Bobby Watson(As)
Jack Walrath(Tp)
Ronnie Mathews(P)
Ray Mantilla(Per)
Curtis Lundy(B)
Victor Lewis(Ds)
Rec. February 2,1999,NY (Red 123285)

未開封盤聴き。
「The Jazz Tribe」はボビー・ワトソンとベテラン・パーカッショニストのレイ・マンティラ(1934年生まれ)の双頭バンド。今までマンティラのことを意識して聴いたことはなかったけれど、彼のサイトを見るとサイド参加作品の方は何枚か持っていた。昔よく聴いていたジョー・ベックの「Beck」等の70年代のフュージョン作品にも入っていたのにはビックリ。それと新しいところでは「Joe Farnsworth/Drumspeak(別頁あり)」でもコンガを叩いたのも彼なんだね。レイといえばレイ・バレットしか知らなかっただけにちょっと恥ずかしいっす(苦笑)。
あとメンバーではトランペットのジャック・ワルラスも馴染みが薄いけど、この人はチャールズ・ミンガスのバンドでやっていた人で、その流れで現在のミンガス・ビッグバンドにも参加していて、新譜「Mingus Big Band/Live in Tokyo(別頁あり)」にもクレジットがある。サイトも見つかったので後でちゃんと読んでおこう。

ボビー・ワトソン曲が2曲、レイ・マンティラ曲が3曲、ロニー・マシューズ、カーティス・ランディ、ヴィクター・ルイス曲が各1曲とその他で全10曲。
ラテンタッチな曲を中心に4ビートも何曲かやっている。フロントの二人がメインとなって熱いサウンドを繰り広げているのはいいのだが、録音がドンシャリとでもいうか、とにかく中域の線が細くてアルトやトランペットの音が奥に引っ込んでしまっているので、いくら熱いプレイをしていてもそれがストレートに伝わってこないのが残念。ピアノの音も薄っぺらだしね。もうこれだけで本作の魅力が半減しているのではないかなぁ。演奏と録音は密接な関係にあるので、ミュージシャン側はプレイバックの時点で自分のプレイをチェックするだけではなく、音的なことに対してもどんどん注文を出すべきだろう。全幅の信頼をおけるエンジニアはそんなに多くはいないんだからね。
まあ音のことは仕方がないとして、ワトソンとワルラスがお互いに触発されてガンガンやっているのが本作の聴きどころの一つとなっている。やっぱりラテン系をやるときは熱くならないと意味ないからな。ただワルラスはリップコントロールが完璧でないせいか若干のミスが目立つね。きっとあまり細かいことは気にしない性格なのだろう。
ロニー・マシューズは一応サルサ系にもきちんと対応できていてリズミカルに弾いているのだが、アドリブの方はもう一ひねり欲しい感じ。カーティス・ランデイはまあ普通。ヴィクター・ルイスはこのサウンドにはちょっとミスマッチって感じで、なんかドラミングに締りがないし、リズム的なアイデアも不足しているような気がする。こっち系が得意なエルネグロやロビー・アミーンやイグナシオ・ベロアあたりだったら、もっとサウンドがカッコよくなっていたと思うけどね。マンティラはコンガを主体に叩いている。ほとんど基本リズムでバッキングに徹しているけれど、ソロ曲の6曲目では4台のコンガとボンゴを駆使して華麗なソロを披露している。
楽しいはずのラテンジャズが、録音のせいで(ついでにルイスのドラミングも)あまり楽しく聴こえなかったです。

評価☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)