Mike Wofford(P)
Darek“Oles” Oleszkiewicz(B)
Duncan Moore(Ds)
Rec. August 15-16,2000,Cleveland (Azica Records AJD72218)
未開封盤聴き。
マイク・ウォフォード(1938年テキサス州生まれ)は馴染みの薄いピアニスト。オフィシャルサイトを見ると1960年代から西海岸を拠点として活動しているベテランで、ディスコグラフィーにはシェリー・マンを筆頭に、有名どころがズラリと並んでいる。私が認識していなかったというだけで、もしかするとウォフォードもまたかなり有名なのかもしれないな。
共演者のダレク・オレス(ダレク・オレシュキェヴィチュ、1963年ポーランド生まれ、アメリカ西海岸で活躍中)は、昨年リリースされた実質的なリーダー作「Los Angeles Jazz Ehsemble/Expectation(別頁あり)」が記憶に新しい。サイドマンとして実に数多くのアルバムに参加している人なのだが、所有アルバムとしては「Dianne Reeves/That Day(97年)」「Charles Lloyd/Water Is Wide(00年)」「Brad Mehldau/Largo(02年)」「Alan Pasqua/Body And Soul(04年)」「Harvey Mason/Changing Partners(06年)」等で弾いている。ドラマーのダンカン・ムーアが参加しているアルバム数もディスコを見ると半端じゃないものの、私とは全くといっていいほど接点がないようだ。
1曲のオリジナルと、スタンダードやジャズメン・オリジナルで全12曲。
いかにも西海岸らしいカラッとした明るいサウンドで、内省的なものや陰影に富んだ部分はほとんど感じない。ネットで検索するとウォフォードのことをエバンス派といっている人が多いのだが、確かにフレーズ的に似ている部分があるし、ラスト曲では「You and the Night and the Music」をやったりなんかもしているけれど、本作を聴く限りにおいては、全体的な肌触りはどちらかというとバド・パウエルやハンプトン・ホーズあたりに近いものがあるね。また年齢がいっているわりには演奏自体はずいぶん若々しく感じる。それにはバックのダレク・オレスやダンカン・ムーアのプレイも関係しているのだろう。4ビートを主体とした正統的なジャズではあるも、現代的でセンスのいい演奏となっていて、もう死語かもしれないけれど「ナウい」という表現がピッタリ。またピアノのタッチはけっこう力強い方で、一音一音に説得力がある。ピアノソロの曲が3~4曲入っているのだが、これといって凄いことをやっているわけでもないのに知らず知らずのうちに演奏に引き込まれてしまうのは、やはりその関係なのだろう。いずれにしても平凡なジャケ写からは想像もつかないようなフレッシュなサウンドとなっている。
オレスもムーアも実にいい仕事をしているのだが、特にムーアのシャープな切れ味の小気味のいいドラミングが光っている。ピーター・アースキンに近い感じとでもいえば分かりやすいかな。西海岸にはこういうタイプのドラミングをする人が多いね。
知っている曲が多いことも相まって(かといって手あかにまみれた聴き飽きているような曲はやっていない)、トータル約75分という長丁場にもかかわらず、最後までノリノリで楽しめた。マイク・ウォフォードのことはもう一発で気に入ったです。
評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)