Christian Sands(P)
Mike Asetta(B)except7,11
Jesse Hameen II(Ds)except5,7
Bill Evans(Ss,Ts)1,2,7,8,10
Josh Evans(Tp)1,2,10
Kris Jensen(Ts)10
Ryan Sands(Ds)5
Jeff Fuller(B)11
Rec. 2007,New Haven,CT (M&I Music MYCJ30457)

ビル・エヴァンスが純粋な4ビートをやってそうなので買ってみた。
クリスチャン・サンズは初めて聞く名のコネチカット州在住のピアニスト。ファースト・アルバム「Buy Footprints」はなんと12歳の時にレコーディングしたらしい。その後に「Buy Hamonia」をリリースし、本作は3作目に当たる。メンバーはエヴァンス以外は全然知らないのだが、どうやら全員がコネチカット州で活動しているベテランのような感じ。ドラムスのライアン・サンズは、もしかしてクリスチャンの父親なのかな。
それにしても10代でデビューするピアニストは昔から珍しくはないにしても、さすがに12歳ぐらいともなるとそんなにいるものではないよなぁ。90年代にはセルジオ・サルバトーレが12歳でメジャー・デビューしたのが記憶の片隅に残っている(今ごろどうしていることやら)が、最近の若手ではオースティン・ペラルタ(14歳とちょっと遅いけど)や、楽器は違うがアルトのフランチェスコ・カフィーソぐらいしかすぐには思い浮かばない。そんな早咲きのクリスチャンも現在は19歳とのことで、さすがにこの年齢ともなると強豪がゴロゴロいるので気が抜けない。はたして鬼が出るか蛇が出るか、彼にしてみれば日本デビューでもある本作が正念場だろう。ちなみにプロデュースはビリー・テイラーが担当している。

クリスチャンのオリジナルが8曲と、ビリー・テイラー曲やその他で全11曲。日本盤のみのボーナストラックとしてショーターの「Footprints」が入っているのが嬉しい。
ほとんどの曲がオリジナルでありながらも、いつかどこかで聴いたことのあるような決して奇をてらわない曲ばかりなので、すんなりと頭の中に入ってくる。いやあ、この作曲能力だけでも大したもんじゃあないですか。まあオーソドックスすぎるかなという気がしないでもないけれど、そもそもクリスチャンのピアノ自体がテクニックでガンガン攻めてくるようなタイプではなく、真っ黒いフィーリングとリラックスしたムードを醸し出しているので、少なくともこの楽曲群とはよく合っているね。まだ若くて音楽的にいろいろとやってみたい年頃だろうに、ハードバップ・テイスト溢れる4ビート一本に絞っていて、現代的なジャズには目もくれていない姿勢にはむしろ潔さを感じる。とりあえず現時点ではこれで良しとしておこう。ただし全般的にレイドバックして弾いているのはいい雰囲気だとして、音出しのタイミングが逆に時たま微妙に速くなっているのがちょっと気になるね。テンポ的な乱れには細心の注意を払ってもらいたいものだ。それとこのまま年齢を重ねていくと、どこにでもいるようなタイプのピアニストとなんら変わらなくなってしまうわけで、その辺が今後の大きな課題となっていくだろう。早いうちにNYにでも進出して、モード的なものを身に付けるのも手段の一つかもしれない。まあコネチカットにいてもできるだろうが、やはりそれなりのミュージシャンと共演して、揉まれながら勉強するのがなによりだからね。
共演者のマイク・アセッタは可もなく不可もなくって感じなのだが、ソロになると音程がちょっとフラット気味に聴こえる。ジェシー・ハミーンのドラミングはなんか当たり前すぎて物足りなさを感じるし、「Footprints」で叩いているジェフ・フラーも部分的に走っているのが気になるね。その代わりといってはなんだけど、ジョシュ・エヴァンスのトランペットは人間味があって実にいい。またお目立てだったエヴァンスもなかなかいい感じで吹いていて、特に7曲目でのカデンツァからスタートするバラード・プレイ(まるでマイケル・ブレッカーのようだ)が絶品ですな。
サウンドとしては全体的に悪くはないのだが、もしこれが活きのいい若手のリズム隊だともっと良かったのではなんてよからぬことを考えてしまった(笑)。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)