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Vincent Herring(As)
Anthony Wonsey(P)
Essiet Essiet(B)
小林陽一(Ds)

会場 小坂町康楽館
主催 ヴィンセント・ハーリング・カルテット・ジャズ・コンサート公演実施委員会
前売 3,000円(当日3,500円)
6時30分開演 9時終了(1部と2部の間に15分ぐらいの休憩あり)


ヴィンセント・ハーリング(正確にはヘリングのようだ)は過去にも生で観ているが、そのことは「Vincent Herring/Ends and Means(別項あり)」でも書いているのでここでは省略する。
今回の目玉はアンソニー・ウォンジー。彼のピアノを生で体験できるなんてなんとも嬉しい限り。
まずは前座。吹奏楽をやっている人たちが中心となって臨時結成された地元のビッグバンドが登場。ベーシストは今回MCを担当していて、秋田県では知る人ぞ知る「ほろ酔いジャズナイト」というFM秋田のローカル番組のDJである秋田市の岸部有三氏。ドラムスは叩く人がいないということで、なんと小林陽一氏が。彼も秋田市出身なので快く引き受けてくれたのだろう。アドリブはほとんどなかったが、にわかバンドのわりにはちゃんとグルーブしているしアンサンブルもしっかりしていた。それはリズム隊のおかげなんだけど、でもこれだけ吹けるメンバーが揃っているのに臨時なんて勿体ない。今後も是非とも続けて欲しいね。ビッグバンドが盛り上がってくればなぜかコンボの方も盛んになってくる。みんなでジャズりましょうよ。あっ、もしドラマーがいないんだったら私に声をかけてくれると嬉しいな。
さぁてヴィンセント・ハーリング・カルテットの登場だ。
曲はもちろんハードバップ。各人に均等にスポットが当てられていて、主役はハーリングであるもそれぞれのプレイを十分に堪能できた。「上を向いて歩こう」をカッコいいアレンジでやっていたし、ピアノソロの曲なんかも1曲あった。
前にも感じたことだけど、ハーリングは楽器が裂けるのではないかと思うほど生音がでかいんだよなぁ。しかも音そのものもそうとう太い。これこそが現代のキャノンボールと言われる所以なんだけど、ジャズって音楽はある意味魂の叫びなので生音は大きければ大きいほどいいんだよね。それに汗がとてもよく似合う。昔のジャズメンの写真なんかほとんど汗をぶったらしているでしょう。やっぱりジャズはこうあってほしいのですわ。こんなのを聴かされた日には、なよなよした女性的なアルトなんか聴きたくなくなっちゃう。客の乗せ方もよく知っていて、アドリブ後半に速いパッセージで攻めてくるあたりは流石です。
ウォンジーもまたピアノのタッチが強く、ピアノがボディ全体で鳴っている感じ。3連のタメが効いているというか、かなりレイドバックしていて、まさに黒人のピアニストのノリそのもの。この感覚はなかなか日本人は出せないんだよな。彼はCDでは意外とサラッと聴こえるんだけど、ライブではまた一味違ってけっこう熱い。カッコいいバッキングやフレーズでガンガンと仕掛けてくるところなんかたまらないっす。
そしてガッチリとボトムをキープしているのがエシェットで、これまた太い音。堅実なベースではあるがソロでは指がよく動く。
で、小林陽一のドラミング。今回はメンバーがメンバーなのでいつもよりもアグレッシブだった。テクニック的なことだけとると今の若手ドラマーの方が上なんだけど、彼には誰にも負けないバップ魂がある。小手先だけではなく心底からバップしているんだよね。また尊敬しているアート・ブレイキー同様新人の起用にも一生懸命で、これまで彼のところから巣立っていったジャズメンはとても多い。そんな意味からも貴重な存在だと思うよ。今回主役のハーリングにしたって今でこそ超有名だが、小林がNYで修行していた時代にはどこの馬の骨とも知れないペーぺー仲間。お互い生活も苦しかったんじゃないかな?ってそのへんのところはよくは分からないけど、有名になってからも小林のために何度も(今回で7度目)来日していて、音楽の友情って本当に素敵だなあと思う。
アンコールはビッグバンドも交えての演奏。ハーリングなんかはサックスパートの中の一員になりきっていたし、ウォンジーはわざとピアノ初心者のようにたどたどしく弾いたりしていてユーモラスだったし、エシェットは岸部氏を引き立ててくれていたしで実に和やかな雰囲気のエンディングだった。
康楽館のジャズライブは何度か観ているけど、その集客力にはいつもながら感心します。