Al Foster(Ds)
Eddie Henderson(Tp,Flh)
Eli Degibri(Ts,Ss)
Arron Goldberg(P)
George Colligan(P)
Doug Weiss(B)
Rec. July 25,2007,Paris,Live at the New Morning (Inakustik INAK6467)

今年からは金銭的な関係でCDを厳選買いしているのだが、それ以上にしわ寄せがきているのがDVDで、ジョン・マクラフリンの「John McLaughlin/Floating Point(別頁あり)」のメイキングDVDのような音楽ものや大好きなハリウッド映画等、観たいのがいっぱいあるのに我慢している。まあジャズはともかくとして、洋画に関してはレンタル店を利用するという手もあるんだけどね。でも所有欲が邪魔をして、あいにく私は一度も借りたことがないのですなぁ。とはいえせっかく買ったDVDも一回しか観ていないのがずいぶんあるので、そろそろ考える時期に来ているのかもしれない。
本作はアル・フォスターを筆頭にとにかくメンバーにそそられるし、マイク・スターンの「Mike Stern Live/New Morning The Paris Concert(別頁あり)」と同じパリのニュー・モーニングにおけるライブってことで、演奏はもちろんのこと、きっと映像や音も良いだろうと思って購入した次第。今年になってから初めて買ったDVDなので期待通りの作品だといいけどね。

トータル97分(全10曲)と収録時間はたっぷり。音声はステレオ、ドルビー・デジタル5.1ch、dtsの3種類。変な音の回り込みがない場合はドルビーかdtsが臨場感があっていいのだが、いつもならば最適なドルビーが本作ではちょっと大人しく感じるので、今回はdtsで観ることにする。映像は16:9のワイド画面。画質は最近色合いが変になってきている私のテレビでもかなり綺麗だね。カメラは5台ぐらい使っているよう。けっこうポンポンとスイッチングしているわりには落ちついたカメラワークで、しかも観たいと思っている画をきちんと捉えているのが素晴らしい。いつも感じることだけど、やはり向こうのカメラ・クルーはジャズをよく知っているね。
アル・フォスターの抑揚のあるドラミングに煽られて演奏は弥が上にもヒートアップする。なによりもまずフォスターの表情が実にいいですなぁ。心底から演奏を楽しんでいるさまがビンビン伝わってくる。また汗をかく量も半端じゃない。汗の出方は人にもよるかもしれないけれど、やはりジャズはこうでなくてはね。斜め45度にセッティングしているタムや、今となっては珍しいほどに垂直気味に角度をつけているシンバルがいかにもフォスターらしい。スネアの位置もちょっと高いね。CDを聴いているだけではイマイチ手順が分からなかったシンバル・レガートをしながらのスネアによるパラディドル系のオープン・ロールのフィルインが解明できるし、ブラシはナイロン・ブラシを使っているのが分かったりして、やはり目から入ってくる情報量たるや相当なものだね。
エディ・ヘンダーソンは作務衣のようなものを着ている。日本がマイ・ブームにでもなっているのかな。まあそれはさておき、トランペッター特有の華のあるプレイの中にもちゃんと歌心を兼ね備えていて、ベテランの味わいとでもいうか、彼の一音一音には本当に心がこもっているね。エリ・デジブリは若いだけあって基本的にはガンガン吹きまくっているのだが、いつも下を向いて吹いているということはけっこう照れ症なのかもしれない。もしかすると楽譜を床に置いている関係なのかな。ダグ・ワイスはどっしりと落ち着いたベースで土台をガッチリとキープ。ピアノとドラムスへの気配りが素晴らしい。風貌は若い時のチャーリー・ヘイデンによく似ているね。ピアノは1~5曲目がアーロン・ゴールドバーグで、6~10曲目はゲスト的な扱いのジョージ・コリガンが担当。二人とも私の大好きなピアニストなんだけど、周囲の状況をよく見渡しながら弾いているコリガンの方に軍配が上がるね。ゴールドバーグも上手いけど、余裕で凄いことをやっているコリガンにはまだまだ及ばない感じがする。
マイルスに敬意を表してか「So What」で始まって「Jean-Pierre」で終わる演奏は、どの曲をとってもライブの醍醐味をたっぷりと堪能できて、もう素晴らしいのひとこと。別の場所で収録されたCDの「Al Foster Quartet/Love,Peace and Jazz!(別頁あり)」もそうとう良かったけれど、本作はそれに輪をかけて良いね。期待以上の作品だったです。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)