Ulysses Owens Jr. / Unanimous

Ulysses Owens Jr.(Ds)
Nicholas Payton(Tp)1,2,3,4,5
Michael Dease(Tb)1,2
Jaleel Shaw(As)1,2,5,6
Christian Sands(P)
Christian McBride(B)
Rec. October 19, 2011, NY
(Criss Cross 1342)

クリスチャン・マクブライドの秘蔵っ子的存在のユリシーズ・オウエンスJrの初リーダー作。かと思ったら「Ulysses Owens Jr. / It's Time For U」というのも2009年にリリースされているんだね。初聴きだった「Antonio Ciacca Quintet with Grossman/Lagos Blues(10年、別頁あり)」の記事にも、そのことはちゃんと自分で書いていた(苦笑)。それはさておき、「Lagos Blues」でのオウエンスはドラムソロがまだまだといった印象だったのだが、その後にYouTubeに上がっている映像を見たり、「Christian McBride Big Band / The Good Feeling(11年、別頁あり)」を聴いたりして、その著しい上達に感心していた次第。そんなところに登場したのが本作なので期待に胸が膨らむのだが、オウエンスだけではなくマクブライドからの口利きもあったと思われるメンバーもまた、もはやベテランの域に達しているニコラス・ペイトンは別格として、マイケル・ディース(「Michael Dease/Grace(10年)」別頁あり)、ジャリール・ショウ(「Jaleel Shaw/Peaspective(05年)」別頁あり、先日聴いたばかりの「Johnathan Blake / The Eleventh Hour(12年、別頁あり)」でのプレイも素晴らしかった)、クリスチャン・サンズ(「Christian Sands/Risin'(08年)」別頁あり)と、若手の活きのいいどころが揃っているのだから大いにそそられる。

オウエンス曲が1曲、ディース曲が1曲、マクブライド曲が1曲、ガレスピーの「Con Alma」、ショーターの「E.S.P.」、モーガンの「Party Time」、レイ・ノーブルの「Cherokee」他で全9曲。
1~2曲目が3管、5曲目が2管、3~4曲目と6曲目がワンホーン、7曲目以降はピアノトリオと、曲によって編成を変えながらの演奏。曲調もまた3管や2管はハードバップ調、ワンホーンやピアノトリオの方はモード等の別の要素も取り入れているのだが(ビート的には4ビートが中心)、その中でもペイトンがフロントを受け持っているモーダルな3曲目「E.S.P.」が滅茶苦茶カッコいい。近年のペイトンからは昔のようなワイルドさがあまり感じられなかったけど、ここでのプレイには気合が入りまくっていて実にいい塩梅。マイルス絡みの曲なのでヘタなことはできないと思ったのかもしれないが、それ以上にきっとバンドの気迫に後押しされたのだろう。何せ出だしからして、オウエンスがパワフルなドラムソロで容赦なくいっているからね。オウエンスは他の曲でもバラード曲以外は非常にパワフルかつスピーディーなドラミングがよく目立っていて、それが他のメンバーの闘争心にも火をつけている。こういうのを聴いてしまうと、いつも練習や本番時に音量バランスのことばかり考えて、小音量でちまちま叩いている自分が情けなくなってしまう。そんなオウエンスの若さに満ち溢れたパンチの効いたドラミングにばかりついつい耳が向いてしまうのだが(ドラムソロもたっぷりあり)、メンバー各人もなかなかの仕事ぶりをみせていて、中でもサンズはミディアム・テンポの曲ではいい感じにレイドバックしながら黒っぽさを醸し出しているのはリーダー作「Risin'」ともそんなに変わらないとして、「E.S.P.」のようなアップテンポの曲ではまたアプローチをガラリと変えているのだから、その引き出しの多さや、どんな曲調にも応じえるテクニックの確かさには感心してしまう。また速いパッセージで攻めているディースもさすが。そしてなんといってもマクブライドの相変わらずの上手さには惚れ惚れする。楽曲的には3曲目「E.S.P.」がわたし的には一番好きなのだが、オウエンス曲の6曲目「Beardom X」のベースラインは「至上の愛パート1」的ながらも、テーマのアルトのメロディーには「In The Mood」を連想させる部分があるのが微笑ましいし、テーマ隠しでやっている7曲目「Cherokee」での超アップテンポな演奏も素晴らしい。といってもこの速さで最後までやるのは至難の業なので、半テンの3拍子になっている部分もあるのだが、それがまた曲中でのメリハリにも繋がっている。それとマクブライド曲の9曲目「Cute and Sixy」は6/4拍子がトリッキーに聞こえるのが面白い。
現代ジャズのような小難しさは感じられないストレートな演奏には非常に好感が持てるし(現在ジャズも大好きだけど)、オウエンスの特性を生かしてドラムスの音が力感たっぷりに録れている録音も上々だね。さすがにマイケル・マルシアーノだけのことはある。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)