日野皓正(Tp)
多田誠司(As,Ss)
イ・ジョンシク(Ts)
石井彰(P)
金澤英明(B)
井上巧一(Ds)

日野のようなベテラントランペッターに多いのが、マイルスやフレディのようにあまり細かいフレーズを気にせずにハッタリをきかせるタイプで、ある意味ごまかしがとても上手い人たち。逆にウイントン以降の若手のほとんどは、クリフォードのようにとても完璧なフレーズ(リップコントロールが正確)を吹く人たちが多い。どちらが好きかは人それぞれであろう。

私が生まれて初めて(じゃないな、二回目か)のジャズのコンサートを見たのは今から31年前、日野皓正クインテットだった。
ドラムのトコさん(故人)以外はどんなメンバーだったか忘れてしまったが、なんとカッコいいやつらだろうととにかく感動しましたね。その後も日野兄弟は我が地方に一緒に来たり別のバンドで来たりと、どちらも10回以上は見ている。なにかと地方に来てくれてとてもありがたいことです。
現メンバーの日野もすでに2回見ているのだがその新譜が本作品である。

今回ゲスト参加のイ・ジョンシクは、確か私はリーダーアルバムを1枚持っていたハズだが、どこを探しても見当たらずもしかすれば記憶違いかな~。CDリストにもないような感じだし。う~ん、なんか頭の中がもやもやするね。年を取ってきたらこんなことがよくあるんだよネ。まあいいや。
最近の日野はいい意味で吹っ切れたんではないだろうか。若手たちの完璧なテクニックにはついていけないと割り切れるようになったのか、さらにハッタリ感のあるトランペットで勝負するようになったね。若手にはこういう部分が逆に欠けているからな~。
今回のアルバムはアグレッシブな曲もあったりしてなかなかいい感じ。日本のケニー・ギャレットといってもいいぐらいのぶっ飛び男の多田にプラスしてジョンシクの参加で日野が大分触発されていますな~。
1曲目や5曲目ではバックに簡単なリフを繰り返させて、その上にフロントが乗っかっていくという最近流行りの手法を取り入れている。途中から4ビートに行きたいバックを「まだだまだだ」と制止している日野が目に浮かぶようで面白い。
2曲目はオール・ザ・シングス・ユーアーのコード進行を借りて新しい曲にしているね。こういうのは昔よく流行ったタイプ。アルバムは覚えていないが昔デイブ・リーブマンが枯葉のコードを借りて作った曲もとてもカッコよかったな~。
最後の曲はもろフリー、これがなかなかいいんだな。昔からやっていることだからとても懐かしい気持ちになるね。

いつも思うのだが日野のジャズには「日本のジャズ」というイメージが付きまとう。そこが彼のいいところと悪いところかも知れない。


話は全く違うが、リー・リトナーと杏里が婚約したのと、ニールス・ペデルセンが亡くなったのでビックリしている。