11

Vincent Herring(As)
Jeremmy Pelt(Tp)3,6,7,8
Danny Grissett(P)
Essiet Essiet(B)
Joris Dudli(Ds)

ヴィンセント・ハーリングは過去に一度生で観たことがある。
小林陽一のクィンテットでだったけど、現代版キャノンボール・アダレィと言われるだけあって、そのビッグトーンには度肝を抜かれたものだ。ちなみに他のメンバーはフィリップ・ハーパー、ケビン・ヘイズ、そして確かベースは本作にも参加しているエシエット・エシエット。演奏中にリフのことかアドリブの順番かなにかでハーリングとハーパーが口論していて、すごい険悪なムードになっていたのが懐かしい思い出だけど、その後二人が一緒にやっている話しは聞いたことがない(笑)

ハーリングは根っからのハードバッパーでとてもストレートな演奏をするのが売りの人なんだけど、さすがにいつも同じことをやっていれば飽きてくるのか、最近ではリズムを8ビートとかに変えてみたり、ちょこっとヘッドアレンジしてみたりと、いろいろ工夫してやっているようだ。ただちょっと音楽的に悩んでいるようなところも見受けられるので、むしろあまり考えないで能天気に吹いてくれる方がいかにもハーリングらしいんだけどな。なぜかパワーもなくなってきているし、音にも図太さがなくなったしね。
その印象は本作を聴いてもやっぱり同じ。
曲は全8曲。有名曲もあれば知らない曲もあるけれど、ハーリングのオリジナルはなし。ドラマーのJoris Dudli(何と読む?)が2曲提供している。
8ビートから途中で4ビートに変わる曲が随分多いけど、ハッキリ言ってこんなやり方って古臭いんだよなぁ。マンネリを打破しようとする気持ちも分かるけど、それだったら変拍子ぐらいまで行ってほしいよね。あともっとラテン的なビートを取り入れるとか。そんなのが出来ないのだったら、だまってごく当たり前の4ビートでやっていてほしいんだな。
メンバー的にはそんなに悪くはない。初めて耳にするダニー・グリセットもJoris Dudliもまずまずだし、エシエットもそれなりに弾いている。そして何といっても4曲に参加しているジェレミー・ペルトの存在が大きい。実はこのアルバムは彼が入っているから買ったようなものだけど、その期待に背かずとても人間味のあるソロをとっていてさすがだね。今回はちょっとフレディっぽいけど彼のトランペットは大好きだなぁ。
ベスト曲は5曲目。「ノルウェーの森」が思いっきりコルトレーンの世界になっていて、こりゃカッコいいっすよ。
あと6曲目のアップテンポのハードバップ。演奏が熱い熱い。やっぱりハーリングはこうでなくっちゃね。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)