今回はドラマーではなくタブラ奏者のザキール・フセインである。

私がインド音楽に興味を持つようになったのは、ジョン・マクラフリンの影響をモロに受けてしまったから。(マクラフリンがやっているのはインド音楽の「古典」ではないので、厳密に言えばインド音楽風のものに興味を持つようになったというのが正しい表現かも知れないが、とりあえずインド音楽と書いていきます)
マハビシュヌ解散後にマクラフリンがザキールを含むインド人たちと75年に結成したシャクティは、私が初めて聴いたインド音楽だったわけで、その時の衝撃といったらホントに腰を抜かすほど凄まじいものだった。この即興演奏ながらビシバシ決まる音楽は、もしかすればジャズよりも凄いんではないのかと思うのと同時にザキールのタブラにぞっこん。この楽器は、タブラ(小さい方)とバヤン(大きい方)のたった2個のタイコを指で叩き何十種類もの音を出すという奏法がたいへん高度な楽器なのだが、彼のスピードの速さといったら常識では考えられないんだよね。マクラフリンの高速ギターが遅く感じられるほどだからね。あと右手と左手で全く違うことをやっているし、まるで2人で叩いているように思ってしまうほど。
シャクティを聴く前にもECMのデイブ・リーブマンのルック・アット・フォームとかでタブラを聴いてはいたものの、ザキールを耳にしてからはこの人は別格だなと思いましたな。
(シャクティ解散後も私はタブラという楽器そのものもアルバムで追いかけて行くことになって、その中でもオレゴンはサウンド的にもカッコいいグループだったな~)

ザキールは15年ぐらい前にNHK教育の「インド音楽の世界」っていうようなタイトルの番組を偶然観たときにタブラソロをしていたのだが、あまりの速さに指が全く見えなくてまたまた腰を抜かしたもんです。
彼はインド音楽の「古典」はもちろんだが、異種格闘技がとても好きと見えて、マクラフリン以外にも渡辺香津美のレゾナンスボックスとか同郷のトリロク・グルトゥ(別項)とかさまざまなアルバムにゲストで参加しているので、意識はしていなくても結構みんな聴いているかも知れないネ。

5~6年前にマクラフリンが復活させたリメンバー・シャクテイが、私を泣くほど喜ばせてくれたのは言うまでもない。

つい最近、近所にアマチュアのタブラ奏者がいるのを知ってさっそく弟子入りした。
初めてタブラを叩かせてもらってとても感動したと同時に、やはりかなり奏法がむずかしい楽器だということをつくづく思い知らされている。ドラムで身に付けた知識や奏法はほとんど役に立たないんだよね。むしろピアノをやっている人のほうが出来るかも?
「あ~、ザキール様のように叩けるようになりたい~!」一生無理な話ではあるが・・・