マーティン・ヴァリホラは1976年スロヴァキア生まれ。バークりー音楽院卒業後はNYに活動の拠点を置いているようだ。私は上原ひろみでしか聴いたことがないが、マーティンのディスコグラフィーを見ると1994年のリチャード・ミュラーを皮ぎりに違う路線(ジャズ・フュージョン系以外の)のアルバムにけっこう参加しているんだね。
http://www.martinvalihora.com/discography.htm
あれほど難易度が高くてキメの多い上原の音楽を難なくやってのけるのが彼の凄いところ。
そんなに力を入れて叩いているわけではないのでドラムの音は軽めに聴こえるし、チューニング自体もわりと高めに設定している。この利点はなにかといえば、叩いているときのスピード感が全然違ってくること。ヘッドを強く張っているほうが跳ね返りが速いので自然と手も速く動くのだが、逆にスティック・コントロールが難しくなる。それとドラムの音が他の楽器から変に浮いてしまうので要注意。よほど音楽にハマったドラミングをしないとドラムだけが目立ってしまうことになる。このへんはドラムを叩いたことのある人だったらどなたでも経験済みだろう。その点マーティンはスティック・コントロールは完璧だし、けっこう思うがままに叩いている割には全然うるさく感じないよね。それが彼の凄いところ。フレーズ的には他の若手の白人フュージョン系ドラマーと共通しているものがある。ドラミングというものは常に進化していて、最近ではこんな感じのがスタンダードになってきているので、時代の最先端をいきたい人は参考にするといいだろう。
今年でまだ31歳だが、マーティンが今後超一流のドラマーの仲間入りするのかどうかは私は分からない。テクニカル・ドラマーを目指している以上はちゃんと仕事を選んで、これからもできるだけ難しいサウンドのものに挑戦していく必要があるだろう。楽で金になるからといって決してリズムが単純な路線のバンドには参加しないように。それともっと弩ジャズな方向のバンドにも積極的に参加して欲しいな。実際上原のところで超高速の4ビートの曲なんかも難なく叩いている人だからね。
上原以外のアルバムでも会えることを楽しみにしています。