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Taylor Eigsti(P)
Christian McBride(B)
Lewis Nash(Ds)
Julian Lage(G)
James Gennus(B)
Billy Kilson(Ds)
etc.

テイラー・アイグスティ(1984年生まれ)は初体験なんだけど、HMVのコメントには「4歳からピアノを習い始め、8歳でデヴィッド・ベノワと、13歳でデイヴ・ブルーベックと共演、15歳でスタンフォードのジャズ・ワーク・ショップの講師となり、2001年に16歳にてCDデビュー」なんて書いてある。凄い経歴だよね。
リーダー作も本作ですでに5枚目じゃない。リアルタイムでジャズ聴くのをモットーとしているのに、こんな人を今まで聴き逃していたなんてなんともお恥ずかしい限りである。

もう出だしの「ジャイアント・ステップス」のコードが3個鳴った瞬間に、直感的に「コヤツはやるな」と分かったね。だって数ある楽曲の中でも、目まぐるしいコードチェンジで演奏するのが最も難しいとされているこの曲をトップに持ってくるなんて、テイラーの自信の表れだもの。実際聴いても素晴らしいテクニックと感性を持っているというのがよく分かった。スタンダードの解釈もなかなかいいしね。中でも「フリーダム・ジャズ・ダンス」はかなりハチャメチャでカッコよすぎ。ただこれと「ジャイアント・ステップス」以外の曲はあまりにもそつがないというか優等生的すぎて、なんかいまいち全面的に賛成できないものがあるなぁ。
選曲にしたって、あれもやりたいこれもやりたいと積極的なのはいいんだけれど、もろ4ビートあり、コンテンポラリー・ジャズ系あり、ファンキーあり、クラシックのアレンジものあり、リリカルなロマンチック路線ありでアルバム自体にあまり統一感がないしね。もしかして本人がどっちの方向に行きたいのか、微妙に悩んでいるのではないだろうか。
そんな彼に老婆心ながらアドバイスさせてもらいます。
まずはオリジナル・メンバーでレコーディングを含めた活動をすること。CDデビューしてもう5年も経っているんだから、なにも今更こんな豪華メンバーでなくともいいでしょう。というかこれはもしかすればConcord側の売らんがための策略かもしれないけどね。
音楽の方向性としては真面目に4ビートジャズ一本で勝負をかけてもいいんじゃないかな。たしかにコンテンポラリー・ジャズ(というかスムースジャズか)や軟弱なロマンチックなのをやっているほうが金は儲かるんだろうけど、今までそんなのに溺れてジャズのハングリー精神をなくしていったミュージシャンたちがどれだけ多いことか。テイラー君ほどの実力の持ち主だったらジャズだけで十分にメシを食っていけると思うんだけどね。まあ、本人にやる気がないなら別だけど(苦笑)
もしどうしても音楽的にいろいろやってみたいのだったら、アルバムごとに明確なコンセプトを打ち出して、その都度違うものをやったほうがいいんじゃないかな。
とにかくこのアルバムは「ごった煮」感が強すぎです。

Concordの新人ジャズメン・シリーズ(?)でHMV価格は1,455円。クリスチャン・スコットのところでも書いたけど、こんな価格設定は大歓迎。
なお国内盤は4月21日に発売で2,520円です。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)