Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

David Gilmore / Transitions

David Gilmore (G)
Mark Shim (Ts)
Victor Gould (P)
Carlo DeRosa (B)
E.J. Strickland (Ds)
Gregoire Maret (Harmonica)4
Bill Ware (Vib)8
Rec. September 19, 2016, NY
(Criss Cross 1393)

前作「David Gilmore / Energies of Change(16年、別頁あり)」が最高に良かったデヴィッド・ギルモアの、Criss Crossからの初リーダー作。今回はこれまでのどのアルバムともメンバーを一新しているのが興味深いのだが、その中のヴィクター・グールドは近作「Jeremy Pelt / Make Noise!(17年、別頁あり)」でもなかなかいい仕事をしていたので、本作でのプレイにも期待している。ベースのカルロ・デローザ(?、1970年生まれ)はこれが初聴き。またヴァイブのビル・ウェア(1959年生まれ)も「Fabio Morgera/Suck(07年、別頁あり)」でしか聴いたことがないけれど、マーク・シム、E.J.ストリックランド、グレゴア・マレといったそそられる面々とで、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

ギルモア曲の「End of Daze」「Spontanuity」、ウディ・ショウの「Beyond All Limits」、ボビー・ハッチャーソンの「Blues Mind Matter」「Farralone」、トゥーツ・シールマンスの「Bluesette」、アネット・ピーコックの「Both」、ヴィクター・ベイリーの「Kid Logic」、エルメート・パスコアルの「Nem Un Talvez」で全9曲。
9/8拍子の複雑なテーマをギルモアとシムがユニゾンでやっている1曲目「End of Daze」からして早くもカッコいい。非常にキビキビとした曲調の中、各人ともアグレッシブに攻めていて、想像していた以上に凄いことになっている。2曲目「Beyond All Limits」も私が好きなモーダルな曲調だし、3曲目「Blues Mind Matter」もアップテンポの4ビートと、次々と好みの演奏をされるものだから、動いた体が止まらなくなってしまう。そして4曲目では、これまた大好きな「Bluesette」をやっていて、アレンジのセンスも抜群にいいのだからなんともたまらない。もうここまでツボにハマった演奏をさせてしまっては文句のつけようがないね。ギルモアは当然として、ゲストの二人を含めたメンバー全員が、バンドとしての調和をとりながら非常にいい仕事をしていて、至福のひとときを味わうことができる。5曲目「Both」ではフリーをやっているけれど、これもまたアルバムとしてのいいアクセントとなっているし、ヴィクター・ベイリーのオマージュとして7曲目で「Kid Logic」をやっているのも嬉しい限り。おそらくハッチャーソンやシールマンスの曲を取り上げているのも追悼の意を表してのことだと思うけど、どのようなビートや曲調であれ、あるいはギルモアがアコギを弾いている曲であってもきちんと統一感が取れていて、散漫な印象は全く受けないも見事。ソロイストを増やしたことにより、ギルモアが必要以上にワンマンなプレイをしていないことも、演奏を更によく感じさせる要因となっていて好感が持てる。
ギルモアのリーダー作の中では前作が最高だと思っていたのだが、本作はそれ以上に気に入った。録音(エンジニアはジョー・マルシアーノ)も、タム、フロアタムにピンスト系のヘッドを張っている(ように聴こえる)のには少々違和感を感じるものの、各楽器の音質、バランス共に申し分がない。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Transitions
David Gilmore
Criss Cross
2017-02-17

 

--EDIT--

Lee Konitz / frescalalto

Lee Konitz (As, Vo)
Kenny Barron (P)
Peter Washington (B)
Kenny Washington (Ds)
Rec. December 1, 2015, NY
(Impulse 0602557208733)

普段は滅多に聴かないリー・コニッツだけど、メンバー買いした「Lee Konitz, Brad Mehldau, Charlie Haden, Paul Motian / Live at Birdland(11年、別頁あり)」やサイド参加の「Iverson, Konitz, Grenadier, Rossy / Costumes Are Mandatory(13年、別頁あり)」でのプレイがなかなかよかったので、同じくメンバー買いした本作にも期待している。ケニー・バロンがリズム隊として絶妙なコンビネーションを見せるピーターとケニーの両ワシントンとやっているのも記憶に無いので、ピアノトリオとしても新鮮な気持ちで楽しめそう。ちなみに本作のプロデュースはケニー・ワシントンが担当している。

コニッツ曲が3曲と、スタンダードの「Stella by Starlight」「Darn That Dream」「Out of Nowhere」「Invitation」「Cherokee」で全8曲。
各人のちょっとしたソロからスタートする1曲目の「Stella by Starlight」からして実にいい塩梅。何の変哲もないスタンダード・ナンバーを、単純ではあるけれどソロスタートという小洒落たアレンジで聴かせてくれるだけでも買ってよかったという気になってしまうのだが、続く2曲目のオリジナル曲「Thingin」なんかもまた大好きな「All The Things You Are」のコード進行をパクっているのだからなんともたまらない。ピーターとケニーの両ワシントンがリズム隊だけあって、バントとしての演奏にもスウィンギーさが満ち溢れていて、オーソドックスなジャズとしての雛形的な演奏で楽しませてくれる。問題はコニッツの冷めた感じの奏法や弱々しいアルトの音質が私の好みとは合致しないことだけど、それは昔からそうなので、いまさらどうこういうこともないだろう。その辺のところをバックの3人が魅力的な演奏でカバーしているわけだしね。コニッツは3曲目「Darn That Dream」等で枯れた味わいのスキャットも披露しているけれど、それがまたいいアクセントにもなっているし、ケニー・ワシントンのソロが多めなこともあって、忘れかけていたジャズドラミングの伝統的なスタイルも再確認(バッキングにおけるスネアのオカズ等も含めて)できるのに加えて、曲進行のメリハリを考慮しながらの選曲もバッチリで、最後までノリノリで楽しませてくれる。
このメンバーだったら悪いはずはないだろうと思っていたけれど、想像していた以上に良い演奏だね。5つ星とまではいかないけれど、これは愛聴盤として何度も繰り返し聴くことになりそうだ。本作は録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)もふくよかな音で録れているアルトの音色に妙な色気を感じるし、各楽器のバランスもバッチリで、オーディオ的にも満足させてくれる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

Frescalalto
Lee Konitz
Imports
2017-02-24

 

--EDIT--

Steve Khan / Backlog

Steve Khan (G, Voice on 10)
Ruben Rodriguez (Baby-B, El-B)
Mark Walker (Ds)
Marc Quinones (Timbal, Bongo, Per)
Bobby Allende (Conga, Bongo)
Rob Mounsey (Key, Orchestrations)2,3,6,7,9,10
Randy Brecker (Tp)3
Bob Mintzer (Ts)7
Mike Mainieri (Vib)5
Tatiana Parra (Voice)10
Rec. January-April, 2016, NY
(Tone Center TC4100)

スティーヴ・カーンにはアイウィットネス時代から一緒にやっているアンソニー・ジャクソン、デニス・チェンバース(又はデイヴ・ウェックル)、マノロ・バドレーナがつきものなのだが、本作ではメンバーを一新しているのが興味深い。ゲスト陣にはロブ・マウンジー、ランディ・ブレッカー、ボブ・ミンツァーといったお馴染みの面々や、マイク・マイニエリ(「深町純&The New York All Stars/Live」でのカーンとの共演が懐かしい)が参加しているけれど、老舗バンド「Oregon」に新しい風を吹き込んでいるマーク・ウォーカーや、ラテンジャズとは切り離せない存在のルーベン・ロドリゲス等のよりラテン色の強いメンバーを核としながら、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

セロニアス・モンクの「Criss Cross」、グレッグ・オズビーの「Concepticus in C」、オーネット・コールマンの「Latin Genetics」「Invisible」、サミー・カーン/ジミー・ヴァン・ヒューゼンの「Our Town」、ボビー・ハッチャーソンの「Head Start」「Rojo」、ジョニー・マンデル/ジョニー・マーサーの「Emily」、スティーヴィー・ワンダーの「Go Home」、アンドリュー・ヒルの「Catta」で全10曲。
ラテンのリズムにバッチリ嵌っている1曲目「Criss Cross」からして、早くも買ってよかったという気にさせてくれる。モンクの楽曲を毎回のように取り上げているカーンだけど、この「Criss Cross」もまた実にいいね。それだけではなく続くオズビー曲の「Concepticus in C」や、7曲目のコールマン曲「Invisible」等までも何の違和感なくラテンのリズムで聴かせてくれるのだから、3曲目の「Latin Genetics」だけは元々がラテンタッチの曲だったとはいえさすがとしかいいようがない。本演奏にはここ何年かのカーンの傾向が如実に現れているけれど、ウォーカーにドラムソロ以外は比較的シンプルなリズム(定形ビート)を叩かせることによって、より自分のギターを浮き上がらせているのが、これまでとは異なる部分。私としてはデニチェンやウェックルのようにもっと手数多く叩いてもらいたいところだけど、このシンプルさが心地よさに繋がっているわけなので、これで正解なのだろう。ただしテンポに関してはミディアムテンポの曲がほとんどなので、アップテンポの曲が何曲かあってもよかった気がしないでもない。その方が演奏にも緩急のメリハリがつくと思うのだが、その代わりにウォーカーや2人のパーカッショニスト、あるいはゲストのランディ、マイニエリ、ミンツァーが曲によっては華麗なソロで楽しませてくれるので、これでよしとしよう。
これまで以上にラテンに傾倒しているカーンだけど、またこんなやつかという気持ちには全くさせないし、トータル71分も全然長くは感じさせないのだから、どれだけ演奏が優れているのかということになる。本作は録音(エンジニアはジェームス・ファーバー)も各楽器が最高の音質とバランスで録れていて、ECMのときとは異なったファーバー本来のサウンドが堪能できるので、テンポ的な不満はあるけれどオマケして5つ星にしておこう。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!) 

BACKLOG
STEVE KHAN
ESCRE
2016-09-30

 

--EDIT--

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