Sean Jones / No Need for Words

Sean Jones(Tp)
Brian Hogans(As, Strings)
Orrin Evans(P, Key)
Obed Calvaire(Ds)
Luques Curtis(B)
Kahlil Kwame Bell(Per)2,7,8
Corey Henry(Or)8
Matt Stevens(G)7
Rec. 2010?, NY
(Mack Avenue MAC1057)

「Sean Jones/Eternal Journey(04年、別頁あり)」「Sean Jones/Gemini(05年、別頁あり)」以来すっかりご無沙汰だったショーン・ジョーンズだけど、その間にも「Sean Jones/Roots(07年)」「同/Kaleidoscope(07年)」「同/Search Within(09年)」がリリースされていたんだね。メンバーがいいのにどうして買わなかったのだろう。本作はそれらにも参加している(3枚全部にというわけではないが)ブライアン・ホーガンズ(?)、オリン・エヴァンス、ルケス・カーティス、オベッド・カルヴェールを核としたニュー・レコーディングなので、きっとバンドとしてもますますいい感じに仕上がっていることだろう。今回が初聴きのアルトのホーガンズは、All About Jazzによると1982年生まれ。学生時代にダニー・ハーパー、バンキー・グリーン、ドン・ブレイドン、アントニオ・ハート、ジェームス・ウィリアムスから学んでいる他にBetty Carter's Jazz Ahead Programにも参加しているようだ。YouTubeを観るとどんな演奏にもきっちり対応できているので、本作でのプレイも楽しみにしている。またゲストで1曲に参加しているマット・スティーヴンスは、クリスチャン・スコットの「Christian Scott/Rewind That(06年、別頁あり)」「同/Live at Newport(08年、別頁あり)」「同/Yesterday You Said Tomorrow(10年、別頁あり)」でのプレイが記憶に新しい。

ジョーンズ曲が7曲と、ホーガンズ曲が1曲で全8曲。
カルヴェールの強力なドラミングにプッシュされながら、若さに満ち溢れた活きのいい演奏が繰り広げられている。ビート的には、非4ビートと4ビートがほどよくミックスされているのがいい塩梅だね。聴きどころはなんといっても中高音域を中心に吹いている、ブリリアントという表現がピッタリのジョーンズのトランペットなのだが、ホーガンズとエヴァンスにも同等にスポットが当たっていて、決してジョーンズだけが前面には出てきていないのがこのバンドのいいところ。この辺はメンバーをほぼ固定しながら長年やってきた成果だろうね。もちろんジョーンズも、例えば5曲目のバラードのように、曲によっては自分のトランペットを最優先しているので聴き足りないといったことは全くない。アドリブのトップバッターをあえて受け持っていない曲が多いのは、メンバーに対する思いやりや気持ちの余裕の表れだろう。それに応えているホーガンズは、キャノンボール・アダレイやヴィンセント・ハーリングのような風貌とは異り、アルトの音は意外と細め。というか本作はアルトもトランペットもやけに音の線が細く録れていて、まるで出始めの頃のCDのようのにふくよかさが欠如している録音のせいで、せっかくのいい演奏が違和感のある音で聴こえてくる。エンジニアはフュージョン界の名手Don Murrayだけど、この手のジャズの録音には合わないような気がするね。でもピアノ、ベース、ドラムス、パーカッションは音の切れ味がいいし(バスドラは加工臭が強すぎるが)、他の曲とはサウンドの質感をガラリと変えている7曲目のフュージョン的な演奏にもよくマッチしているけどね。とはいえやはり主役は管楽器なので、イマイチ納得がいかない。と録音のことばかり書いていても仕方がないので話を戻すけど、ホーガンズは知性と野性味の両方を兼ね備えているようだし、8曲目ではサンボーン風にソウルフルな感じで吹いていたりもして、これはこれで悪くはないのだが、全体的には自分のスタイルをまだ確立できていないような印象を受ける。それとは逆に驚きなのがエヴァンスで、どれだけ引き出しが多い人なのか、他のバンドのときとはまた一味違ったコンテンポラリーなアプローチを見せているのには感心してしまう。またカーティスとカルヴェールも文句なしの仕事をしていて、私としてはこの3人とKahlil Kwame Bellのコンガを聴いているだけでも満足するね。ゲストのコーレイ・ヘンリー(?)とマット・スティーヴンスは味付け程度に参加しているだけなので、特にどうということはない。
本作は演奏自体はとてもいいのだが、録音が好ましくないので、ここは3つ星に抑えておく。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)