Jeremy Pelt/Identity

Jeremy Pelt(Tp,Flug)
Frank Locrasto(P,Rhodes,etc.)
Vicente Archer(B)
Eric Mcpherson(Ds)

Myron Walden(Ss,B Cla)
Mike Moreno(G)
Warren Wolf(Vib)

Criss盤のラルフー・ピータソンの3作品や自己リーダー作「Insight」などでハードバッパーというイメージがとても強いジェレミー・ペルト。移籍して(?)Max Jazzから発売された前作「Close to My Heart」ではウィズ・ストリングス的なところもあったが、やはり基本4ビートでバリバリ吹くというバップ路線には変わりはなかった。
わたし的には若手黒人バップトランペッターの三羽烏が、ダレン・バレット、ラッセル・ガン、そしてこのジェレミー・ペルトである。といっても、似たような年齢かどうかは調べていないが、まあ、私が好きな若手ってことで。
3人とも輸入盤でしかお目にかかれない(のかな?)ので日本ではまだまだ名前が知れていないとは思うが、かなりの実力者たちなのは間違いない。ロイ・ハーグローブやニコラス・ペイトンあたりはうかうかしていられないんじゃないかな。すぐ後ろまで追いついて来ております。

さて本作である。
60年代中~後期あたりのマイルスの臭いがプンプンするサウンド。曲(オリジナル)は全て薄暗い系に統一されている。
彼のアルバムからこんなサウンドが飛び出してくるとは思いもよらなかったが、とにかくカッコいいっすヨ~。
あっ、ここで念を押しておきますが、あくまでも彼のトランペットは基本的には今までどおりで、マイルス風に吹いているということでは全くないです。まあ、エフェクトやミュートも曲により使っているので、ちょっとは似てしまったというところもあるがね。っていうか五十嵐一生あたりも思い浮かんだりしてしまう。
これがオリジナルメンバーなのかは分からないが、若手を集めてこういう音楽にちょっと挑戦してみたって感じかな。
ゲスト参加のウォーレン・ウルフのバイブはやっぱりスゲ~し、マイロン・ウォルデンのソプラノはディブー・リーブマン化しちゃって手が付けられないぐらい恐ろしい。

このアルバム、今年買った中でもかなりの上位に入るんじゃないかな。私は好きです。

(ダウンビート誌が主催する本年度の「国際ジャズ批評家投票」では、トランペット部門で見事ニュースター賞を獲得したようですね)