Bill Carrothers (piano)
Peg Carrothers (voice)
Matt Turner (cello)
Drew Gress (double-bass)
Bill Stewart (drums)
Jay Epstein (percussion, sound effects)
Mark Henderson (bass clarinet)
The Knob Creek Choir: Bill Carrothers, Bill Carrothers Sr., Gérard de Haro, Jay Epstein, Phillippe Ghielmetti, Drew Gress, Ted Holsten, Bill Stewart, Matt Turner, Steve Wiese, Davis Wilson

フランスのSketchレーベルからのリリースなのだが、どうやらこの作品を最後に倒産したもよう。で、日本での輸入元だった澤野商会がSketchレーベルを買い取ったようだ。今後もSketch作品はリリースしていくそうなのでまずは一安心。澤野さんありがとう。

私がビル・キャロザーズを初めて聴いたのは02年のDuets With Bill Stewart(Deyfus盤)。これは私の大好きなドラマー、ビル・スチュワートとのデュオなのだが、こんなフリージャズっぽい編成とは裏腹に意外とまともな4ビートジャズをやっていて(中にはフリー的なものも入っていたが)とても面白く感じたものである。
その後The Electric Bill(02年、Deyfus盤)を購入。これはフュージョン系かと思いきやこれまた4ビート主体にちょっとフリーもかましていて、この人ってなかなか意表を突く人だなとえらく感心する。
で次がGhost Ships(03年、Sketch盤)、これはタイトルからイメージする通りのちょっと不気味なサウンドが多かったかな。でも曲にちゃんとテンポがあるので、あたり前の4ビート感覚で楽しめたし、美しい曲や軽快な曲も含まれているので聴きやすいものにはなっていた。

さて新譜(本作品 03年録音)である。
第一次世界大戦をテーマにした2枚組みの作品。イメージ的にはかなり重く感じるよね。
ペグ・キャロザーズという女性ボーカル(奥さん?兄弟?)とメンバー他によるコーラス隊でのアカペラからスタートするこのアルバム。ボーカル(ボイス)ものあり、ストライドピアノ風あり、4ビートあり、もろフリーあり、M-BASE風あり、8ビート風あり、アフロ系ありととてもバラエティーにとんでいる。
Disc1は他人の曲主体、Disc2はオリジナル主体となっているが、曲は何となく暗めのもので統一されているというか、知っている曲にもあえて暗めのコードをつけていたりする。でもそれほど「戦争」とか「反戦」とかということは意識することなく聴けるのではないだろうか。さすがにDisc1の10曲目「きよしこの夜」の不気味さだけは不幸なものを感じるが。

やっている事自体は今までのアルバムの延長なので「問題作」(訳が分からない時によくこう呼ばれる)になるとも思えないし、私としてはいつも通り楽しめることができたね。
でも、ビル・キャロザーズのピアニストとしての実態はいまだよく見えて来ていない。なかなかユニークな人だなぁ。