Pat Metheny(G)
Brad Mehldau(P)
Larry Grenadier(B)
Jeff Ballard(Ds)
Rec. December 2005,NY (Nonesuch 104188)

パット・メセニーとブラッド・メルドーの「Metheny,Mehldau(別頁あり)」と同じ時に録音された第二弾。あらかじめCD2枚分の曲を用意してレコーディングしていたということは1枚目がリリースされる段階で分かっていたことなので、どうせだったら最初から2枚組みで出して欲しかったなぁ。その方が一枚ずつ買うよりも安いに決まっているからね。でも印税的に考えれば、きっとこうして2枚に分けた方がミュージシャン側には倍のお金が入るのだろうな。もちろんレコード会社も儲かるだろうしね。
まあそれはさておき、今回はデュオは4曲のみで他は全部カルテットでの演奏なのが嬉しいな。いくら前作(5つ星、ベスト10にも入れている)が素晴らしかったといっても、やはりデュオ作品なので(カルテットも2曲あるが)まだほんの数回しか聴けてないっす(苦笑)。

メセニー曲が6曲、メルドー曲が3曲、2人の共作が1曲、その他1曲で全11曲。
前作はデュオだっただけにお互いの技と感性がぶつかり合い、それが相乗効果となっていて、聴いていても息をつく暇もないほどの緊張の連続だったのだが、本作ではカルテット中心なのでいくぶんリラックスした印象を受ける。もちろん気が抜けているということではなくて、伸び伸びとした演奏という意味だけどね。
メルドーのトリオにメセニーが加わったという図式なのだが、メセニーの曲が多いせいかまるでPMGを聴いているような錯覚に陥るときがある。使用ギターもアコギからギター・シンセまで総動員で気合がバッチリ入っているしね。実際「あっ、この曲は聴いたことがある」というのは、おそらくPMGでやっていた曲だろう(PMGはそれほど聴き込みしていないので、ハッキリとは断言できない)。それとメルドー・トリオ側の方もPMGをかなり意識しているんじゃないかな。特にメルドーは曲によってはバッキング時にライル・メイズによく似ていたりもするね。でアドリブになると、自己のトリオ作品のとき以上に大らかでワイルドに弾いているのだが、そんなところが私は大好きだ。そしてワイルドなのはメセニーも同じで、例えば3曲目なんかはギターの音色からしていかにもといった感じのギンギンな音色で弾いている。彼もまた非常に完成度が高いことをやっているPMGとは違って、けっこう遊びが多いというか開放感があるんだよな。むろん単なるセッションとは違って十分に緻密な演奏ではあるけどね。
ひとつだけ気になったのはジェフ・バラードのフィルインに粗が目立つ部分が数箇所あること。メセニーを前にしてよほど緊張していたのか、PMGの歴代ドラマーを意識するあまりについつい不本意なドラミングをしてしまったかのどちらかだろう。
素晴らしい作品には違いないが、音楽的な凄さは前作にはかなわない。またカルテット曲よりもデュオ曲の方が出来がよく感じるね。もしもこちらの方が先に出ていれば間違いなく5つ星なんだけど、もう慣れてしまっているので流石に前作で受けたようなインパクトは感じない。だから2枚組みにしておけばよかったのになぁ(苦笑)。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)