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John McLaughlin(G)
Billy Cobham(Ds)
Rcik Laird(B)
Jan Hammer(Key)
Jerry Goodman(Vln)
Rec. August 14,1971 NY

前にも書いているが、マハビシュヌ・オーケストラの「火の鳥(73年、別項あり)」が、それまでロック主体に聴いていた私の音楽人生を大きく変えている。当時はまだ高校生だったので、それほど音楽を数多く聴いていたわけではないが、そのせいもあってか「火の鳥」には本当に大きな衝撃を受けた。まだ世界中の誰もがやったことのない、ものすごく斬新なサウンドだったんだな。
で、ほどなくしてから後追いで買ったのがこの「The Inner Mounting Flame(71年)」。私としては邦題の「内に秘めた炎」の方がピンとくる。本作はマハビシュヌ名義のファースト・アルバムで、ジョン・マクラフリンとしては「マイ・ゴールズ・ビヨンド(70年)」に続く2作目。
「火の鳥」と大きく違うのは、ハイ上がりな録音のせいかこちらの方がパワー感があることで、その分音楽が暴力的な感じがする。ただ音そのものはけっこう貧乏臭い。これは主にビリー・コブハムが使用しているドラムセットが原因。「火の鳥」がツインバスでタムの点数も多いのに比べれば、こちらは4点セットといたってシンプルだしチューニングも高めで、なんかジャズの音なんだよなぁ。またヤン・ハマーがエレピとアコピしか使っていないことも関係しているかも。71年当時はムーグのシンセは高くて買えなかったのか、あるいはまだそんな楽器は存在しなかったのかも知れない。
音楽的にはすでにマハビシュヌの特長である変拍子が取り入れられていて、A面2曲の「夜明け」は7/4拍子。B面はもう変拍子の嵐で、1曲目のスピーディな曲「ヴァイタル・トランスフォーメーション」は9/8拍子(これ、超快感)だし、続くロッカ・バラード調の「マヤのダンス」は20/8(12/8+8/8)拍子。次の「ユー・ノウ、ユー・ノウ」に至ってはインド音楽のように1小節ごとの拍違いがワンセットって感じでよく分からない。ラストの「目覚め」のテーマ部分は4/4+7/8+7/8かな?とにかく異常な拍子や小節割りが多いっす(笑)
今買い足しているCDを聴きながらこれを書いているんだけど、ついつい音楽に引き込まれてなかなか筆が進まないほど凄い作品ですな。