Luis Perdomo(P)
Hans Glawischnig(B)
Eric McPherson(Ds)
Rec. June 12,2008,NY (Criss Cross 1308)

クリスクロスの秋の新作は3枚。その中の「Kirk Lightsey/Lightsey To Gladden(Criss 1306)」は過去に録音したやつの未発表盤なので買うのをやめにした。1130番から完全コレクトしてきたクリスクロスだけど、それが途切れてしまったので、これを機に今後は本当に聴きたい作品だけを厳選買いしようと思っている。といってもこのレーベルの作品は私のツボにバッチリと嵌っているので、ほとんど購入することになるとは思うけどね。第一線で活躍中の数多くのジャズ・ミュージシャンを抱えているジャズの王道を行くレーベルとして、フレッシュサウンドのニュータレント・シリーズと同様にこれからも目を離すことはできない。それはそうと本作と同時注文している「Lage Lund/Early Songs」の方はすでに入手困難になっていたりして、ちゃんと入荷するのかどうかが心配。これこそが本当に聴いてみたい作品なんだけどなぁ(苦笑)。
ルイス・ペルドモ(1971年ベネズエラ生まれ、本人のサイトあり)はミゲル・ゼノンとよく一緒にやっているピアニスト。またコンラッド・ハーウィグやブライアン・リンチのラテンジャズ作品や、ラヴィ・コルトレーンやグレゴリー・ターディ等の本格ジャズ・アルバムにも参加している。本作はクリスクロスとしては初のリーダー作で、通算では「Focus Point(05年、RKM Music)」「Awareness(06年、RKM Music)」に続く3枚目に当たる。メンバーのハンス・グロウィシュニクとはミゲル・ゼノンのバンドでも一緒。エリック・マクファーソンはアンドリュー・ヒルやジャッキー・マクリーンとも共演歴のあるドラマー。わたし的にはジェレミー・ペルトやジミー・グリーンのアルバムでのプレイが印象深い。

ペルドモのオリジナルが5曲(うち1曲はグロウィシュニクとの共作)と、パウエル曲やスタンダード等で全11曲。
4ビートが中心のオーソドックスな演奏なのだが、その中でも最後までなかなかテーマが出現してこない1曲目「Speak Low」が意表を突く。こんなテーマ隠しの演奏は大好き。また前半部分でドラムスをフィーチャーしているブルース曲の8曲目「Baby Steps」もカッコいいね。途中からは一拍半ノリになってみたり、倍テンになってみたりというちょっとしたアイデアが素敵。
ペルドモは右手のアドリブ・フレーズはもちろんなんだけど、左手のブロック・コードを入れるタイミングが滅茶苦茶カッコいい。ラテン気質なためか、フレーズやリズムが明快であやふやな部分が微塵もないのは、ある意味チック・コリアにも通じるものがある。サイド参加のアルバムでは、ハンコックの理論や手法をマスターしているような感じのモード系のピアニストといった印象だったけど、3曲目ではキース・ジャレットの匂いを感じるし、本作では特にエバンス的な要素が強かったりして、先達のおいしいところをうまく吸収しているような感じだね。曲調に応じていかようにもスタイルを変えることができる人のようだ。
そんなペルドモのピアノとグロウィシュニクの比較的手数の多いベースは(ふんだんに用意されているベースソロも聴きもの)、さすがに普段から一緒にやっているだけあって相性がバッチリだし、パワーは抑え気味だけど小技を多用しながらバンドを鼓舞しているマクファーソンのドラミングにも好感を持てる。意外にもガンガンくる曲は少なくて、全体的にはじっくりと聴かせるようなアルバムに仕上がっているのだが、トリオとしての纏まりが非常にいいことも相まって、アルバムの中間部に静的な演奏が多い割には退屈することなく楽しめる。できればゼノンのところでやっているような複雑な楽曲なんかもあればなおよかったとは思うけどね。でもそんな異質な曲が入っているとアルバムとしての統一感が崩れてしまうので、やっぱりこれで正解だったのかもしれない。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)