JD Allen Trio / Victory!

J.D. Allen(Ts)
Gregg August(B)
Rudy Royston(Ds)
Rec. August 27, 2010, NJ
(Sunnyside SSC1280)

J.D.アレンのサックストリオ作品「J.D. Allen/I Am I Am (08年)」「J.D. Allen Trio/Shine!(09年、別頁あり)」に続く、同一メンバー(ベースのグレッグ・オーガスト、ドラムスのルディ・ロイストン)による3枚目。前作ではむやみやたらと手数を多くして吹いてはいないアレンよりも、むしろ細かいフレーズでアグレッシブに攻めているロイストンの方がよく目立っていて、トリオとしてのバランスがイマイチだったのだが、その辺はきっと本人たちはお構いなしだと思うので、本作もまた各人のアプローチに大きな変化はないだろう。でもメンバーを固定してサックストリオ作品を3枚も立て続けにリリースするというのは、長いジャズの歴史の中でもなかなかないので、ある意味大したものだよね。この玄人受けしかしないような形態がよほど好きでないと、そうそうできるものではない。

アレンのオリジナルが11曲と、その他1曲で全12曲。
自分のペースを崩すことなく充分な間合いを取りながら吹いているアレン、エルヴィン・ジョーンズが乗り移ったかのような怒涛のドラミングを見せているロイストン、二人の間を取り持っているオーガストと、図式としては前作「J.D. Allen Trio/Shine!」とも変わらない。なので詳しいことはそちらの方を参照いただきたいのだが、本作の方がやけに良く感じるのは、このトリオのサウンドに慣れたのと、気分的なものも少しは関係しているのかもしれない。それとどの楽器も輪郭に丸みを持たせていながらも、骨太でガッツのあるジャズ的な音で録れていて、もうこの音の良さだけでも音楽に引き込まれてしまうってところもあるね。前作同様に曲数が多いけど(トータル37分というLP並みの短さで12曲もやっている)、その割には1曲1曲が短く感じることがないのは、それだけ演奏内容が充実しているおかげだろう。どの曲も奇をてらうことのない直球勝負の演奏で楽しませてくれる。アレンとロイストンの主従関係が逆転しているように感じるのは相変わらずではあるも、今回はオーガストのソロが増えているのに加えて、ベースの音も前面に出てきているので、その分トリオとしてのバランスは確実によくなっているね。さすがにこのトリオで長くやっているだけあって、バンドとしてのサウンドも強化されているし、自分たちがやりたい音楽はこれなのだという主張もビンビン伝わってくる。
ということで、前作とは違い本作には大いに好感が持てた。スタンダード曲は一切やっていないけれど、サックストリオの雛形的な演奏なので、同じ編成でやるときのアマチュアの人たちにとっても参考になるのではと思う。
それにしても最近のSunnyside盤は、先日の「Diego Barber / The Choice」もそうだったけど、ケースのCD収納部のボッチを押してもなかなか取り出せなくて、あやうくCDをパリンと割ってしまうところだった。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)