Noah Preminger / Before the Rain

Noah Preminger(Ts)
Frank Kimbrough(P)
John Hebert(B)
Matt Wilson(Ds)
Rec. August 1-2, 2007(?), NJ
(Palmetto PM2145)

マット・ウィルソン買い。ノア・プレミンガーを聴くのはこれが初めてなのだが、本作は「Noah Preminger / Dry Bridge Road(09年)」に続く2枚目のリーダー作のようだ。メンバーのフランク・キンブロウとジョン・ヘバート(所有CDでは「Pete McCann/Most Folks(07年、別頁あり)」に参加している)は前作から引き続き。そこにウィルソンも加わってのワンホーン・カルテットだが、私としてはプレミンガーがいったいどんな感じのテナー奏者なのかが興味深いと同時に、名前はよく知っているもののリーダー作は「Frank Kimbrough / Chant(98年)」しか所有しておらず、サイド参加でもほとんどお目にかかったことがないキンブロウが、はたして本作でどのようなプレイを繰り広げているのかも非常に楽しみにしている。プレミンガーの経歴等については本人のサイトが見つかったので、後でちゃんと目を通しておくとしよう。

プレミンガー曲が4曲、キンブロウ曲が2曲に、オーネットの「Toy Dance」やスタンダード系で全9曲。
うーん、いきなりバラードからのスタートで、しかもサブトーンでズルズルとまでやっちゃっているじゃないっすか。なんか想像していたのとは違うなあなんて思いながら聴いていると、2曲目(キンブロウ曲)ではオーネット的なフリーっぽいジャズをやっていたりなんかして、プレミンガーの本質がイマイチ見えてこない。確かにサックスは上手いし(メタリックではないテナーの音質にも好感が持てる)、キンブロウ以下のメンバーも自分の持ち味をきちんと発揮しているので、バンドとしてはそれなりに楽しむことができるんだけどね。でも3曲目もまた妙に悲しげなバラードだし、4曲目にしてようやくアップテンポの曲が登場するものの、これもまたフリー基調だし、5曲目はまた歌もの的なバラードと、テンポ的にも曲調的にも両極端な演奏ばかりが交互に続いていて、その中間点のないプレミンガーの音楽性には疑問を感じる。6曲目もまたまたバラード基調で、ドラムスだけが倍テン感覚で突き進んでいる一風変わった演奏。7曲目はオーネットの「Toy Dance」なので、当然ながらフリー基調。8曲目は昔のキース・ジャレットを連想させるような、バラードでありながらも16ビート基調なのでそこそこ動的な曲。ラストの9曲目もバラード曲で締め。と結局は最後まで同じような感じの曲進行になっているものだから、1曲1曲は決して悪くはないにしても、アルバムとしてはちぐはぐに感じてしまい、素直に受け入れることができなかった。モード、あるいはハードバピッシュなものを中心として、フリー的なものや、歌もののバラード曲も何曲か取り入れるのがバランスのとれたアルバム作りの基本だと思うので、プレミンガーは元来フリー志向の強い人なのかもしれないが(それでいながらガンガン吹きまくるようなアグレッシブさは希薄)、本作のようにバラードとフリーだけに変に執着している音楽の志向性は改める必要があるのではないかな。なにをやっても自由なのがジャズの一番の魅力ではあるけれど、今のままではこの先音楽で生活していくのは大変かもしれない。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)