James Spaulding(As,Fl,Bass-Fl)
Don Sickler(Tp,Flh)
John Hicks(P)
Ray Drummond(B)
Kenny Washington(Ds)
Rec. April 28,1999,Van Gelder Studio (High Note HCD7039)

手元に新譜がなくなったので、今日からまた何日かは未開封盤聴きです(苦笑)。
ジェイムス・スポールディングは1937年生まれのベテラン。50年代はサン・ラ・アーケストラに参加。60年代はフレディ・ハバード、ラント・グリーン、ウェイン・ショーター、ボビー・ハッチャーソン、デューク・ピアソン、リー・モーガン、マッコイ・タイナー等ブルーノートの吹き込みが多い他に、ジャズ・メッセンジャーズ、アーチー・シェップ、ファラオ・サンダースともやっている。70年代はチャールス・トリバー、ケニー・バロン、ウディ・ショウ、リッキー・フォード等の他、リーダー作「East 45 rpm(71年)」「Plays The Legacy of Duke Ellington (76年)」もリリース。80年代はフォード、ハッチャーソン、サン・ラ、デビッド・マレイに、リーダー作が「Gotstabee A Better Way!(88年)」「Brilliant Corners(88年)」。90年代はマレイ、ドナルド・ブラウン、アントワーヌ・ルーニーにリーダー作の「Songs Of Courage(91年)」「Smile Of The Snake(97年)」と、ようやく本作までたどり着いたのだが、長い経歴の割にはリーダー作は意外と少ないんだね。
ジェームス・スポールディングのことは今まで名前もプレイも認識していなかったが、スポールディングのサイトを見ていたら、彼が参加しているアルバムはけっこう持っていた。なんと売っ払っちゃって私的「幻の名盤」にしているアルヴィン・クイーン「Ashanti(81年)」にも入っていたんだね。そこで一緒だったジョン・ヒックスとレイ・ドラモンドに、アレンジャーやプロデューサーとしても有名なドン・シックラーと、ケニー・ワシントンが加わったのが本作である。

ドーハム、ゴードン、グラント・グリーン、モブレイ、エリントンといったジャズメンのオリジナルが主体で全10曲。
スポールディングはフルートは情感がこもっていて切実に歌っているし、アルトはフィル・ウッズ臭いけどとにかく指が細かく動いているし、楽器が太い音色で朗々と良く鳴っている。肺活量もかなりあるんじゃないかな。録音の時点で62歳の割には元気がいいねぇ。フルートはフルートらしく、アルトはアルトらしく吹いているので「一粒で2度美味しい」って感じだで、なかなか素敵な奏者ですな。
それと対照的なのがドン・シックラーで、この人はどちらかと言えばチェット・ベイカーのようなソフトなタイプ。この2人の組み合わせはなんか男女のデュエットを聴いているようで面白い。
ジョン・ヒックスはけっこう控え目に弾いている。自分は従となって思いっきりフロントを盛り立てているんだね。
レイ・ドラモンドとケニー・ワシントンはコテコテのバップ・テイストで演奏に箔をつけている。私なんかはこんなケニーのドラミングだけでも本作を楽しめてしまう口だ(笑)。
ありきたりのスタンダードはやってないし、スポールディングがフルートとアルトを持ち替えているので、聴いてて飽きるなんてことは全くない。
最近ホーン楽器(特にサックス)の線の細さがとても気になるヴァン・ゲルダーの録音が、ここでは意外とまともじゃないの。いつもこうだといいけどなぁ。でも微かにCTI時代の頃の匂いが漂っているね。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)