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日時 7月30日(土) 開場12:00  開演13:20  終了21:00
会場 カッコーの森エコーランド 野外ステージ(八戸市南郷区内)
前売券 一般4,500円(当日券5,500円) 中高生2,500円(当日券3,500円) 小学生以下無料
全席自由席
主催 南郷ジャズフェスティバル実行委員会

オープニング 類家心平スペシャルビッグバンド&中沢中学校ジャズバンド部
地元八戸出身の類家心平と、スイングベリー・ジャズ・オーケストラ、中沢中学校ジャズバンド部の共演。類家心平はプロなので当然として、八戸のアマチュア・ミュージシャンもレベルが高いので、安心して聴いていることができた。

第1部 寺久保エレナ・カルテット
<寺久保エレナ(As)、大林武司(P)、中村健吾(B)、マーク・ホイットフィールドJr.(Ds)>
今年高校を卒業したばかりの寺久保エレナ(19歳)の演奏は、昨年の東京ジャズ2010をテレビで観たことがあるぐらいでCDは聴いたことがなかったのだが、想像していたのよりもアグレッシブに吹いているのには好感が持てた。9月にはバークリー音楽院に留学するそうなので、きっと多くのものを吸収してますます上手くなるのは確実だろう。日本の女性アルト奏者から世界のアルト奏者に成長することを願っている。共演者ではマーク・ホイットフィールドの息子のホイットフィールドJr.(21歳)の、あらゆるテクニックをマスターしているメリハリの効いたドラミングが最高にカッコよかった。また中村健吾は当然として、ホイットフィールドJr.と同様に今年バークリーを卒業したばかりの大林武司(24歳)の上手さもきらりと光っていた。

第2部 平賀マリカ
<平賀マリカ(Vo)、荒武裕一朗(P)、生沼邦夫(B)、力武誠(Ds)>
平賀マリカはエリック・アレキサンダー、マンハッタン・ジャズ・クインテット、ギル・ゴールドスタイン等海外の一流ミュージシャンとレコーディングしているだけあって、その堂々たる歌いっぷりには感心した。とはいえジャズヴォーカルを好んでは聴かない私としては、バックの3人の方がより魅力的だったけどね。その中でもサンバ調の曲における力武誠の現地のリズムに近いドラミングは見ものだった。また歌バンだからといって単に耳当たりのいいバッキングに徹するのではなく、場合によっては容赦なくガツンといっていいことも、趣味でバンドをやっている身としては本トリオから改めて教わった。

第3部 5 Cats & Woong San
<太田剣(As)、鈴木央紹(Ts)、ハクエイキム(P)、日野JINO賢二(El-B)、大槻"KALTA"英宣(Ds)、Woong San(Vo)>
今回のプログラムで最も注目していたのがこのバンド。鈴木央紹以外は過去にも観たことがある面々なのだが、その中でも大槻"KALTA"英宣は会場で用意したドラムセットを叩いているのにもかかわらずより一段とアグレッシブになっていて、その凄すぎるドラミングにはあんぐりと開いた口が塞がらなかった。また2人のサックスもノリノリで聴かせてくれたし、ハクエイキムも日本人離れしたフレーズがきらりと光っているし、日野JINO賢二のバンドの統率力も強力なプレイ共々大したもの。それに加えて韓国のWoong Sanの歌唱力もこれこそが本物といった感じで、満足度100パーセントの演奏だった。

第4部 Fried Pride
<Shiho(Vo)、横田明紀男(G)>
Fried PrideはCDも何枚か持っているけれど、やはりライブの方がより楽しめた。演奏面ばかりではなくコール・アンド・レスポンス等観客の乗せ方も非常に上手だし(最後の方では客席の全員が総立ちだった)、普段はShihoのヴォーカルに細心の注意を払いながらも自分のプレイに没頭している感のある横田明紀男が、今回は積極的にMCをしたりして大いに楽しませてくれた。また選曲も最高だったね。デュオ結成のヒントになったと思われる本家のタック&パティは最近音沙汰がない中、Fried Prideは貴重な存在なので、さらなる躍進を願っている。

第5部 日野皓正カルテット+日野JINO賢二
<日野皓正(Tp)、石井彰(P)、須川崇志(Ac-B)、日野JINO賢二(El-B)、田中徳崇(Ds)>
プログラムには日野JINO賢二の名前が載っていなかったので、日野皓正との親子共演(賢二はゲストとしてではなく、最初からレギュラーメンバーとして参加していた)を観れたのがまず嬉しかった。最新作「Aftershock」は聴いていないのでいったいどういう音楽をやるのか興味津々だったのだが、その場の状況に応じてヒノテルの指示一つでどんどん演奏が変わっていく、いい意味でマイルスの影響が感じられるような緊張感漂うスリリングな展開がカッコよかった。賢二のラップまでをも取り入れながらの(それに対抗してヒノテルもラップしたり、ノリのいいビートではダンスしたりのはしゃぎっぷり)手法は現代的ではありながらも、やっていることは紛れもなく日本のジャズだというのにはむしろ潔さを感じた。面白かったのはヒノテルがトランペットを吹くとき以外に叩いていたカウベルやマラカスを、ピアノの開口部に全部突っ込んでしまった場面。一瞬困った石井彰だけど、その状況をきちんと乗り切ったのはさすがだった。今回が初体験の須川崇志と田中徳崇は顔がよく似ていたけれど、兄弟ではないんだね。2人ともさすがにヒノテルのバンドに参加できるだけあって、ここぞというときにはインパクトのあるプレイで聴かせてくれた。

第6部 マンハッタン・ジャズ・クインテット
<David Matthews(P)、Walter White(Tp)、Chris Hunter(As, Ts)、Jon Burr(B)、Jimmy Madison(Ds)>
デヴィッド・マシューズ以外はメンバー一新のマンハッタン・ジャズ・クインテットだけど(その理由はなんとなく想像がつく)、マシューズがアレンジした譜面で演奏する限りにおいては、誰がメンバーであろうと紛れもないMJQなのに変りはない。今回は特にクリス・ハンターの上手さが際立っていて、アルトだけではなくテナーでのプレイも実に素晴らしかった。またそれに対抗するウォルター・ホワイトもハイノート・ヒッターといった感じで、パワフルに吹きまくっているのが印象的だった。マシューズの古くからの盟友ジミー・マディソンは、はたして4ビートはどうかなと観る前は思っていたけれど、ちゃんと無難にこなしていたので安心した。マシューズのMCにおける冗談を交えながらの相変わらずの日本語の堪能さには、演奏以上に感心したりもするのだが、八戸三社大祭の囃子(?)をジャズアレンジで披露したサービス精神にも大いに感銘を受けた。舞台袖にいた人はもしかすると川島重行プロデューサーかな?MJQのアルバムは「Take The A Train(04年)」以来久しく買っていないけど、ハンターのプレイを聴くだけでも価値があるので、次回作はぜひとも買ってみようと思う。

MJQの演奏終了後は、MJQに日野皓正バンド、Fried Pride、平賀マリカも加わっての大ジャムセッションで盛り上がり。今年の南郷ジャズフェスもとても楽しかった。ただし年々厳しくなっているカメラ撮影や録音行為の禁止については、ミュージシャン側からすると当然かもしれないけれど、スマフォやケータイからでも簡単にYouTube等に動画をアップできてしまう(それもほとんどリアルタイムで)今の時代にはそぐわないような気がする。デジカメやレコーダーは禁止で、それらと同じぐらいに高性能になっているスマフォやケータイに関してはその限りではないのであれば、持ち物検査をしても意味がないだろう。この際フラッシュ禁止ぐらいに留めておいて、想い出を記録として残せるような体制をとってもいいのではと思う。