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Cedar Walton(P)
Vincent Herring(Ts)1,2
David Williams(B)
Joe Farnsworth(Ds)
Rec. April 7,2006 NJ (High Note HCD7157)

数多くのジャズ・ジャイアンツと共演してきた名脇役シダー・ウォルトンは1934年生まれ。
フレディ・ハバードの83年の映像作品「Live at the Village Vanguard」で弾いている姿がいつまでも心に焼きついているので、ずっと40~50代のイメージがあったのだが、今年でもう72歳になるのか。月日のたつのは早いものだなぁ。
シダーのリーダー作をちょっと調べてみたら、67年のファースト・アルバム「Cedar」から毎年のようにいろんなレコード会社からリリースされていて、今現在で50枚ちょっとある。サイド参加のものも膨大な数だろうし、流石に息の長いミュージシャンは違うよね。ちなみにリーダー作に関しては、私は本作を含めてたったの5枚しか持っていない。これじゃあシダーのことを語る資格なんて全然ないっすよ。

2曲のオリジナルやビリー・ストレイホーン・メドレー(3曲)、ショーター、ハバード曲などで全9曲。ハバード時代を思い出してか「Little Sounflower」とやっているのが嬉しい。ピアノトリオのアルバムではあるも、オリジナル曲の1~2曲目にヴィンセント・ハーリングが参加している。
なんか出だしから昔のブルーノートのような古臭い感じの録音だなと思っていたら、エンジニアがバンゲルダーでしたわ(苦笑)そういえば本作はHigh Note盤だものね。バンゲルダーはブルーノート時代はもちろんのこと、初期のヴィーナス・レコードの音なんかもスピーカーからドーンと前に飛び出してきて素晴らしかった。その音が現在のヴィーナスのハイパー・マグナム・サウンドの手本にもなっていると思うんだけど、それに引き換えなぜかHigh Noteのバンゲルダーはいまいちなんだよなぁ。ブルーノート時代からの特長である加工臭はもちろんあるとして、どうも全体的に音像が小さいし音の線も細めなんだよな。特にホーン楽器とライド・シンバルがいただけなく、ここでのハーリングのテナー(彼がテナーを吹くなんて珍しいな)も蚊の泣き声のようにか細いし、ファーンズワースのシンバルもチンチンしていてすごく安っぽい。この2点を改善しただけでも以前のような迫力のあるサウンドになると思うんだけどね。
音のことはこれぐらいにして、演奏の方に耳を傾けてみよう。
どんな人と演奏しても粋な感じのシダー節とでもいうのかな。独自の上品な語り口で決して破綻することがなく、それでいながらけっこう新主流派風なところもみせてくるシダー・ウォルトンだが、老境の域に達してそのいぶし銀的なピアノにはますます磨きがかかっている。多少のリズムの甘さやミスタッチが気になるようになったものの、このリラックスした中にもところどころに厳しさが垣間見れるあたりは、いかにもウォルトンといった感じで、幾つになっても素敵なピアニストですな。
そんなウォルトンとは古くからの盟友のデヴィッド・ウィリアムスはいまさら言うまでもなく相性バッチリだし、ファーンズワースのオーソドックスなドラミングもこの音楽によくハマっている。そういえばウィリアムスとファーンズワースの組み合わせは、つい先日聴いたヴィーナス盤の「David Hazeltine Trio/Alfie(別項あり)」でも耳にしているが、聴く限りでは本作の方に新鮮味がある。それはバンゲルダーの昔風な録音のせいもあるのかもしれないな。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)