武藤祐志(G)
清野拓巳(G)
石垣篤友(B)
松田“GORI”広士(Ds)
Rec. January,2007,Live Recording,Jazz Inn Lovely(名古屋),Gaja(岐阜),Big Apple(神戸) (Bomba Records NO-003 9/25発売)

ブログ仲間の910さんの紹介で、Next Orderのギタリストの武藤さんからリリース前の新譜のサンプル盤が送られてきました。こういう機会は滅多にないのでとても嬉しいです。お二人ともどうもありがとうございました。
Next Orderを聴くのは実は今回が初めて。ハードコア・フュージョン系の凄いバンドだということは910さんの方から事前にお聞きしていたのだが、なかなか日本のミュージシャンのアルバムには手が出ない私のことなので、今までアルバムを購入するまでには至っていなかった。
Next Orderの詳細に関しては、彼らのサイトがあるのでそちらの方をご覧いただくとして、CD添付のバンド・プロフィールから抜粋すると、武藤氏はLAのMusician's Instituteのギター科GITにてスコット・ヘンダーソン、アレン・ハインズ、ジェフ・リッチマンからジャズフュージョン・ギターのスタイルを学んでいる。清野と石垣はバークリーの出身者。松田はずっと関西で活躍していたようだ。今までの共演者としてTribaltechやCong/Gongzillaの名前があるのが凄いよなぁ。また私の知らないAfirican Express Trio(フランス)、Tsuki(ドイツ/スイス)、UJD(チェコ)もきっとその筋ではかなり有名なバンドなのだろう。あと日本人では坂田明、佐山雅弘、佐藤達哉等と共演しているんだね。
アルバムは「Loud Volume Only」「Next Order Live 2003」「Live-Powerd Nexus」に続いて本作が4枚目。今回からは地方のCD店でも取り扱いのある(と思う)Bomba Recordsからのリリースで、しかも旧作も同時に再発されるようなので、これで全国的に人気に一気に火が付きそうな予感がする。活動の場は関西が主なようだけど、これを機に関東方面でのライブの引き合いも増えてくれるといいね。

全8曲がオリジナル。
わたし的にはもう1曲目からノックアウト。今までこういう本格的なハードコア・フュージョンをやっている日本のバンドはあまりなかったような気がするけどなぁ。いいとこ渡辺香津美ぐらいかな。ああ、それと一昔前にはTAKINOもやっていたっけな。とにかくこの手の挑戦的なサウンドというものはよほどのテクニックを持っていないとできないわけで、その点Next Orderのメンバーは世界の有名バンドと同じ舞台に立っているだけあって、流石に演奏のレベルが高いねぇ。それとハデハデ系の武藤とナチュラルかつスペーシーな清野の対比が面白く、この二人のギタリストのアプローチの違いだけでもけっこう楽しめる。
2曲目は第一期パット・メセニー・グループ的だったり、3曲目はキング・クリムゾン的だったり、6曲目は渡辺香津美のMOBO的だったり、ちょっとしたキメにはトライバルテックの影響を見受けられたりと、楽曲的には元ネタがありそうな感じなんだけど、こういうふうに他人のいいところは積極的に取り入れてもいいと思う。それがいずれは自分たちのオリジナリティーに変化していくんだからね。もちろん今時点でもそうとうなオリジナリティーを持っているけどね。
二人のギタリストだけではなく、堅実な石垣のベースも松田の手数の多いドラミングも実にいい。この4人がいてこそ初めてNext Orderであって、誰か一人欠けただけでもサウンドが大きく変化してしまいそうな気がする。できればこのメンバーでずっといってほしいな。
ライブ音源なので若干の演奏のアラは目立つけど、そんな細かいことはサウンドのカッコよさの前ではどうでもよくなっちゃう。それにしても何ヶ所かで行なわれたライブの割には音もちゃんと統一されているし、拍手も一切入っていないけど、これって本当にライブ録音なのかなぁ。とにかく演奏同様に録音も迫力があってなかなかいいね。きっと編集作業にも手間暇がかかっているのだろう。
と、なにももらったサンプル盤だからといって褒めちぎっているわけではない。損得勘定抜きに本当に素晴らしいバンドですな。聴衆に媚を売ることなく自分たちのサウンドを追及している限りにおいては、これからも影ながら応援していこうと思っている。間違ってもライト・フュージョン路線にはいかないでね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)