Wayne Shorter(Ts,Ss)
Danilo Perez(P)
John Patitucci(B)
Brian Blade(Ds)

02~04年にかけてのショーター・バンドをライブ収録したもので、前作Footprints Live!(02年)よりも後の演奏を聴く事ができる。
ここで繰り広げられている音楽は、テーマ~アドリブ~テーマなんていうありきたりな音楽展開ではない。曲は簡単なモチーフのようなものだけで、それがどう展開していくかは本人たちもやってみなければ分からないほどのスリリングさがある。よほど4人が神経を研ぎ澄まして相手の出方を見ていないとこうはならないハズで、まさに真剣勝負そのもの。
ショーターの特長であるミステリアスなサウンドと空間を利用した音数の少ないサックスの奏法は最近更に凄みを増してきたのではないかな。テクニック的には高速フレーズのブレッカー等の方が上なのは誰がみても明らかなのだが、ショーターを聴いていると音楽はテクニックばかりではないのだということをいやが上でも思い知らされる。現在70歳ちょいだと思うが、老いてなおこれだけ創造性のあるミュージシャンが他にいるだろうか。とても恐ろしい人だよね。
東京JAZZ2002で生をご覧になって感じた方もおられるだろうが、このバンドの静から動へのダイナミズムの表情の豊かさはブライアン・ブレイドのたまもので、彼がいるからこそこれだけの躍動感が生まれてくるんだよね。そしてほとんど定型ビートを刻まないかっこよさ。もしもありきたりな8ビートや16ビートをやっていればサウンドがとても陳腐なのもになっていただろうな。
ペレスとパティトゥッチはこのヘタすればやりようのない音楽で、ショーター以上に「ショーター色の濃い」サウンドで色をつけている。かれらのイマジネーションの豊かさと、このバンドに注いでいる情熱は並大抵のものではないな。特にパティトゥッチなんかは今年のチックのエレクトリック・バンドのツアーを断わっているほどだものね。

本作品は前作Footprints Liveと並び、ショーターの最高傑作であると同時に、ジャズの歴史の1ページにしっかりと刻まれるのではないかと思っている。