強力すぎるので(ソロの見せ場もたっぷりと用意されている)、そんなことも聴いているうちにどうでもよくなる。
ということでサックス・トリオというよりも、リズム隊の2人をメインとして、そこにサックスが加わっているような印象を受けるのだが、もちろんイオナータもいくときにはガンガンいっているし、バラード系の曲は当然ながらサックスが主役なので、主従が逆転しているわけでは決してないことだけは念のために記しておこう。コードとテンポはきちんとしてながらも比較的ラフな曲作りのおかげで、いかにもコード楽器レスのトリオらしい自由度の高い演奏が楽しめるし、曲によっての動と静のバランスも抜群にいい。また録音も、特にベースが生々しく録れていて上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)