J.D. Allen(Ts)
Gregg August(B)
Rudy Royston(Ds)
Rec. May 11 & November 11,2008,NJ (Sunyside SSC1225)

J.D. アレンが参加している当方所有のアルバムは「J.D. Allen/Pharoah's Children(別頁あり)」の記事中で書いているので省略するとして、本作は「J.D. Allen/I Am I Am (08年、未所有)」と同一メンバーによるサックストリオ作品。
コード楽器レスで思う存分に吹いてみたいというのは実力のあるホーン奏者だったら誰でも考えていることだと思うけど、そういう演奏は得てして独りよがりになりがちだったりして、アルバムとして当たり外れが多いのが現状。またコード楽器レスというだけで敬遠してしまうリスナーも多いようだ。それを立て続けに2枚もリリースするということは、アレンのほよどの自信の表れなのだろう。メンバーがあまり聞いたことのない人たちなのでなおさらだね。グレッグ・オーガストは、本人のサイトによるとどちらかといえばラテンジャズを得意としているような感じ。「Late August(05年)」「One Peace(07年)」の2枚のリーダー作をリリースしている。ルディ・ロイストンはMySpaceを見ると、本トリオの他にビル・フリゼールのバンドでも活動中なんだね。
近年のサックストリオ作品としては「Donny McCaslin Trio/Recommended Tools(別頁あり)」が最高だと思っているのだが、はたして本作はどうなのかが楽しみだ。

11曲のオリジナルとその他1曲で全12曲。
ドラムソロからスタートするアップテンポの4ビートの1曲目からいきなりガツンとくる。肌触りはラシッド・アリが参加している後期コルトレーンといったところかな。かなりぶち切れている演奏なのだが、さすがにこのテンポでの演奏は体力が続かないとみえて意外とあっけなく終わるのが残念。2曲目も中期コルトレーンを連想するモーダルな演奏だし、3曲目はフリージャズだけど、結局アレンがやりたいことはコルトレーンの延長線上にあるのだろう。この辺の印象は「Pharoah's Children」とも共通する部分がある。4曲目以降も4ビートからフリー的なものまで、コルトレーン臭がプンプンするような楽曲を中心に(違うイメージの曲もあり)、動と静のバランスがいい塩梅に曲配列されている。
聴きどころはなんといっても自由奔放に吹きまくっているアレンのテナーなのだが、音数自体は比較的少ない方かな。フレーズに無理や無駄がないのでそう感じるだけなのかもしれないけれど、どことなくクールな印象を受けるね。どれだけ演奏が熱くなっていても汗はあまり感じない。むしろ容赦なく叩きまくっているロイストンのパワフルなドラミングの方がよく目立つ。ドラムスにここまで煽られるとアレンはもっと細かいフレーズでアグレッシブに攻めてもよさそうなものだけど、そこをあえて音数を少なくして吹いているのにはなんらかのポリシーがあるのかもしれない。二人の間を取り持つオーガストはジミー・ギャリソンのように黙々と弾いていて、パッと聴きではあまり目立たない。実際にはけっこういろんなことをやっているけれど、ドラムスのパワーに埋もれてしまっているね。なのでこれ一枚を聴いただけでどういう人だという判断は出来かねる。
これで全員が一丸となって突き進んでいる演奏だとさらによかったと思うけど、3人のバランスがイマイチというかなんというか、バンドとしての纏まりは少々欠けているような気がする。また音楽的にももう一ひねり欲しかった。それとトータル46分で12曲もやっていて、1曲目だけではなくどの曲も演奏が短めなのは、体力的というよりも集中力の問題なのかな。ダラダラやってもいいので、どうせなら限界ギリギリまで行ってほしかった。とはいえ決して悪い演奏ではないけどね。まあサックストリオとしては中の上といったところだろう。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)