小曽根真(P,Rhodes)
James Genus(B)
Clarence Penn(Ds)
Rec. September 14,2006,Live at Blue Note TOKYO (Verve UCBJ9001)

ブルーノート東京で演奏できる日本人はそうそういるものではないのだが、小曽根真はその中の数少ない一人。なんといっても「世界のオゾネ」だものな。彼こそがブルーノートのみならず、世界中の一流の舞台に立てる唯一の日本人ジャズ・ピアニストではないかと思っている。世界レベルで通用するのはあとは上原ひろみぐらいかな。それと昔の山下洋輔トリオとかね。
今回のブルーノート東京のライブは、「ザ・トリオ」の10周年記念として行なわれたもの。レコーディング&ミキシング・エンジニアとして小曽根のアルバムの常連のJoe Ferlaまでもわざわざ招聘していて、DVD作りにおける気合の入れ方も相当なものだ。いざとなるとやっぱりヴァーヴのようなビッグ・レーベルはやることが違うよね。

映像は4:3の普通の画面で、音声も単なるステレオのみと、今の日本制作ものからするとちょっと物足りない気もするが、流石にFerlaが録音しているだけあって音は上々。カメラは5~6台も使っているのかな?その割にはカット割りはそれほど細かくないし、見たいポイントにちゃんと映像が切り替わっているので、観ていて凄く安心感がある。やっぱりジャズ系の映像はこうでなくてはダメですわ。撮影や編集は全て日本人の手によって行なわれているけど、こんなに良識のある人たちも中にはいるんだね。
ピアノの鍵盤はほとんど見ないで、共演者たちとアイ・コンタクトをとり続けている小曽根の笑顔がとてもいい。音楽にも楽しさが満ち溢れているね。もちろんピアノの腕前も超一級で、がむしゃらに俺が俺がとテクニックを披露するというよりも、常にトリオとしての調和を非常に大切にしているあたりは小曽根だからこそなせる業。嫌いだという人も多いけど、やっぱり彼は凄いっすよ。もうリズムの感覚からして日本人離れしているもんね。
アコースティックなサウンドばかりではなく、アルバム「Real(別頁あり)」でやっていたエレピ、エレベでのエレクトリックな路線も垣間見せてくれる。そんな時こそこのメンバーは重宝なんだよね。なんてったってジェームス・ジナスは再結成された時のブレッカー・ブラザーズでエレベをがんがん弾きまくっていたし、クラレンス・ペンにしたって今でこそ4ビートジャズのドラマーとして名声を博しているけど、デビューしたての頃はステップス・アヘッドに加入していたからなぁ。
個人的に嬉しいのはペンがパールのドラムスを使っていること。私はヤマハ、パールとドラムをほぼ交互に買い替えしてきて現在はパールの番なんだけど、ジャズ系で使っている人はとても少ないんだよね。実際私もヤマハの音の方が好きなんだけど、こうしてペンが良い音で叩いているのを観ると、パールもまだまだ捨てたものではないと勇気付けられる。
1~2曲目でガツンときて、その後にバラード系の大人しい曲が3曲続くといった編集になっているので、観ていてちょっと中だるみがしないでもないが、演奏そのものはとても素晴らしい。特にトリオとしての音の強弱の付け方には感心するね。ジナスやペンにもいつも以上にスポットが多く当たっていて、やっぱりライブは最高っす!!
曲の進行をオリジナルでずっと通しているので、アンコールでの「マイ・フーリッシュ・ハート」が逆に妙に心に染み入ったりもする。これこそがスタンダードの効果的な使い方でしょうな。
本DVDにはオマケとしてCDが付いていて未収録の曲が6曲(トータル64分)入っているので、もうこれだけでも十分に楽しめる。それを考えると3,949円(HMV価格、定価は5,000円)という値段も決して高くはないだろう。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)