The Metropole Orkest feat. Pat Metheny / Live in Concert

Jim McNeely(Conductor)
The Metropole Orkest(Orchestration)
Special Guest: Pat Metheny(G)
Rec.2003, North Sea Jazz Festival
(Imv Blueline IMV002D)

2003年のNorth Sea Jazz Festivalでパット・メセニーとメトロポール・オーケストラが共演していることは、情報としては以前から知っていたのだが、その映像が今頃になってようやくDVD化された。オーケストラ側のメンバーは、作編曲・指揮を担当しているジム・マクニーリー以外はクレジットがないので不明だが、おそらく「Metropole Orkest, John Scofield, Vince Mendoza/54(10年、別頁あり)」とそんなに変わらないものと思われる。メセニーは自らがオーケストラ的な曲を書く人で、近作でも「Pat Metheny Group/The Way Up(05年、別頁あり)」や、それのライブDVD「Pat Metheny Group/The Way Up-Live(06年、別頁あり)」、あるいはソロ作品「Pat Metheny/Orchestrion(10年、別頁あり)」等は壮大なオーケストレーションが印象的だったのだが、本作では本格的なオーケストラとの共演で、楽曲ももちろん自分の曲ということで、これは相当入り込んだプレイが期待できそうだ。

「Introduction」「Proof」「Never Too Far Away」「Are You Going With Me?」「First Cicle」「Always And Forever」「Third Wind」「Into The Dream」「Minuano」「Conclusion」で全10トラック(曲としては全8曲)。
トータル79分。画面は4:3標準の上下に黒い切り込みを入れた疑似ワイド的なもの、音声も単なるステレオと旧式の映像規格だが、画質はきめ細かさには欠けるものの思ったほどは悪くないし、音質もまあまあ。ただし縦横比には難ありで、人物が縦長に映っているような感じがする。あと映像と音声が全ての場面でずれているので(映像がコンマ何秒遅れている)、観ていて気持ち悪くなってくるね。またトラック3(2曲目)、トラック5(4曲目)、トラック8(7曲目)には音声が途切れる部分が見受けられる。これらの点においてはもっときちんとした編集を心掛けてほしいものだが、そんな中において見たいところをきちんと捉えているスイッチングの的確さには唯一救われる。
演奏は1曲目から早くもメセニーが登場で、相変わらずのメセニー・ワールドを繰り広げている。よほど入念なリハーサルをしたとみえて、オーケストラ側と一体となっての一糸乱れぬ演奏が実に素晴らしい。マクニ―リーが手掛けている編曲も、原曲を変にいじくり回していなくて最高だね。そんな完璧なオーケストレーションをバックに、自らが昇華していくメセニーの熱演がなんといっても見ものなのだが、オーケストラの面々もドラムスのマタイン・ヴィンク(だと思う)を始めとして、管楽器やピアノのソロイスト達がなかなかの仕事ぶりを見せていて、これまでのメトロポール・オーケストラものの「Jim Beard/Revolutions(06年)」「Metropole Orkest, John Scofield, Vince Mendoza/54(10年)」「Metropole Orkest, Vince Mendoza / Fast City, A Tribute to Joe Zawinul(10年)」(各別頁あり)と同様に、超一流の演奏を楽しむことができる。なんかPMGのときよりも、こちらの方がより楽曲とマッチしていていい感じ。映像を見ないで目を閉じて聴いているだけでも、その素晴らしさはビンビン伝わってくるね。おそらくメセニー自身もメトロポール・オーケストラとの共演がよほど嬉しかったに違いない。私としても、これで映像面の問題さえなければ間違いなく5つ星にしていた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


メトロポール・オーケストラのメンバーを、ブログ仲間の秋田県民さんから教えていただいたので追記しておきます。

Vocal: Fay Lovsky.
Guitar: Peter Tiehus.
Piano and Synthesizer: Hans Vroomans.
Drums: Martijn Vink.
Percussion: Murk Jiskoot, Arie Den Boer, Jeroen De Rijk.
Trumpet: Wim Both, Jan Hollander, Henk Heijink, Jan Wessels.
Saxophone & Clarinet: Marc Scholten, Leo Janssen, Jos Beeren, Werner Janssen, Max Boeree.
Trombone: Jan Oosting, Ilja Reyngoud, Jeroen Rol, Martin Van Den Berg.
Flute: Janine Abbas, Mariel Van Den Bos.
Oboe: Martin De Ruiter.
French Horn: René Pagen.
Violin: Arlia De Ruiter, Sarah Koch, Linda Dumessie, Erica Korthals Altes, David Peijnenborgh, Seya Teeuwen,
Marleen De Bruin, Jan Pieter Coolwijk, Merijn Rombout, Herman Van Haaren, Wim Kok, Ruben Margarita,Elisabeth Liefkes-Cats,
Marianne Van Den Heuvel, Petra Griffioen, Erik Kromhout.
Viola: Mieke Honingh, Julia Jowett, Norman Jansen, Iris Schut, Arjen De Graaf.
Cello: Bastiaan Van Der Werf, Wim Grin, Emile Visser, Jasha Albracht.
Bass: Erik Winkelmann, Arend Liefkes, Tjeerd De Vos, Aram Kersbergen.