Metropole Orkest, Vince Mendoza / Fast City, A Tribute to Joe Zawinil

Jim Beard(Key)
Victor Bailey(B)
Peter Erskine(Ds)
Amit Chatterjee(G, Voice)
Alex Acuna(Per)1, 4, 5, 7, 8, 9
Efrain Toro(Per)2, 3, 6
Vince Mendoza(Arranged, Conducted)
The Metropole Orkest (Concergebouw, Amsterdam)
Arlia de Ruiter, Vara Laporeva, Sarah Koch, Denis Koenders, Linda Dumessie, Erica Korthals Altes, David Peijnenbough, Pauline Terlouw(1st Violin)
Herman van Haaren, Wim Kok, Elizabeth Liefkes-Cats, Vara van der Bie, Polina Cekov, Erik Kromhout, Seija Teeuwen(2nd Violin)
Mieke Honingh, Norman Jansen, Julia Jowett, Iris Schut, Alex Welch(Viola)
Bastiaan van Werf, Emile Visser, Wim Grin, Winnyfred Beldman(Cello)
Erik Winkelmann, Arend Liefkes, Maaike Wierda(Contrabass)
Janine Abbas, Mariel van den Bos(Fl)
Marc Scholten, Paul van der Feen, Leo Janssen, Jos Beeren, Max Boeree(Sax, Cl)
Willem Luijt(Oboe), Wouter Brouwer(French Horn)
Derek Watkins, Henk Heijink, Jan Hollander, Ruud Breuls(Tp)
Bart van Lier, Jan Oosting, Jan Bestiani, Martin van den Berg(Tb)
Eddy Koopman, Frank Wardenier(Per)
Joke Sehonewille(Harp), Peter Tiehuis(G)
(North Sea Jazz Festivalの方はオーケストラ・メンバーに若干の変更あり)
Rec. Tracks 1, 4, 5, 7, 8 & 9, January 26, 2008, Concertgebuw, Amusterdam
Tracks 2, 3 & 6, North Sea Jazz Festival, July 11, 2008, Rotterdam
(BHM 1050)

「Metropole Orkest, John Scofield, Vince Mendoza/54(10年、別頁あり)」が最高だったヴィンス・メンドーサ指揮・編曲のメトロポール・オーケストラ。2ヶ所でのライブ盤の本作もまたジョー・ザヴィヌルへのトリビュート作品で、しかもヴィクター・ベイリー、ピーター・アースキン、アレックス・アカーニャといった、ウェザー・リポートに所縁の深い面々がリズム隊として参加している(アミット・チャタジーとエフレイン・トロは、ザヴィヌル・シンジケート側からの参加かな?)のだから非常にそそられる。ザヴィヌルの代役を務めるのはジム・ベアード。メトロポール・オーケストラとは自身の「Jim Beard/Revolutions(08年、別頁あり)」でも共演している。
メンドーサがアレンジを担当しているビッグバンドのザヴィヌルものは、ザヴィヌル本人とWDR Big Bandの共演盤「Joe Zawinul/Brown Street(06年、別頁あり)」(ベイリーとアカーニャも参加)がすでにあるのだが、本作の方はストリングスも加わったフルオーケストラ編成なので、その辺でサウンド的にどうなのかが興味深い。

ザヴィヌルの楽曲「Jungle Book」「Orient Express」「The Juggler」「Nubian Sundance」「Dream Clock」「Fast City」「Peace」「Tower Of Silence」「In A Silent Way」で全9曲。
1曲目はストリングス入りのオーケストラ編成を重視したクラシカルな曲構成だし、ヴォイスも曲の最後まで入っていて、この調子で全曲やられるとちょっとしんどいなと思ってしまうのだが、2曲目ではちゃんとリズム隊(ギターを含む)やブラスセクションが思った通りの活躍をしているのでホッとする。やはりこうでなくては「Joe Zawinul/Brown Street」との比較の対象にはならないんだよね。でもこの曲にもまたヴォイスが入っていて、実は本元のザヴィヌル・シンジケートをあまり好まなかったのもそれが理由だったのだが、せっかくここまで緻密なオーケストラ・アレンジをしているのだから、ヴォイス・パートもそんなに増やす必要はなかったのではと思う。とはいえこの妙にインド臭いヴォイスとオーケストラの絡みも、そこそこ魅力的ではあるけどね。3曲目は吹奏楽的な曲調。こういうのを聴くと、夏休みや冬休みまでも吹奏楽部の練習に明け暮れていた高校時代を思い出す。4曲目にしてようやく知っている曲が登場。この「Nubian Sundance」は「Weather Report/Mysterious Traveller(74 年)」の収録曲だけど、アースキンの単調な反復ビートが、むしろ原曲のイメージどおりでなかなかいい塩梅。またザヴィヌルが弾いていたフレーズ風なものを、オーケストラの各パートに振り分けているアレンジが絶妙だし、ベアードのザヴィヌルへのなり切りぶりもなかなかのもの。まあキーボードで本当にザヴィヌル的なカラーを前面に打ち出すのであれば、スコット・キンゼイの方が適任だと思うけどね。でも本企画はそういうのが趣旨ではないし(あくまでもオーケストラが主役)、そもそもメンドーサとキンゼイは交流がないと思われるのでこれで充分だろう。仕事請負人のベアードらしい、いい仕事をしていると思う。5曲目「Dream Clock」は「Weather Report/Night Passage(80年)」収録曲。さすがにビッグバンドだけあって、よりダイナミックな曲調に仕上がっているし、メロディーを受け持っているトランペッター(Derek Watkinsかな?)もよく健闘しているね。6曲目は同じく「Night Passage」からの「Fast City」。この曲は「Joe Zawinul/Brown Street」の方でもやっていたけれど、アレンジは同じなのかな。その辺を確かめてみようと思ったけれどCDを探せなかった。いずれにしてもこちらの方もまた高速ビートによるイケイケな演奏で、ここまでの楽曲中で最高の盛り上がりを見せている。中でもアースキンの頑張りぶりが何といっても素晴らしいね。
残りの曲は割愛するけれど、どの曲もザヴィヌル・トリビュートに相応しい演奏内容で、見事としかいいようがない。確か本来ならばザヴィヌル本人も参加する予定だったと以前何かで読んだ記憶があるのだが、追悼の意も込めたと思われる本演奏を聴いていると次第に胸が熱くなってくる。ラスト曲をザヴィヌルが事あるごとに演奏していた「In A Silent Way」で締めているのだからなおさらだね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)