Orrin Evans / Captain Black Big Band

Luke Brandon, Daud EL-Bakara, Josh Evans, Tatum Greenblatt, Leon Jordan,Jr, Brian Kilpatrick, Curtis Taylor, Tim Thompson, Jack Walrath, Walter White(Tp)
Stafford Hunter, Frank Lacy, Joe McDonough, Ernest Stuart, Brent White(Tb)
Mark Allen, Chelsea Baratz, Todd Bashore, Ralph Bowen, Wade Dean, Doug DeHays, Wayne Escoffery, Tia Fuller, Rob Landham, Victor North, Jaleel Shaw, Tim Warfield, Darryl Yokley(Sax)
Mark Allen, Todd Marcus(B-Cl)
Orrin Evans, Jim Holton, Neil Podgurski(P)
Mike Boone, Luques Curtis, Mark Przybylowski(B)
Anwar Marshall, Donald Edwards(7), Gene Jackson(2,6)(Ds)
Rec. Track 1(Feblary 19, 2010, Chris' Jazz Cafe, Philadelphia), Tracks 2 and 4-6(April 2, 2010, The Jazz Gallery, NY), Track 3(April 3, 2010, The Jazz Gallery, NY)
(Posi-Tone Records PR8078)

昨日に引き続きのオリン・エヴァンス聴き。こちらの方は初となるビッグバンド作品でしかもライブ盤なので、いったいどういうことになっているのかワクワクする。バンド名が何故にCaptain Blackかと思ったら、過去作品にも「Orrin Evans Ortet/Captain Black(98年)」(2曲目の曲名がアルバム・タイトルとなっている)というのがあるし、この曲は他にも「Orrin Evans/Easy Now(05年、別頁あり)」に収録されていて、それがそのままバンド名となっているんだね。日にちや場所を変えての3回のライブ収録なので、人数が多くて書くだけでも大変な本ビッグバンドのメンバーは、これまでのエヴァンスのアルバムにも参加していたラルフ・ボウエンやティム・ウォーフィールドの他に名前を知っているのは、トッド・バショア、ウェイン・エスコフェリー、ジャリール・ショウ、ルケス・カーティス、ドラルド・エドワーズ、ジーン・ジャクソン、そして昨日の「Orrin Evans / Freedom」にも参加していたアンウォー・マーシャル(?)ぐらい。でも自ブログで検索すれば、他にも何人かは引っ掛かると思う。ピアノが3人いるということは、エヴァンスが指揮に専念している曲もあるのかもしれない。

「Captain Black」を含むエヴァンス曲が4曲、かつてのボス的存在だったラルフ・ピーターソン、メンバーのトッド・マーカス、なぜかジャンルカ・レンツィ曲が各1曲で全7曲。アレンジはエヴァンスが1曲だけで、他はトッド・バショア、マーカス、レンツィが担当している。
ライブということも相まって、ミンガス・ビッグバンドのように汗を感じるサウンドなのがまずいいね。ブラス・アンサンブルはうねりのようなものを伴いながらパワフルに迫ってくるし、「Orrin Evans / Freedom」では少々派手さに欠けていたアンウォー・マーシャルも、ここではダイナミックなドラミングを見せていて(3、4曲目ではソロもあり)、どの曲においても豪快で元気いっぱいの演奏が繰り広げられている。エヴァンスはカウント・ベイシーやデューク・エリントン的な役割に徹していて、アドリブを取っているのはわずか1曲(2曲目)だけなので、彼のピアノに期待していると肩すかしを喰らってしまうかもしれないが、その穴埋めを他のソロイストが補っていて、各人とも熱いプレイでガンガンいっているので、そんなことはどうでもよくなってくる。その演奏は伝統的なビッグバンドの手法に則っていて、オーソドックスな4ビートできちんと勝負しているのがむしろ潔い。小難しさのない、ジャズが好きな人であれば誰か聴いても分かりやすい演奏なので(7曲目だけはフリー調の部分もあるが)、お客さんはかなりの盛り上がりを見せているし、私とても終始ノリノリになってしまい、なかなか思うようには筆が進まないのだが、その演奏には何も問題がないとして、録音はブラスセクションが大きな固まりになってしまっていてイマイチ。でもそれがメンバーが一丸となってのパワー感に繋がっているし、そんなに広くない会場でビッグバンドを録音するには限界があると思うので、これでよしとしておこう。
それにしてもエヴァンスは、特に自分を前面に打ち出したプレイをしているわけでもないし、ビッグバンド用の編曲もほとんどが他人任せだというのに、堂々とリーダーを張っているのだからだから大したものだね。きっとそれだけの資質を持っているからだと思うけど、彼が一声掛けるだけでやり手のメンバー(特に各曲でのソロイストが素晴らしい)が集結している人望の厚さには感心する。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)