Aaron Goldberg(P)
Reuben Rogers(B)
Eric Harland(Ds)
Mark Turner(Ts)1, 5, 9
Rec. August 2007, NY (Sunnyside SSC1232)

Aaron といえば、最近はアーロン・パークスの活躍ぶりがよく目立つのだが、このアーロン・ゴールドバーグの存在も忘れてはならないだろう。本作と同じメンバー(ルーベン・ロジャース、エリック・ハーランド)による過去3作品(前作「Aaron Goldberg/Worlds」は別頁あり)の他に、「John Ellis/By A Thread」「Lage Lund Quartet/Romantic Latino For Ladies」「Omer Avital/The Ancient Art of Giving」「Reuben Rogers/The Things I Am」「Eli Degibri/Emotionally Available」「Jimmy Green Sextet/Introducing Jimmy Greene」「Bob Reynolds/Can't Wait For Perfect」「Adonis Rose/On The Verge」「3 Cohens/Braid」「Kurt Rosenwinkel Group/The Rebedy」「Joris Roelofs/Introducing」(各別頁あり)でも実にいい仕事をしていた。
ゲスト参加のマーク・ターナーは、2008年10月頃に指2本を切断する大怪我を負い、接合手術後は順調に回復しているようなのだが、本作でいよいよそのプレイを体感できると思って録音年月日をよく見たら2007年8月と、それ以前のレコーディングなんだね。

ゴールドバーグのオリジナルが4曲と、オマー・アヴィタルの「Homeland」、モンクの「I Mean You」、スティヴィー・ワンダーの「Isn't She Lovely」等で全10曲。
ソフトタッチな曲調の「Cancion Por La Unidad Latinoamericana」(Pablo Milanes作)でスタートするのだが、私にはこういうのはちょっと似合わない。特にテーマ部分でのターナーのなよなよとした吹き方にわざとらしさを感じる。まあアドリブに入るとそれほどでもないけどね。2曲目はチック・コリアにも通じるようなピアノの明快なタッチが気持ちいい曲調。軽快ながらもキビキビとした5/4拍子(非4ビート)で曲が進行していくのだが、速弾きを駆使して弾いているゴールドバーグのフレーズがモーダルかつスリリングで非常にカッコいいし、さらにハーランドもそれ以上にスピーディーに叩いていたりして、1曲目の「なんだかなぁ」な印象をこの曲で帳消しにしてくれる。3曲目はオマー・アヴィタルの「The Ancient Art of Giving」にも収録されていたミディアム・テンポの4ビートのワルツ曲。抒情性と情熱性が上手くミックスされた演奏となっていて、ここではロジャースもなかなかいい感じのベースソロを聴かせてくれる。それにしてもこの曲の最後の4小節は何かの有名曲によく似ているのだが、それが何だったのか思い出せないのがもどかしい。4曲目「I Mean You」は大胆なアレンジが施されていて、ただでさえ良い曲がますますカッコよくなっている。またゴールドバーグのフレーズに対するハーランドの反応の速さも尋常ではないね。スピーディーさを前面に打ち出したスリリング極まりない演奏なので、これ以上続けるのは集中力の面で大変だと思うけど、せっかくの素晴らしい演奏が2分50秒というのはちょっと短かいような気がする。5曲目には1曲目に続きターナーが参加。またテーマ部分がなよなよだけど、ヨーロピアンな曲調なので仕方がないだろう。でもこの曲もリズム的にはかなりキビキビしていて、特にハーランドのドラムソロの部分ではとんでもなく凄いことになっているね。6曲目は3/4拍子の美しいバラード曲。と思いきやこの曲もアドリブに突入するとけっこうガツンとくる。ここぞという場面でのゴールドバーグの高音階のいっている感じがなんともたまらないし、ビートを変えてからのロジャースのベースソロの部分も最高だね。7曲目は高速アルペジオからスタートする「タンタ、ンタタ、ンタン、タンン」というアフリカンなリズムの曲なのだが、聴き進むにつれてそれが「Isn't She Lovely」だと分かる仕組みになっているアレンジが実にカッコいい。さらにそのリズムがいつのまにか4ビートにチェンジしていたりして、こんなにいかした「Isn't She Lovely」というのも他ではちょっと聴いたことがないような気がする。
他の曲は省略するけれど、とにかく3人が実力をフルに出し切っているし、結束力がより強まっているおかげでサウンドにダラダラ感がない(ピリリと引き締まっている)のにも感心する。トリオとしてこれだけ素晴らしい局面を見せているのだから、私としてはターナー参加の必要性は感じられないのだが、それでも4ビート曲の9曲目ではそれなりに吹いているので、これでよしとしておこう。
録音はジョー・マルシアーノで、ミックスはマイク・マルシアーノが担当。各楽器の実在感があるのと、少々硬質な音が活気溢れる演奏にもよくマッチしている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、 ☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)