Charnett Moffett(Ac-B, El-B, Piccolo El-B)
Casimir Liberski(P)1-6
Denardo Coleman(Ds)1, 5 Rodney Holms(Ds)2, 3, 4, 6 Max Moffett(Ds)8
Stanley Jordan(G)2, 3
Angela Moffett(Tamboura, Vo)1-4, 8, 9, 12 Max Moffett(Tablas)2, 11, 12
Oran Etkin(B-Cl)1, 3, 5 RJ Avallone(Tp)2 Irwin Hall(Ts)2 Anjana Roy(Sitar)4, 9
Amareia Moffett(Vo)4 Tomoko Sugawara(kugo Harp)9 Jana Herzen(Didgeridoo)8
Rec. October 19 & 23, 2009, NYC
(Motema Music MTM43)

ウッドにしてもエレベにしても、後から登場してきたクリスチャン・マクブライドに、美味しいところをみんな持っていかれてしまった感のあるチャーネット・モフェットではあるが、2001年の南郷ジャスフェスのケニー・ギャレット&チャーネット・モフェット・バンド(他のメンバーはカルロス・マッキーニ、ビリー・キルソン)で生で観たときにはさすがに凄かった。そんなチャ―ネットだけど、家族関係でミュージシャンになっている人はいったい何人いるのかというほどに、本作ではモフェット姓の参加がよく目立つ。この他にもコディ・モフェット(Ds)や、彼のアルバム「Cody Moffett/My Favorite Things(02年、別頁あり)」に参加していたMondre Moffett(Tp)がいるし、当然ながら父親のチャールズ・モフェット(Ds)のことも忘れてはならない。そんなモフェット・ファミリーの中で最も有名なチャ―ネットの、本作は「Charnett Moffett/Planet Home(95年★)」「同/Still Life(97年)」「同/Acoustic Trio(98年★)」「同/For The Love Of Peace(04年★)」「同/Internet(07年)」「同/Art Of Improvisation(09年)」に続く7枚目のリーダー作のようだ。そのうち私が所有しているのは、本作以外は★印の3枚だけ。好きなベーシストではあるが、そんなにオッカケしているわけではない。

全12曲がチャ―ネットのオリジナル。
曲によってはオーバーダブにより、ウッドやエレベでのベース・パートの他に、ソロパートを受け持っているエレベやピッコロベースも同時に聴こえてきたりして、ブライアン・ブロンバーグと同傾向のアルバム作りとなっている。といってもこちらの方はフュージョンではなく、もっとジャズ寄りのサウンドだけどね。バックでシタールやタブラがいい感じに鳴っている曲があったり、マッコイ・タイナーを連想するような雄大な感じの6/8拍子の曲があるかと思えば、純粋な4ビート曲や、オーネット・コールマン的な凶暴でフリーっぽい曲や、トルコかどこかの国の民謡的な曲調や、ウッドによる最初のアルコ部分はクラシカルながらも、途中からはスタンリー・クラーク的なアプローチを見せているベースソロや、同じような流れでのタブラとのデュオもあったりして、やりたいことの全てをこの1枚に凝縮しているような印象を受ける。それでいながら散漫に感じさせないのはさすがだし、基本的にはワンマンなプレイをしていながらも、これみよがしなテクニックでは攻めていないので(部分的には容赦なくいっているが)、決してくどく感じることのないチャ―ネットのベースもとてもいい塩梅。あとオラン・エトキン(?)のバスクラが曲によって効果的なのもグッドだし、カシーミール・リベルスキの楽曲によくマッチしたピアノの上手さも特筆ものだし、わずか2曲だけではあるがスタンリー・ジョーダンのギターが聴けるのも嬉しい。ただしロドニー・ホームズのドラミングだけは全然パワフルでもスピーディでもなくて(ドラムソロをやっているかと思えばブラシだし)、ちょっと期待外れだけどね。というかこれにはドラムスの音が奥に引っ込んでいる録音が大きく関係しているので、その辺の音的なことはもう少し工夫してほしかった。でもアルバムとしてはなかなかいい出来栄えだと思う。

評価☆☆☆☆ (☆ 最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)