Avishai Cohen(Ac-B,El-B,Vo,P)
Shai Maestro(P)
Itamar Doari(Per)
Amos Hoffman(Oud)
Karen Malka(Vo)
Stephane Belmondo(Tp,Flh)
Lionel Belmondo(Fl)
Rec. December 8-12,2008,France (Emi France-Blue Note 6949170)

アヴィシャイ・コーエンのEMI France(ブルーノート)移籍第一弾。通算では11枚目のリーダー作のようだ。
コーエンはDVDを含むここ2作品「Avishai Cohen/As Is...Live At The Blue Note(別頁あり)」「Avishai Cohen Trio/Gently Disturbed(別頁あり)」が非常に良かったので本作も迷うことなく購入したのだが、注文の段階でネット上で検索してもメンバーが分かなくていささか不安に感じていた次第。今こうして現物を手にしパーソネルを見てみると、コーエンはベースの他にヴォーカルやピアノも担当しているし(ヴォーカルは他にも1人いる)、ドラムスの代わりにパーカッションが参加しているし、ウード(中東圏の弦楽器)奏者までいるんだね。メンバーは前作「Gently Disturbed」にも参加していたシャイ・マエストロ以外は全然知らない人ばかり。おそらくはコーエンやマエストロと同じイスラエル出身者が中心(ステファン・ベルモンドはフランス人)となっているのだと思うけど、これはちょっと失敗したかなあと早くも後悔している(苦笑)。

コーエンのオリジナルが8曲と、トラディショナル等で全12曲。
いやいや参った。ベースよりもヴォーカルの方に趣が置かれていて、実は本作はコーエンのボーカル・アルバムだったんだね。これは想像していたのよりもたちが悪いっす(苦笑)。
全般的に中東色が濃く、特に1曲目と12曲目にそれが顕著に現われているのだが、コーエンの過去作品のような強い癖はなくて、大衆向けにソフィスティケイトされたサウンド作り。中には3曲目のようにスパニッシュな曲調のものあるし(この曲におけるチック・コリア風なマエストロのピアノが微笑ましい)、エレベによる弾き語りの6曲目なんかはかなりポップス的な要素が強いね。まあジャズとしてではなくワールド・ミュージックとして聴く分においては、こういうのもたまにはいいだろう。パーカッションが活躍している7曲目もそれなりに面白いしね。
でもここ2作品でせっかくコーエンに対する好感度が増したというのに、どうしてまた中東風なサウンドに逆戻りしてしまったのだろう。同郷のマエストロとやりだしたことがきっかけなのかな。もちろんコーエンの根底にこのような音楽性が流れていることは最初から分かっていることだけどね(ヴォーカルまでとは予想外だったが)。というかブルーノートで売り出すためには、やっぱりこっち系の路線の方が確実なのだろう。ジャズとは違って、他の人にやれといってもそうそう簡単にできるような音楽ではないものね。とはいえ今後もこういう傾向が続くようであれば、コーエンのアルバムを買うのは一切止めにする。だって私が聴きたいのはワールド・ミュージックではなく本格的なジャズだからね。

評価☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)