Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

Alex Sipiagin / New Path 2

Alex Sipiagin (Tp, Flh)
Hiske Oosterwijk (Vo)
Boris Kozlov (B)
Misha Tsiganov (P, Rhodes, Minimoog)
Donald Edwards (Ds)
Rec. 2014?, NJ
(Butman Music IB74002)

アレックス・シピアギンは現在最も好きなトランぺッター。テクニックがどうこう以上に、その音楽性が大好きなんだよね。なので本作にもすぐに飛びついたのだが、よく見たら2015年のリリースだし、シピアギンと同様Opus 5(「Opus 5 / Tickle(15年)」等、別頁あり)のメンバーでもあるボリス・コズロフ、ドナルド・エドワーズや、3人との関わりも深いミシャ・シガノフ(「 Misha Tsiganov / Dedication(12年、別頁あり)」「Misha Tsiganov / The Artistry Of The Standard(14年、別頁あり)」「Misha Tsiganov / Spring Feelings(16年、別頁あり)」)の参加にはそそられるものの、女性ヴォーカリストのイスク・オーステルヴェイク(?、オランダ出身のよう)が全面的にフィーチャーされているので、最新作である「 Alex Sipiagin / Moments Captured(17年、別頁あり)」ほどの期待はしていない。

全7曲がシピアギンのオリジナル。
いかにもシピアギンらしいコンテンポラリーなジャズ(非4ビート)が展開されている。まずは懸念していたオーステルヴェイクのヴォーカルだけど、一応歌詞は付いているものの、他の楽器とユニゾンでスキャット的に歌っている場面がほとんどで、サイド参加のときのグレッチェン・パーラトあたりの歌い方とも変わらないので、こういうのだったら全然オーケー。ただし曲によってはヴォーカルにスポットが当たりすぎているような気がしないでもないけどね。その分シピアギンが活躍する場面が少なくなっているけれど、今回は自分よりもオーステルヴェイクを多くの人に知ってもらうためのアルバム作りだと思うので致し方ないだろう。その代わりに楽曲の方はシピアギン節が満載なので、これまでのリーダー作やメンバーがダブっているOpus 5 と比べて違和感を覚えることもない。似たような曲調が続いてしまっているのは気になる部分ではあるけれど、どの曲をとってもシピアギンの上手さは相変わらずだし、シガノフのエレピやシンセによる曲調にバッチリ嵌ったプレイも素敵だし(アコピを使う場面はもっと増やしてもよかったと思う)、土台をガッチリと支えているコズロフの力強いベースも実にいい。エドワーズだけは、ここ何枚か続けて視聴したルディ・ロイストンやエリック・ハーランドと比較するとテクニック的にもアイデア的にもイマイチだけど、今回はあくまでもヴォーカルがメインなので、これ以上のドラミングを望んでも意味がないだろう。楽曲的には5拍子基調の1曲目「Returning」、7/8拍子の4曲目「Afternoon Dreams」、10/8拍子の7曲目「Videlles Dreams」が特に気に入った。
ということでヴォーカルがフィーチャーされているわりにはいい感じの演奏が堪能できるし、録音(エンジニアはTedesco Recording Studioの人)も各楽器の音質、バランス共に上々で、日本でのリリースは2年遅れではあるけれど、それだけの価値がある作品に出会えて嬉しく思っている。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

--EDIT--

(HMV)
1.Bill Charlap / Uptown, Downtown
2.Christian Mcbride / Bringin' It
3.Antonio Sanchez / Bad Hombre
4.John Mclaughlin 4th Dimension / Live At Ronnie Scott's

4枚で35%オフセール利用。

--EDIT--

JD Allen / Radio Flyer

JD Allen (Ts)
Liberty Ellman (G)
Gregg August (B)
Rudy Royston (Ds)
Rec. January 2, 2017, NJ
(Savant SCD2162)

DJアレンはグレッグ・オーガストとルディ・ロイストンのことをどれだけ好きなのか、共演盤は「J.D. Allen/I Am I Am (08年)」「J.D. Allen Trio/Shine!(09年、別頁あり)」「JD Allen Trio / Victory!(11年、別頁あり)」「JD Allen Trio / The Matador and the Bull(12年、別頁あり)」「JD Allen / Graffiti(15年、別頁あり)」「JD Allen / Americana: Musings on Jazz and Blues(16年、別頁あり)」に次いでこれが7枚目だけれど、これまでのサックストリオ作品とは異なり、本作ではギタリストのリバティ・エルマンが参加しているのが興味深い。これが初聴きのエルマンは、Wikipediaによると1971年ロンドン生まれのアメリカ育ち。90年代にM-Baseシーンに参加してからは尖がり系のミュージシャンとの共演が多いようなので、強者揃いのアレン・トリオとの共演は当然の成り行きだったのかもしれない。

全7曲がアレンのオリジナル。
曲によってはフリーな展開もありの4ビート主体の演奏はアレン・トリオの得意とするところだけど、そこにギターも加わっているし、フリー的な場面も増えているので、これまでとはまた一味違った演奏が堪能できる。エルマンのギターはミック・グッドリックあたりによく似ているといえば分かりやすいかな。思っていたよりも奏法もギターの音色もオーソドックスだけど、場面によってはビルフリ的なエフェクティブなプレイもしているので、いろいろな引き出しを持っている人なのかもしれない。そんなエルマンがトリオにきっちりと溶け込んでいるおかげで、自由度が高いながらも調和のとれた演奏を楽しむことができるし、エルマンの参加によって、特にロイストンがますますアグレッシブなプレイをしていて実にいい塩梅。近年のロイストンはあちこちのバンドから引っ張りだこだけど、制約の少ない本トリオ(今回はカルテットだが)でのドラミングはまた格別で、どのような手順で叩いているのか分析不能なスピーディーかつパワフルなプレイに拍車がかかっていて圧倒させられる。それと比べるとアレンとオーガストは普段と変わらない気がするけれど、全員がブチ切れてしまっては聴く方も疲れてしまうので、これぐらいでちょうどいいだろう。バラード調の曲も含めて聴き応えのあるハードな演奏が続いているのだが、その中でもロイストンがソロを取っている4ビート曲の6曲目「Daedalus」が特に気に入った。
前作「JD Allen / Americana: Musings on Jazz and Blues」では趣向を変えて南部のジャズやブルースをテーマにしていたアレンだけど、マンネリにならないためにはそういう音楽的なことよりも、メンバーを増やした方が手っ取り早いわけで、結果的にエルマンの参加は大成功。本作は録音(エンジニアはTom Tedesco)も、いかにもジャズらしい汗が感じられる音で録れていて、各楽器の音質、バランス共に上々だね。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


ALLEN, JD
JD ALLEN
RADIO FLYER
2017-07-07


--EDIT--

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