Simona Premazzi(P)
Joe Sanders(B)
Ari Hoenig(Ds)
Rec. December 30,2005,NY (自主制作 PRE001)

アリ・ホーニッグ聴きたさで昨年の4月に注文したものの、入手困難のためにキャンセルになったりして、一年がかりでようやく入荷した。
シモーナ・プレマッツィ(?)は全く知らないピアニスト。彼女のサイトを見ると、イタリアの出身で2004年からはNYに拠点を移している。NYに出てきてからはフレッド・ハーシュ、ジェイソン・モラン、ジャン・ミッシェル・ピルク、ハリー・ウィテカーに学んでいるようだね。これまでの共演者を見るとJD・アレン、ロドニー・グリーン、ウェイン・エスコフェリー、デュアン・ユーバンクス、ジャリール・ショウ、ファビオ・モルゲラ等けっこうおいしそうな名前が並んでいる。
本作が初リーダー作。ホーニッグの参加はきっとピルクの紹介なのだろう。ベースのジョー・サンダースは知らない人だけど、自己ブログで検索してみたら「Philip Dizack/Beyond a Dream(別頁あり)」で弾いていた。

7曲のオリジナルとスタンダードで全10曲。
1曲目はマッコイ調な演奏でいきなりガツンとくる。部分的に曲調がコロッと変わのが面白い。プレマッツィのアドリブはおいしいフレーズの連発で、一般的なピアニストのようにメロディーラインを発展させていくというよりは、どちらかというとリズムで攻めているような感じ。そんな意味ではハンコックを連想する。エヴァンスの匂いを感じる女性ピアニストが多い中、彼女のピアノは男性的かつ個性的で、これはジョアン・ブラッキーンやジェリ・アレンの登場以降ポツポツと増えてきている硬派な女性ピアニストの一人といっていいだろう。曲の後半は自分は休んでサンダースとホーニッグに大きなスペースを与えているけれど、この部分でのサンダースはまあ普通として(ベースの音程は少し悪いかも)、ホーニッグは滅茶苦茶かっこいいですなぁ。大技小技の連発で、もうこの1曲だけで買ってよかったという気になっている(笑)。2曲目はキャノンボール・バージョンの「枯葉」を非4ビートの5拍子で。例のお馴染みのイントロ部分のリフが重要なポイントとなっていて、アドリブ・パートはここの部分を中心に展開されている。なかなか面白い発想だね。この曲も後半のホーニッグのソロが素晴らしい。3曲目はバラード風な曲調ではあるが次第に盛り上がる。けっこう綺麗な曲なのだが、プレマッツィのフレーズが全然リリカルでなくて、1曲目と同様にリズミックに攻めているのがいいね。サンダースは声を出しながらソロを熱演しているいるものの、フレーズ的にはちょっとアイデア不足という気がしないでもない。最後の方のホーニッグの人力リバーブ的なドラミングが実に面白い。4曲目はスタンダード曲の「Just One of Those Things」。アップテンポな曲を半テン感覚にして、その分リズム的に自由度の高い演奏となっている。5曲目は非4ビートの3/4拍子。だと思って聴いているといきなり4/4拍子の高速4ビートに突入するのにはビックリ。こんな発想はいったいどこから生まれてくるのだろう。ホーニッグは高速4ビートからテンポ・ダウンするときのちょっとしたキメの部分なんかも苦もなく合わせていて、流石にピルクやケニー・ワーナーたちともっと複雑な曲をやっている人は違うよなぁ。6曲目はバラード。シンプルな曲調が3曲目と同様に次第に盛り上がるけど、この緩急の塩梅が実にいいね。7曲目はテーマのキメが非常にカッコいいアップテンポな4ビート。プレマッツィのアドリブに対するホーニッグの絡み具合が素晴らしい。また後半のドラムソロも流石。8曲目は叙情的な曲調。こんな曲にはプレマッツィの女性的な部分を感じる。でもアドリブは一筋縄ではいかなくて、途中からはかなりアグレッシブだけどね。9曲目は「But Not for Me」を非4ビートで。コード進行をリハーモナイズしてモーダルに仕上げている。10曲目は6/4拍子にちょっとした拍を追加しているようだし、さらにホーニッグがトリッキーなビートで攻めたりしているので、いったい何拍子なのかよく分からないのが悔しいが、ラストを飾るのにふさわしいカッコいい演奏となっている。
録音はちょっとベースが弱いかなって感じ。でも自主制作盤でこれだけ録れていれば上出来だろう。
シモーナ・プレマッツィは初体験だったけど私の好みにバッチリ。アリ・ホーニッグの貢献度が高いこともあって、本作は文句なしの満点だね。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)