Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

Sherman Irby & Momentum / Cerulean Canvas

Sherman Irby (As)
Vincent Gardner (Tb)1, 2, 7, 9
Eric Read (P)
Gerald Cannon (B)
Willie Jones III (Ds)
Special Guest: Wynton Marsalis (Tp)8, 10, Elliot Mason (Tb)3, 4, 5
Rec. April 11-12, 2017, NY
(Black Warrior Records BW1006)

「Willie Jones III / Vol. 1...Straight Swingin'(01年)」「Ryan Kisor/Conseption - Cool and Hot(08年、別頁あり)」「Ryan Kisor Quintet/Live at Smalls(10年、別頁あり)」や、ボス的存在であるウィントン・マルサリス率いる「Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis feat. Paco De Lusia/Vitoria Suite(10年、別頁あり)」に参加していたシャーマン・アービーのリーダー作を聴くのはこれが初めて。本人のサイトを見ると他にも7枚のリーダー作がリリース(うち2枚はBlue Noteから)されているけれど、名前さえ忘れかけていたところに本作が良かったとコメントをくださった方がいたので、バックのメンバーがいいこともあって興味津々買ってみた。

アービー曲が6曲(かな?)と、ヴィンセント・ガードナー曲が1曲、マルグリュー・ミラーの「From Day to Day」、ウェイン・ショーターの「Contemplation」、スタンダードの「Sweet Georgia Brown」で全10曲。
ハードバピッシュなものに、曲によってはコルトレーン的なモーダルさを加味しながらのストレート・アヘッドな演奏だけど、伝統を踏まえながらも決してオーソドックスなだけではない楽曲自体がよく出来ていることもあって好感が持てる。アービーのアルトは、キャノンボール・アダレイやヴィンセント・ハーリングあたりとも共通する芯の太さや力強さの中に優しさも兼ね備えているとでもいえば分かりやすいかな。楽器が朗々となっている様が気持ちいいし、情感豊かなフレージングで聴かせてくれるのだが、もう一人のフロントであるヴィンセント・ガードナーもそれには負けじと吹いていながらも、テーマのアンサンブルでは息がピタリと合ったコンビネーションを見せつけるのだから、さすがにJLCOでも一緒にやっているだけのことはあるね。この2人だけでも十分に楽しめるというのに、エリック・リードがこれまた自分のリーダー作よりもいいのではと思うほどのフレッシュなプレイをしているし、ソロを取っている場面もけっこう多いジェラルド・キャノンの存在感のあるベースや、この手の演奏にはもってこいのウイリー・ジョーンズIIIのドラミングも冴えわたっているおかげで、どの曲をとってもノリノリで楽しことができる。5曲にはウィントンやエリオット・メイソンがゲスト参加で手抜きなしのプレイをしているので尚更だけど、トータルで76分はいくらなんでも長いかも。一本調子の演奏ではないので、聴いてて飽きてくることはないにしても、2曲ぐらいカットした方がスッキリと纏まってよかったのではと思う。
純粋な4ビートジャズのアルバムとして、本作はかなりの高ポイント。演奏が良いだけではなく、録音(エンジニアはVenus盤でお馴染みだったキャサリン・ミラー)も温かみのある各楽器の音色、バランス共に上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Cerulean Canvas
Sherman Irby & Momentum
Black Warrior Rec.
2017-10-20



--EDIT--

Bob McChesney / Chez Sez

Bob McChesney (Tb)
Larry Goldings (P, B3)
Darek Oles (B)
Bill Stewart (Ds)
Bob Mintzer (Ts)1, 5, 8, 9, 10
Rec. 2014?, CA

ボブ・マッチェスニーは全然知らないトロンボニストだし、リリース年も2015年と少々古いけど、バックにはラリー・ゴールディングス、ダレク・オレス、ビル・スチュワート、ボブ・ミンツァーのそうそうたるメンバーが揃っているのだから、本作を買わないわけにはいかないだろう。マッチェスニーの経歴等は本人のサイトがあるので後で目を通すとして、自ブログで検索したら「Patrick Williams The Big Band / Aurora(11年)」「Donald Vega / Spiritual Nature(12年)」「Bob Mintzer / All L.A. Band(16年)」(各別頁あり)に参加しているのが見つかった。

マッチェスニー曲が3曲、ゴールディングスとの共作が2曲、ゴールディングス曲が1曲、ナット・アダレイの「Naturally」、ジェローム・カーンの「Yesterdays」、デイヴ・ブルーベックの「In Your Own Sweet Way」、アクセル・ストーダールの「I Should Care」、コール・ポーターの「Love For Sale」で全11曲。
1曲目「You May Have It Wrong」(マッチェスニー曲)はアップテンポの4ビート。マッチェスニーとミンツァーのビシッと決まっているテーマ・ユニゾンからして既にカッコいいのだが、アドリブに入ってからもマッチェスニーはスライド・トロンボーンとは思えないような速いパッセージを正確な音程とタンギングで吹いているのだから、これはかなりのテクニシャンだね。またミンツァーがこういう純ジャズをやっているのも近年では聴いた記憶がないだけに、もうそれだけでも嬉しくなってしまう。2人がこれだけいい感じで吹けているのは、おそらくピーター・アースキンあたりとはタイプが異なるビルスチュのおかげだと思うけど、後半にはそんなに長くはないけれどドラムソロも用意されていて、この1曲で早くも買ってよかったという気分にさせてくれる。それと比べると続く2曲目「Naturally」ではごく普通のジャズをやっているし、ゴールディングスがハモンドを弾いている3曲目「The Preakness」(マッチェスニーとゴールディングスの共作)もよくあるタイプのファンキーな感じの8ビートではあるけれど、それでいながらノリノリにさせてくれるのは、各人のプレイが魅力的なのに他ならない。バンドとしても西海岸と東海岸の特性的なものが上手くミックスされていて実にいいね。知っている既成曲が多く収録されているし、演奏的にも分かりやすいので、これは特にアマチュアのトロンボニストの良いお手本になりそう。普段はもっと難しいコンテンポラリーなジャズを好んで聴いている私も、基本はこういうオーソドックスな演奏なのでホッとした気分を味わえるのだが、それでいながら1曲目と同様アップテンポの5曲目「Chez Sez」や8曲目「This Thing」(どちらもマッチェスニー曲)では気持ちをピリリと引き締めてくる匙加減が何ともたまらない。
ということで本作は買って大正解。お目当てだったビルスチュが多くの曲でドラムソロを取っているのも嬉しい誤算だし、アコピのときのゴールディングスのアドリブもやけによく感じる。録音(エンジニアはMichael Aarvold)も各楽器がバランスよく録れていて、その温かみのある音質共々上々だね。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Chez Sez
Bob Mcchesney
Moco Records
2015-06-09



--EDIT--

Laurent de Wilde / New Monk Trio

Laurent de Wilde (P)
Jerome Regard (B)
Donald Kontomanou (Ds)
Rec. April 2017, France
(Gazebo GAZ133)

ローラン・ド・ウィルドを聴くのは「Laurent de Wilde / Over the Clouds(12年、別頁あり)」以来なので5年ぶりだけど、本作は大好きなセロニアス・モンク集なので、ただでさえ良いウィルドにはますます期待してしまう。メンバーのジェローム・リガードは名前を憶えていないけど、上記「Over the Clouds」中の1曲の他にも、「Nicolas Folmer meets Bob Mintzer / Off The Beaten Tracks Vol.1(11年、別頁あり)」「Daniel Humair / Sweet & Sour(12年、別頁あり)」に参加しているのが自ブログで見つかった。ドナルド・コントマヌゥ(?)はこれが初聴きだけど、はたしてこの3人でモンクの楽曲をどのように料理しているのか楽しみだ。

モンクの「Misterioso」「’Round Midnight」「Monk's Mood」「Thelonious」「Pannonica」「Monku's Mix (Rhythm-A-Ning, Nutty, Green Chimneys, Little Rootie, Oska T」「Four in One」「Reflections」「Coming on the Hudson」「Locomotive」「Friday The 13th」と、ウィルド曲が1曲で全12曲。
時代を先取りしている感のあるモンクの楽曲を現代的なビートで演奏するのはいろんなジャズメンがやっているけれど、本演奏では4ビートをメインに、8ビート系もありぐらいに留めておいているのに、むしろ新鮮味を覚える。同じくピアノトリオでのモンク集「Chihiro Yamanaka / Monk Studies(17年、別頁あり)」よりもこちらの方が面白く感じられるのは、曲ごとに変化に富んでいるから。プロとしては当たり前のことかもしれないけれど、リガードとコントマヌゥ一の引き出しが多いおかげで、いろんなノリの演奏を楽しむことができる。でもなんといっても一番の聴きどころはウィルドのピアノだろう。アドリブ部分がハンコック調の2曲目「’Round Midnight」以外はモンクを意識してか、これまでよりも音数少なく弾いているし、トリオとしても落ち着いた演奏が多いながらも、その上手さは随所で光っているのだから流石としかいいようがない。6曲目「Tune For T」(オリジナル曲)のストライド奏法的なソロピアノも、モンク的な雰囲気を醸し出しているのが実にいいし、7曲目「Monk's Mix」のモンク曲メドレーはもっと長く演奏してもよかったような気がするものの、お気に入りの曲ばかり取り上げているので、もうそれだけでも嬉しくなってしまう。2曲目「’Round Midnight」でのグイグイ突き進むような感じのベースや10曲目「Coming on the Hudson」でのソロ、同じく10曲目や4曲目「Thelonious」でのドラムソロ等、ウィルドだけではなくリガードとコントマヌゥにもそれなりにスポットが当たっていてルンルン気分になっているところに、ラストの「Friday The 13th」ではオーバーダブか何かでメロディー部分に楽し気な口笛も被せているものだから、釣られて一緒に吹いてしまった。欲をいうとトリオとしてはこじんまりと纏まっている印象なので、これでもっとガツンとくる曲が2曲ぐらいあれば更によかったと思う。
久しぶりに聴いたウィルドだけど、今回は手数が少なめながらもやっぱりいいね。本作は録音(エンジニアはDominique "Dume" Poutet)も各楽器がバランスよく録れていて、その音質共々上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


New Monk Trio
Laurent De Wilde
L'autre
2017-10-19


--EDIT--

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