Billy Cobham(Ds,Per)
John Abercrombie(G)
Michael Brecker(Ts,Ss)
Randy Brecker(Tp)
George Duke(Key)
Garnett Brown(Tb)
Lee Pastora(Per)
John Williams(B)

ビリー・コブハムの「スペクトラム」に続く第2作目がこの「クロスウィンド(74年)」である。
まずはメンバーを見ていただきたい。ジョン・アバークロンビーとブレッカー兄弟は実はこれがデビュー盤(コブハム・バンドでの)なんだね。この当時すでに彼らの実力を見抜いていたコブハムはまさに恐るべし!

このアルバムは何といってもA面を占める組曲「教会のあるスペインの荒野にて」が素晴らしいのだが、そのテーマは風である。
a部分「教会のあるスペインの荒野にて」は風の音からスタートする。遠くでは鐘が鳴っている。マイケルのソプラノがとても美しい牧歌的な曲だが、実は17/16拍子というとんでもない拍の曲。マハビシュヌ出身のコブハムならではの拍子だが、他のメンバーは合わせるのにとても苦労したんだろうな。
b「のどかなサヴァンナ」はガーネットのトロンボーンがのどかさを醸し出している。後半デュークのエレピが犬の遠吠えを思わせるあたりは流石ですな。
c「嵐」は風の音が次第に強くなり嵐に変化するが、そこからかぶさるコブハムのドラムソロは圧巻。ジェットマシンをかませているので、タダでさえ凄いコブハムがとんでもなく恐ろしいものになってしまった。
d「閃光と洪水」はまたまた17/16拍子。こちらはアップテンポなのにもかかわらずテーマや3管でのリフがバッチリ決まっているね。ランディやアバークロンビーのアドリブはすでに彼ら独特の音づかいになっている。このドラムパターンは昔よくコピーしたっけな。
B面、タッタラタンタンから始まる「プレズント・フェズント」は私が大好きな曲。けっこうファンキーだよね。それにしてもここでのマイケルのテナーはぶっ飛びものですな。現在のマイケル節が早くも現れている。デュークのいい感じなエレピでのバッキングやムーグシンセ(かな?)のソロ、コブハムのとても真似の出来そうにもないドラムソロなど聞かせどころの多い曲だね。
ほか2曲入っているが、このクロスウィンドはワタシ的にはコブハムのアルバムの中では最高傑作ではないかなと思っている。

やっぱり私は組曲風なのって大好きだなぁ。今のミュージシャン達にもこういうヤツをぜひやってもらいたいものだネ。