Mike Moreno(G)
John Ellis(Ts,Ss)3,6,8
Marcus Strickland(Ts)1,2
Aaron Parks(P)
Daug Weiss(B)
Kendrick Scott(Ds)1-6
Tyshawn Sorey(Ds)8
Rec. June 10-11,July 13,2006 NY (World Culture Music 49150)

マイク・モレノは最近知ったギタリストの一人。「Jeremy Pelt/Identity(別頁あり)」「John Ellis/By A Thread(別頁あり) 」「Bob Reynolds/Can't Wait For Perfect(別頁あり) 」でセンスのいいギターを弾いていたので、この初リーダー作にもすぐに飛びついた。まあ大好きなマーカス・ストリックランド、ケンドリック・スコットが参加しているってこともあるけどね。
モレノはテキサス州出身で現在はNYで活動中。2005年にはジョシュア・レッドマンのバンドで来日しているんだね。年齢はハッキリしないが、写真を見る限りではまだ若い感じ(20代の後半ぐらいかな?)。
詳しい経歴等は彼のサイトでどうぞ。↓
http://www.mikemoreno.com/

全8曲がマイク・モレノのオリジナルで、プロデュースも本人が担当している。
サウンド的にもギターの奏法的にもカート・ローゼンウィンケルによく似ている。なんというかこうフワッと漂うような感じのスペーシーなフレーズ(といっても音数が少ないという意味ではない)でね。これは現代ジャズ・ギターの流れのひとつなんだけど、元をたどるとパット・メセニー、さらにはやジム・ホールあたりに行き着くのかな。あとジョン・アバークロンビーとかね。いずれにしても白人の典型的なタイプ。いやぁ、それにしても聴けば聴くほどカートにソックリですわ。これだからこそジョシュアがカートの代役として連れてきたんだね。さすがに今の人だけあってアコギも上手いけど、フレット上で指を移動させる時のキュッキュッという音だけはちょっと多少耳ざわり。でもこれは録音のせいかもしれないな。
楽曲は非4ビートが主体で、まさにNYの最先端って感じの現代的でマイナー調なサウンド。どんなことをやっているのかはメンバーからもだいたい想像はつくのではないかと思う。2曲目のみ4ビートなのだが、ここでのケンドリック・スコットのドラミングはトニー・ウィリアムスに似ていて微笑ましい。かなり意識して叩いているね。彼の場合はファンクも4ビートジャズもなんでもありの人なんだけど、こういう本格的な4ビートをやっている時のスコットが私は好き。もっといろんなところで叩いてほしいっす。
メンバー全員がいい仕事をしているが、中でもモレノの片腕的存在のアーロン・パークスの活躍ぶりが光っている。正直言って私はしばらくの間アーロン・ゴールドバーグだと勘違いして聴いていたほど(苦笑)。この人は現代的で実にセンスがいいね。7曲目のモレノのアコギとのデュオのアプローチの仕方なんかも素晴らしい。パークスはこんな音楽以外にも、だいぶ路線が違うメーンストリームな「中村健吾/Roots(別頁あり)」にもちゃんと対応できているのが凄いよなぁ。あまり耳にしない名前だが、これからはもっと注目してみよう。
お目当てだったストリックランドがたった2曲しか吹いていなくてちょっと肩すかしを喰らってしまったけれど、なかなか素敵なアルバムですな。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)