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Chris Potter(Ts,Ss)
Robin Eubannks(Tb)
Steve Nelson(Vib,Marimba,Tambourine)
Nate Smith(Ds)
Dave Holland(B)
Rec. December 2005 (Dare2 Records SSC3058)

昨年のビッグバンド作品「Overtime(別項あり)」に続いてのDare2 Recordsからのリリース。デイブ・ホランドは70年代からずっとECMレーベルで活躍してきた人だが、「Extended Play(03年)」を最後にECMからは離れている。
このDare2 Recordsというのはサニーサイド系列なのだが、全然聞いた事のないレーベルなのでちょっと調べてみたところ、どうやらホランド自身が立ち上げたレーベルのようだ。今のところりリース作品は「Overtime」と本作の2枚のみ。これから新人なんかもどんどんプロデュースしてくれると嬉しいなぁ。
さて、本作の注目はなんといってもドラマーがビリー・キルソンからネイト・スミスに代わったことだろう。私は彼のドラミングはクリス・ポッターの「Underground(別項あり)」で初めて耳にしたのだが、そのドラミングはキルソンにとてもよく似ている。というか「Underground」記事では大胆にもキルソンよりも上手いなんて書いてしまっているけど、はたして本作ではどうなのか楽しみだ。

ホランド以下メンバー全員のオリジナルで全8曲。変拍子も取り入れたM-BASE風なちょっと難解で陰気臭い曲が続くのはいつも通り。メロディ・ラインが比較的シンプルなのでいくぶん聴きやすい印象かな。といってももちろん口ずさめるような曲は1曲もないけどね。ファンク調なものを主体に4ビート、ラテン風、アラビア風なものまで曲調は様々だが、曲中での拍子がころころ変わったりしていて相変わらず一筋縄ではいかないサウンドである。
パターン化したベースラインと、曲を「今ここの部分をやってるよ~」とガイドライン的に教えてくれるバイブ(マリンバ)を土台に、ホーン陣やドラマーが自由奔放にプレイするといった図式はいつもと変わることはない。ピアノレスということもあり、コード楽器に縛られることなく本当にみんなやりたい放題で、音楽の枠内でのはじけ具合は並大抵のものじゃないな。中でもユーバンクスは7曲目でアルバート・マンゲルスドルフのように一度に何和音か吹く奏法まで披露しちゃっていて、今まで以上にアグレッシブ。
ポッターは最近は悟りを啓いたかのように吹っ切れているんだけど、ここでのプレイも最高ですな。
で、注目のスミスのドラミングだが、ここぞという時のぶち切れ度が尋常でなくて、やはりこの人は只者ではないなぁ。キルソンよりも上手いと書いたのもあながち間違いではなかったと思う。
ネルソンも含めてメンバー全員が伸び伸びプレイできるのも、全てはホランドのおかげ。引き立て役といった感じで決して自分が前に出るタイプではないけれど、素晴らしいベーシストには変わりはない。その恐ろしさはソロのほんの数音を聴いただけでも分かるよね。これだけ存在感のあるジャズ・ベーシストは、世の中にはそんなにいるものじゃあありません。
録音はジェームス・ファーバー。音が生々しいし、ホーン楽器が耳に刺さることもない。これはボリュームを上げて聴けばかなりの迫力なんじゃないかな。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)