Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

Blue Note All-Stars / Our Point of View

Ambrose Akinmusire (Tp)
Marcus Strickland (Ts)
Lionel Loueke (G, Vo)
Robert Glasper (P, Rhodes)
Derrick Hodge (Ac-B, El-B)
Kendrick Scott (Ds)
Guests: Wayne Shorter (Ss), Herbie Hancock (P) Disc Two 1
Rec. 2017?, CA
(Blue Note 5777491)

流石にBlue Note All-Starsと銘打っているだけあって、NYの第一線で活躍中のそそられる面々が揃っているのだが(1曲にはウェイン・ショーターとハービー・ハンコックも参加)、HMVレビューによると、「2014年に同レーベルの75周年を記念して集結。その年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでライヴ・デビュー。その後も何度かライヴを行っていたが、ついに今年アルバム・リリースが実現」なのだそうだ。プロデュースはロバート・グラスパーと現社長のドン・ウォズが担当。これだけのメンバーで、はたしてどういう演奏を繰り広げているのか楽しみだ。

アンブローズ・アキンムシーレ曲が2曲、マーカス・ストリックランド曲が1曲、リオーネル・ルエケ曲が1曲、グラスパー曲が2曲、デリック・ホッジ曲が2曲、ケンドリック・スコット曲が1曲、ショーターの「Witch Hunt」「Masquelero」で全11曲(ディスク1が6曲、ディスク2が5曲)。
レコーディングの前に既に数回のライブを行っているだけあって、単なる顔見世的なセッションではない、バンドとしてよく練られたコンテンポラリーな演奏が展開されている。グラスパー曲の1曲目「Bruce's Vibe」はしゃべりもありのプロローグ的な曲なのでさておき、2曲目「Cycling Through Reality」(スコット曲)からは各人が本気モードで攻めていて、目茶苦茶カッコいいことになっているね。特にグラスパーはCriss Cross以降の自己のリーダー作ではもっと聴きやすいというか大衆受けする音楽をやっているだけに、久しぶりにガツンとくるプレイが聴けて嬉しい限り。またアキンムシーレとストリックランドもそれに負けじと容赦なくいっている。更にはルエケの個性的なギターもいいアクセントとなっているけれど、この4人がエネルギッシュなプレイができるのも、ボトムをガッチリと支えているホッジと、常にバイタリティー溢れるドラミングでバンドを鼓舞しているスコットがいるからこそだろう。ただでさえやり手の面々が一堂に会したことによる相乗効果で、ますますテンションの高いプレイで聴かせてくれる。オリジナル曲を持ち寄っていることもあって、同じ雰囲気の曲調が続いていないのもいい塩梅。非4ビートがメインではあるけれど、ディスク1の4曲目「Henya」(アキンムシーレ曲)はトランペットの多重録音とベース、ストリングス(もしかするとホッジの多重録音かも)だけによるドラムレス演奏、続く5曲目「Witch Hunt」(ショーター曲)はマイルス・クインテットを思いっきり意識した4ビート演奏と、曲によってはビートや編成を変えたりもしているので、2枚ぶっ通しで聴いても冗長な印象を受けることなく、ディスク2でルエケが歌っている曲が多いのは気にならなくもないものの、最後までノリノリで楽しませてくれる。曲によっては手に汗握るスリルと興奮まで味わえて、もうこれだけ私好みの演奏(しかも想像していた以上にシリアス)をされてしまっては文句のつけようがない。ソロイストが多いにもかかわらず、リズム隊の2人のソロが堪能できる曲もきちんと用意されているし、ディスク2の1曲目「Masquelero」に参加しているショーターとハンコックの気合も相当入っている。
Blue Note All-Starsという名前負けは全くしていない素晴らしい演奏に加えて、録音(エンジニアはKeith Lewis)も各楽器が過不足のない良い音(音楽的にもオーディオ的にも)で録れていて、本作は当然ながらの5つ星。これは今年の私的ベストアルバムの上位に食い込むのも確実だろう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Our Point of View
Blue Note All-Stars
Blue Note Records
2017-09-29


--EDIT--

Robi Botos / Movin' Forward

Robi Botos (P, Or, Nord, Rhodes, Clavinet)
Jeff 'tain' Watts (Ds)
Robert Leslie Hurst III (B)
Seamus Blake (Ts, Ss, EWI)
Rec. 2014?, Tronto
(A440 Entertainment A440 010)

バックのメンバー買い。リーダーのロビ・ボトスは知らないピアニストだが、自ブログで検索したらテリ・リン・キャリントンの「One Take Volume Two(06年、別頁あり)」に参加しているのが見つかった。本人のサイトによるとハンガリー生まれで、1998年にカナダに移住。オスカー・ピーターソンに師事し、チャカ・カーン、アル・ジャロウ、ブランフォード・マルサリスとも共演歴があるよう。リーダー作は「Robi Botos / Place To Place(11年)」「Robi Botos / Friday Night Jazz(15年)」に次いで、本作が3枚目。ジャケ裏を見るまでは2015年作品だと気づかなかったけど、カナダJUNO Awards「最優秀ジャズアルバム」受賞作のようなので、これでよしとしよう。

ボトス曲が8曲と、バカラックの「Close To You」、スタンダードの「Softly as in a Morning Sunrise」で全10曲。
クレジットにはシンセやエレピ、EWI等も記されているけれど、やっていることは純ジャズ(8ビート調やラテンタッチの曲が多いが)で、アコースティックな演奏の中に、曲によってはエレクトリック楽器が違和感なく取り込まれているのがいい塩梅。ボトスのピアノがあまり弾まない感じなのはキース・ジャレットあたりに影響を受けているヨーロッパのピアニストと、また1曲目「Eurorleans」の4ビート部分、7曲目「Softly as in a Morning Sunrise」や9曲目「Yes I Don't」の4ビート演奏で効かせるこぶしやオクターブ奏法なんかはピーターソンに近いものがあるけれど、そんなに速弾きするようなタイプではないながらも、この場面でこれ以上の弾き方はないだろうと思わせてくれるような理想的なプレイをしていて好感が持てる。オリジナルの楽曲はモーダルなものから綺麗なメロディーのバラードまで様々だけど、どれもが現代的ではありながらも頭でっかちにはなっていないので非常に親しみやすいし、「Softly as in a Morning Sunrise」でのちょっとしたコードのアレンジなんかも洒落ているね。どことなくハンガリーの匂いがするラスト曲の「Dexterity」も魅力的だし、大好きな「Close To You」(5曲目)にもグッとくる。そんなボトスがやりたいことをバックのメンバーもよく理解していて、ジェフ・ワッツにしてもボブ・ハーストにしてもシーマス・ブレイクにしても、曲調に応じた最良のプレイをしているし、ブレイクだけではなくリズム隊の2人にもソロの場面がふんだんに用意されているおかげで、ますますいい感じで楽しむことができる。特にワッツは近年では珍しいぐらいに活きのいい曲ではダイナミックに叩いていて、もうそれだけでも買ってよかったという気分になってしまった。
ボトスを意識して聴くのはこれが初めてだけど、無名(私が知らなかっただけかな?)でもこんなにいいピアニストがいるなんて世の中は広いもんだね。本作は演奏が良いだけではなく、録音(エンジニアはJohn 'Beetle' Bailey)も各楽器のリアリティを伴った図太い音色がスピーカーの前にせり出してきて、これはカナダJUNO Awards「最優秀ジャズアルバム」になって当然だろう。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Robi Botos
Imports
2015-03-31


--EDIT--

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