Julian Lage Group / Gladwell

Julian Lage(Ac-G, El-G)
Dan Blake(Ts, Melodica)
Aristides Rivas(Cello)
Jorge Roeder(Ac-B)
Tupac Mantilla(Ds, Per)
Rec. August 12-14, September 29, December 10-11, 2010, Boston
(Emarcy 2765660)

今日の室温も36度。連日の猛暑で早くもグロッキー状態だけど、アコースティック・ギターがメインの本作だったらきっと大丈夫だろう。ジュリアン・レイジの「Julian Lage/Sounding Point(09年、別頁あり)」に続く2枚目のリーダー作なのだが、本作もまたそれと同じような編成で静的な感じがしたので、実は買おうかどうしようかずっと迷っていた次第。でもサイド参加の近作「Eric Harland / Voyager: Live by Night(10年、別頁あり)」や「The New Gary Burton Quartet / Common Ground(11年、別頁あり)」では最高の仕事をしているので、やっぱりオッカケしなくてはと思い、遅ればせながらようやく購入した。メンバーをよく見たら、前作でのクラシック的な弱々しい響きが好きでなかったアルトのベン・ロゼス(?)に代わり、今回はテナー奏者が参加しているのでラッキー。前作から引き続いてのアリスティデス・リヴァス(?)、ホルヘ・ローダー(ジョルジ・ローダー?、「Richie Barshay/Homework(07年、別頁あり)」にも参加していた)、トゥパック・マンティラ(?)もそうだと思うけど、このダン・ブレイクもまたおそらくバークリー時代の仲間なのだろう。

レイジ曲が9曲、ブレイク曲が1曲、「枯葉」他で全12曲。
前作と同様の室内楽的なサウンドではあるも、1曲目からしてスパニッシュ調のイケイケな演奏だし、今回はマンティラがカホンのようなパーカッションばかりではなく、場面によってはドラムセット的なものも用いているので、けっこう動的に感じる。曲中でのダイナミックスなんかもいい塩梅なのだが、基本的にはレイジのワンマンな演奏で、テナーのマンティラの見せ場はそこそこあるにしても、普通のジャズのようにメンバー各人のアドリブで聴かせるというのとはちょっとわけが違うので、その辺は気持ちを切り替えて聴く必要があるだろう。その代りレイジのギターの上手さはたっぷりと堪能できるけどね。中にはギターだけのソロや多重録音の曲もあったりして、クラシックやスパニッシュ的なものをベースにあらゆる技を駆使しながら弾いているアコースティック・ギターの音色がなんとも身体に心地いい。前作や「The New Gary Burton Quartet / Common Ground」でも同じような路線で弾いているけれど、それでいながら「Eric Harland / Voyager: Live by Night」ではエレギでアグレッシブに弾きまくっているのだから、レイジの引き出しの多さには感心する。ただしリーダー作の2枚に関しては、私の好みに完全に合致しているというわけではなく、どちらかというとBGM的に聴いてしまう類の音楽なのでそろそろこの辺でやめにして、できればエレギ主体で行ってほしいと思っているけどね。当然ながらメンバーも大幅に代える必要があるのだが、どちらの方向性も持っているレイジのことなので、今のアコースティックなサウンドに飽きた段階で黙ってもそっちの方向に進むだろうと楽観視している。
それにしても本当に暑い日は、どんな音楽を聴いても暑いのに変りはないね。本作が一服の清涼剤というわけにはいかなかった。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)