Joshua Redman(Ts,Ss)
Larry Grenadier(B)1,2,8,9,10,11
Ali Jackson(Ds)1,2,8,9,10,11
Christian McBride(B)3,4
Brian Blade(Ds)3,4
Reuben Rogers(B)5,6,7
Eric Harland(Ds)5,6,7
Joe Lovano(Ts)4
Chris Cheek(Ss)8
Dewey Redman(Ts)10
Rec. May 19-20 and June 18,2006 NY (Nonesuch 7559-79993)

近年のサックストリオで特に印象に残っているのは、ブランフォード・マルサリスの「Trio Jeepy(89年)」とケニー・ギャレットの「Triology(95年)」の2枚かな。まあブランフォードに関しては曲調的にちょっと退屈な部分もあったけどね。ああ、あとピーター・アースキンがリーダー格の「The Lounge Art Ensemble/Music for Moderns(別頁あり)」と「Gary Smulyan/Hidden Treasures(別頁あり)」も良かったなぁ。
サックス奏者にとってサックストリオほど挑戦のし甲斐のあるものはないだろう。昨今はミュージシャン内でちょっとしたブームになっているようだが、その割には本当に素晴らしい作品は10年に一度出るか出ないかというぐらいに少ない。
このジョシュア・レッドマンの新作では3組のリズム隊を使い分けているが、もう聴く前からメンバーを見ただけでも凄そうだというのが分かる。こんな前置きをダラダラと書いている場合ではない。さっそく聴いてみようっと(笑)。

4曲のオリジナルとジャズメン・オリジナル等で全11曲。
アルバム・タイトルの「Back East」には、ジョシュアが東海岸に戻ってNYの連中とやったという意味の他にも、ロリンズの「Way Out West」にインスパイアされている含みもあるようだ。
ジョシュアは特に気張っているわけでもなく、けっこう淡々と吹いている感じがするね。これよりだったらむしろヴァンガードの2枚組みライブ「Sprit of the Moment(95年)」の方がガンガンくるし、考えようによってはエラスティック・バンドの方がもっとアグレッシブ。今回のサックストリオ作品でジョシュアが意図したものは、ただ単に熱く燃えるといった単純なものでなかったのだろう。でも普通のカルテット編成からピアノだけが抜けたような演奏だったらあまり意味がないわけで、そこになんらかのプラス・アルファがなければわざわざサックストリオをやることもない。個人的には出来れば野獣のごとく行き着くことろまで行って欲しかった。もしかするとジョシュアの知性が邪魔しているのかなぁ。もっとバカになってもよかったような気がするけどね。
バックのリズム隊の違いでそれなりに楽しめるが、残念なのはマクブライド、ブレイド組に比較的落ち着いた曲が割り当てられていること。ブレイドの必要以上の爆発力に期待していただけに、これにはちょっと肩すかしを喰らっちゃった。その代わりにロジャース、ハーランド組は若さに満ち溢れた元気溌剌のプレイをしていて、この3曲は実にいいね。私がイメージしているサックストリオにもピッタリ。この2人の黄金コンビはジョシュアとは初共演のような気がするが、どうせだったら全曲やってくれてもよかったな。
ジョー・ロヴァーノ、クリス・チーク、デューイ・レッドマンが1曲ずつ参加しツイン・サックスとなっているが、バトル的に対戦しているというよりは、どちらかというと対話をしているような感じかな。まあこれはこれで悪くはないね。
ジョシュアのことなので最高のサックストリオ作品を作ってくれるのではと過大な期待をしていたのだが、なんかあまりにも当たり前すぎて素直に感動することが出来ないっす。良いことは良いけれど、聴き終わった後に変なもやもや感が残ってしまった。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)