Jazz & Drummer

ジャズの新譜を中心に感じたままに書いてます

Johnathan Blake / Trion

Johnathan Blake (Ds)
Chris Potter (Ts)
Linda May Han Oh (B)

Produced by Jimmy Katz and Johnathan Blake for Giant Step Arts
Recorded Live on January 21 and 22, 2018 at the Jazz Gallery, NYC
Engineered by Jimmy Katz
Mixed and Mastered by Dave Darlington
Photography and Design by Jimmy and Dena Katz
Exective producer for Giant Step Arts: Jimmy Katz
Johnathan Blake Plays Yamaha Drums, Zildjian Cymbals, and Vater Sticks
(Giant Step Arts GSA 002)

Set One
1. Calodendrum (Johnathan Blake) 1:59
2. Synchronicity 1 (Sting) 16:42
3. Trope (Linda Intro) (Linda Oh) 3:22
4. Trope (Linda Oh) 8:03
5. One for Honor (Charles Fambrough) 10:57
6. High School Daze  (Johnathan Blake) 10:07
7. No Bebop Daddy  (Johnathan Blake) 10:19
Set Two
1. Bedrum  (Johnathan Blake) 2:51
2. Good Hope (Chris Potter) 11:34
3. Eagle (Chris Potter) 10:15
4. Relaxing at the Camarillo (Charlie Parker) 11:02
5. Blue Heart  (John Blake Jr.) 7:54
6. West Berkley St.  (Johnathan Blake ?) 7:30

ジョナサン・ブレイクのリーダー作は、これまで「Johnathan Blake / The Eleventh Hour(12年、別頁あり)」「Johnathan Blake / Gone, But Not Forgotten(14年、別頁あり)」を聴いてきたのだが、本作は「Gone, But Not Forgotten」にも参加していたクリス・ポッター、女流ベーシストとして最も気に入っているリンダ・オーとのライブ盤なのだから大いにそそられる。実際の演奏もドラムソロでスタート(1曲めの「Calodendrum」)しているのがまず嬉しいし、切れ目なく続く2曲目「Synchronicity 1」(Police時代のスティングの楽曲をアフロ調の6/8拍子に完全にジャズ化)も、3人による非常にアグレッシブな演奏が展開されていて、この2曲だけでも早くも買ってよかったという気にさせてくれる。最近のポッターは曲調によっては肩の力を抜いて吹いていることも多いけど、ここでのプレイはソロイストが一人だけなのとライブなのが相まって相当気合が入っているね。それは強力にプッシュしているオーとブレイクのおかげでもあるのだが、このようなお互いのプレイに触発されながら自分の限界に挑んでいる感のある演奏は大好きなので、ハイテンションを持続させている3曲目「Trope」以降も最高の気分で楽しむことができる。もちろん似たようなテンポやビートの曲が続かないよう考慮されているので、本気モードで攻めまくっているハードな演奏ながらも、2枚通して聴いてもヘビーに感じることはなし。ポッターだけではなく、オーとブレイクのエネルギッシュなソロもたっぷりと用意されていることもあって、終始興奮しながら聴いていたら、トータル113分があっという間に終わってしまった。
ドラマーのリーダー作のライブ盤の近作では、「Antonio Sanchez / Live in New York: at Jazz Standard(10年、別頁あり)」が最高だけど、本作も同じぐらいにいいね。録音も場面によってはベースが聞こえにくくなるけれど、各楽器の音質、バランス共にライブ盤としては上々で、文句なしの5つ星。ここまで良いとなると今年の私的ベストアルバムの上位に入れるのは確実だろう。リリースは2018年。HMVでは取り扱っていなくてディスクユニオンで買ったので、送料込みで3,000円ちょいと少々高くついてしまったけど、この演奏には倍以上の価値がある。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Trion
Giant Step Arts
2019-04-05


--EDIT--

Mike Allen / Just Like Magic

Mike Allen (Ts)
Peter Washington (B)
Lewis Nash (Ds)

Executive Producer: Cory Weeds
Produced by Mike Allen and Cory Weeds
Recorded at Rudy Van Gelder's in Englewood Cliffs, New Jersey, January 5, 2019
Engineered by Maureen Sickler, assisted by Don Sickler
Mixed and mastered by Dave Sikula
Photography by Randy Cole
Design and layout by Perry Chua
(Cellar Music CM010519)

1. Big Bertha (D. Pearson) 5:59
2. Klondike (M. Allen) 5:06
3. A Weaver of Dreams (J. Elliott / V. Young) 7:49
4. Charlotte (M. Allen) 7:37 
5. Someone to Watch Over Me (G. Gershwin) 5:39
6. The Man (M. Allen) 6:32
7. Miles' Mode (John Coltrane) 4:03
8. Metamorphosis (M. Allen) 6:20
9. Solitude (Duke Ellington) 6:07
10. Same Old Feeling (M. Allen) 7:35
11. Jelly Roll (Charles Mingus) 5:43

リズム隊の黄金コンビのピーター・ワシントン、ルイス・ナッシュ買い。リーダーのマイク・アレンを聴くのはこれが初めてだけど、柔らかめなテナーの音質がまずいいね。奏法的にはソニー・ロインズを連想。コード楽器レスながらもオーソドックスな演奏で楽しませてくれる。おそらく同じくサックストリオでやっているロリンズの「ヴァンガードの夜」あたりを意識したのだと思うけど、アレンのフレーズに敏感に反応しながら叩いているナッシュと、ウォーキングだけでも存在感がたっぷりのワシントンも流石のプレイで聴かせてくれる。既成曲の間にアレンのオリジナルを挟みながらの曲配列も、曲調的に浮いた感じの曲は入っていなくていい塩梅。全体的に一本調子になっているきらいがあるのと、ワシントンとナッシュのソロがもう何曲かで用意されていればなあと思う以外は演奏に不満はないのだが、録音に関してはヴァン・ゲルダー的な音で録れているのが気になる点。テナーとベースはこれでいいとしても、ドラムには変な加工臭を感じてしまうんだよね。音像もドラムだけが奥に引っ込み気味で、おそらく昔の雰囲気を醸し出すためにあえてこういう音で録ったのだと思うけど、先日聴いたばかりのナッシュ参加の「Larry Fuller / Overjoyed(19年、別頁あり)」と比べると、こちらの方は大雑把な音で録れているためにナッシュの上手さがきちんと伝わってこないので、できればスタジオを変えるなり、エンジニアをマイケル・マルシアーノあたりにするなりして、音的にもいい感じで楽しませて欲しかった。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Just Like Magic
Mike Allen
Mvd
2019-05-17


--EDIT--

Herlin Riley / Perpetual Optimism

Herlin Riley (Ds)
Emmet Cohen (P)
Russell Hall (B)
Godwin Louis (As)except 9
Bruce Harris (Tp)except 9

Producers: Al Pryor and Herlin Riley
Executive Producer: Gretchen Valade
Production Manager: Will Wakefield
VP Creative Services + Production: Maria Ehrenreich
Product Manager: Shannon Moore
Recorded by Todd Whitelock at Avatar Studio, New York, NY
and David Torkanowsky at Skoringwerks Studio, New Orleans, LA
Assistant Engineer: Aki Nishimura
Recording dates: December 6 & 7, 2017
Mixed by Todd Whitelock at Avatar Studio, New York, NY
Assistant Engineer: Josh Welshman
Masterd by Mark Wilder at Battery Mastering Studios, New York, NY
Art Direction & Design: Raj Naik
Photography: Gregory Miles
Management: Ed Arrendell
Booking: The Kurland Agency
Herlin Riley endorses Mapex Drums, Zildjian Cymbals and Vic Firth Sticks
(Mack Avenue MAC1136)

1. Rush Hour (Herlin Riley) 6:56
2. Be There When I Get There (Herlin Riley) 5:53
3. Borders Without Lines (Victor Goines) 4:49
4. You Don't Know What Love Is (Don Raye, Gene De Paul) 5:41
5. Perpetual Optimism (Herlin Riley) 7:05
6. Touched (Herlin Riley) 7:23
7. Wings and Roots (Herlin Riley) 6:25 
8. Wang Dang Doodle (Willie Dixon) 6:39
9. Stella by Sterlight (Victor Young, Ned Washington) 4:08
10. Twelve's It (Ellis Marsalis) 4:38

Herlin Riley / New Direction(16年、別頁あり)」と同一メンバー(エメット・コーエン、ラッセル・ホール、ゴッドウィン・ルイス、ブルース・ハリス)によるレコーディングということは、ハーリン・ライリーは若手の彼らのことがよほど気に入っているのだろう。その演奏は「New Direction」と同様に8ビート系やラテンタッチなものが主体となっているけれど、今どきのヒップホップ的な要素は皆無の純粋なジャズをやっているのが、いかにもウイントン一派のライリーらしい。ただし8ビートの1曲目「Rush Hour」もラテンタッチな2曲目「Be There When I Get There」(どちらもライリーのオリジナル)も、曲調的にはそんなに面白くないけどね。むしろヴィクター・ゴーインズ曲でアップテンポの4ビートの3曲目「Borders Without Lines」の方が、演奏的にも各人がイケイケなプレイをしているし、後半にはライリーのロングソロも用意されていて、「これはいいぞ!」と思わせてくれる。続く4曲目「You Don't Know What Love Is」での軽い感じの16ビートなんかも、最初からこのようなビートで曲が作られたかのようにバッチリ嵌っているし、フロントの二人も魅力的なプレイをしていて私は好き。とはいえライリーのオリジナルも5曲目「Perpetual Optimism」(8ビート)以降はそれなりにいい感じの曲も入っているので、これでよしとしよう。ライリーが多くの曲でソロを取っているし、フロントでは特にアルトのルイスの、キャノンボール・アダレイとフィル・ウッズを足して2で割ったような感じのプレイが好感触だし(よく聴くとハリスも相当上手い)、アドリブの出番はそんなに多くはないものの、コーエンもバッキングを含めて独自性のあるピアノで聴かせてくれるし、ホールのベースもなかなかリズミカルなおかげで(ソロも力感があって気持ちいい)、どの曲をとってもダレることなく楽しむことができる。ピアノトリオだけでやっている9曲目「Stella by Sterlight」(4ビート)も、アレンジからして小洒落ていて実にいいね。この曲でのブラシプレイは自分が演奏するときの参考にもなる。
おそらくライリーはこれまで散々4ビートをやってきたので、リーダー作の近作は非4ビートが主体になっているのだと思うけど、本作を聴いても本当にいいなと感じるのは4ビート曲の3曲目「Borders Without Lines」、6曲目「Touched」、9曲目「Stella by Sterlight」、10曲目「Twelve's It」(タンバリンやヴォーカルが入っている部分はセカンドライン)の方なので、次回作では4ビート主体でやってくれるのに期待している。本作の録音はトランペットとアルトが幾分硬質で音の線も細めではあるものの、骨格のガッチリしたピアノ、ベース、ドラムにはよくマッチしているし、全体的なバランスも良好。今までは興味の対象外だったけど、こうして聴くとMapexのドラムも悪くない。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Perpetual Optimism -Digi-
Herlin Riley
Mack Avenue
2019-04-11


--EDIT--

Larry Fuller / Overjoyed

Larry Fuller (P)
Hassan Shakur (B)
Lewis Nash (Ds)

Executive Producer: Thomas Burns
Producer: Larry Fuller
Recorded & Mixed: by Chris Sulit at Tradin 8's Studio, Paramus, NJ on Aug 13-14, 2018 and Sep 24, 2019
Mastering: David Glasser, Airshow Mastering, Boulder, CO
Photography by Marzena Szymanska, Jane Fuller
(Capri Records Ltd #74155-2)

1. Fried Pies (Wes Montgomery) 3:58
2. Overjoyed (Stevie Wonder) 6:35
3. Lined With A Groove (Ray Brown) 4:41
4. Jane's Theme (Larry Fuller) 3:58
5. The Mooch (Larry Fuller) 3:19
6. How Long Has This Been Going On (George & Ira Gershwin) 3:35
7. Cubano Chant (Ray Bryant) 2:37
8. Mona Lisa (Ray Evans & Jay Livingston) 3:45
9. Bossa Beguine (Oscar Peterson) 6:03
10. Bossa Nova Do Marilla (Richard Evans) 7:05
11. Never Let Me Go (Ray Evans & J. Livingston) 3:42
12. Got My Mojo Workin' (Preston Foster) 4:36

Larry Fuller / Larry Fuller(14年、別頁あり)」の記事中でも書いたとおり、ラリー・フラーのアルバムは「Larry Fuller Trio / Easy Walker(01年)」が大の愛聴盤となっているのだが、グレッグ・ハッチンソン参加の「Larry Fuller / Larry Fuller」もなかなかいい感じで楽しめたし、ベースのハッサン・シャコーはそのままに、ドラムがハッチンソンからルイス・ナッシュに代わった本作も、いかにもフラーらしいオスカー・ピーターソン的なスウィンギーさに満ち溢れていて実にいい塩梅。単にコロコロと指がよく動くだけではなく、一音一音にハートが感じられるフラーのピアノを聴いているだけでもルンルン気分になるし、シャコーのベースもレイ・ブラウンと比べない限りは「なかなかやるな」と思わせてくれるし(芯のガッチリしたベース音もグッド)、近年はいまいちパッとしない感のあるナッシュも、フラーの音楽性がよほどマッチしたのか、ここではトミー・フラナガン・トリオ時代を彷彿させる魅力的なドラミングをしていて、終始ノリノリで楽しませてくれる。各人が持ち味を存分に発揮していながらも、トリオとしての調和はよく取れているし、取り上げている楽曲もオリジナルを含んで好みの曲ばかりだし、4ビートをメインに8ビート、ボサノヴァ、ラテンタッチ、サンバ、セカンドラインといった感じで、リズム的にもいい意味でバラエティに飛んでいるおかげで、どの曲をとっても「いいぞ、いいぞ」と思いながら聴いていたらトータル54分があっという間に終わってしまった。1曲の演奏時間は全体的に短めだけど、美味しさがギュッと濃縮されているので、これ以上の長さは必要ないだろう。
本作は選曲良し、演奏良しに加えて、録音もアナログ的な温かさを伴った各楽器の音質、バランス共に申し分がないので、オマケして5つ星にしておこう。愛聴盤の「Easy Walker」には敵わないけれど、この演奏は自分がスウィンギーなタイプのピアニストと一緒にやるときの手本にもなる。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Overjoyed
Larry Fuller
Capri Records
2019-05-17


--EDIT--

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