Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

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Hiromi (P)
Edmar Castaneda (Harp)
Rec. June 30, 2017, Fastival International de Jazz de Montreal
(Telarc TEL00026)

上原ひろみのデュオものはチック・コリアとの「Chick Corea & Hiromi/Duet(08年、別頁あり)」や、矢野顕子との共演盤(当方未所有)に引き続きということになるのかな。今回の相手のエドマール・カスタネーダ(1978年、コロンビア生まれ)はハープ奏者。ハープという楽器はクラシックのオーケストラで「ボロロロン」とアクセント的に用いられたり、何かの楽曲で綺麗なメロディを受け持っているぐらいしか聴いたことがないのだが(女性的な楽器というイメージが強い)、カスタネーダは超テクニカルな上原と共演するぐらいなのだから、きっとそのような概念を覆すプレイをする人なのだろう。その辺はコリアと共演歴があるバンジョー奏者のベラ・フレック(「Chick Corea, Bela Fleck/The Enchantment(07年)」「Béla Fleck and the Marcus Roberts Trio / Across the Imaginary Divide(12年)」「Chick Corea & Bela Fleck / Two(15年)」等別頁あり)とも共通する。

上原曲が2曲(うち1曲は4部構成の組曲仕立て)、カスタネーダ曲が2曲、ジョン・ウィリアムスの「Cantina Band」、アストル・ピアソラの「Libertango」で全6曲(9トラック)。
想像していた以上にカスタネーダがバカテクの持ち主なので、疾走感あふれる、非常にスリリングな演奏が堪能できる。二人ともメロディというよりはリズムで攻めているような感じだけど、それがデュオながらもダイナミックな演奏へと繋がっていて実にいい塩梅。この辺もまたコリアとフレックの共演盤と通じるものがあるのだが、こちらの方はハープの音域が広くて、ジャコパスに捧げた2曲目「For Jaco」(カスタネーダ曲)なんかではベースのようなプレイまでしているのだから驚いてしまう。対抗する上原も、アドリブではピアノの弦に何かを触れさせて音をミュートし、逆にハープのような音を出したりしているのだから、今に始まったことではないけれどこの冒険心の旺盛さには感心するね。どの曲をとってもお互いの出方を見ながら瞬時に反応し合うインタープレイが繰り広げられていて、上原は長く続いたアンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとのザ・トリオ・プロジェクト(「Hiromi / Spark(16年)」等別頁あり)も相当良かったけれど、それらとはまた一味違った手に汗握る興奮を味わうことができる。上原が素晴らしいのは当然として、カスタネーダがここまでいいとなると他のアルバムではどうなのか、オッカケしてみたくなるね。きっと本作を聴いてそのような気持ちを抱いた人は多いと思うけど、かといってジャズ以外の音楽にはワタシ的にはあまり興味がないので、もしこういう路線のアルバムが他にないのであれば、これを機にジャズ系のフィールドにもどんどん進出してくれることを願っている。
ソロやデュオものを好んでは聴かない私ではあるけれど、この演奏には完全ノックアウトだし、録音(エンジニアはMichael Bishop)もピアノ、ハープ共にいい感じの質感とバランスで録れていて、本作は文句なしの5つ星。いろんなミュージシャンが取り上げていて、楽曲的に飽きがきている「Libertango」(ラスト曲)でさえも新鮮な気持ちで楽しむことができた。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

Live in Montreal
Hiromi
Telarc
2017-10-06



--EDIT--

(HMV)
1.Bob Mcchesney / Chez Sez
2.Joey Alexander / Joey Monk Live
3.Laurent Coq / Kinship
4.Edward Simon / Steel House

4枚で35%オフセール利用。

--EDIT--

Mike Moreno / 3 for 3

Mike Moreno (G)
Doug Weiss (B)
Kendrick Scott (Ds)
Rec. September 22, 2016, NY
(Criss Cross 1396)

マイク・モレノのギタートリオ作品はこれが初ということになるのかな。これまではピアニストのアーロン・パークスやケヴィン・ヘイズが参加していたけれど、同じ編成だとマンネリになってしまうので、今回はトリオだけでやりたくなったのかもしれない。メンバーのダグ・ワイスは、初期の頃の「Mike Moreno/Between The Lines(07年)」「Mike Moreno/Third Wish(08年)」や前作の「Mike Moreno / Lotus(16年)」(各別頁あり)にも参加。またケンドリック・スコットも「Between The Lines」「Third Wish」「Mike Moreno / First in Mind(11年、別頁あり)」に参加しているけれど、スコットのリーダー作「Kendrick Scott Oracle/The Source(07年)」「Kendrick Scott/Reverence(09年)」「Kendrick Scott Oracle / Conviction(13年)」「Kendrick Scott Oracle / We Are The Drum(15年)」(各別頁あり)には逆にモレノが参加しているところをみると、「Lotus」だけはエリック・ハーランドだったけど、2人が切っても切れない仲なのは間違いなさそうだ。

ウェイン・ショーターの「The Big Push」、マルグリュー・ミラーの「For Those Who Do」、ミッシェル・ルグランの「You Must Believe in Spring」、L. Borgesの「Cluve Da Esquine No. 1」、V. Dukeの「April in Paris」、ジョニー・マンデルの「A Time for Love」、チャーリー・パーカーの「Perhaps」、レディオヘッドの「Glass Eyes」で全8曲。
今回はオリジナルはなしで、既成曲ばかり取り上げているけれど、その選曲にまずはセンスのよさを感じる。中には曲を完全に自分のものにしていて、まるでオリジナルをやっているかのように聴かせるのもあるのだから流石。これまでのアルバムとは趣向を変えて4ビートがメインとなっているけれど、それがまたワイスとスコットの音楽的な相性のよさにも繋がっていて、どの曲を取っても最高にいい感じで楽しませてくれる。最近のギタートリオものではボリス・コズロフの「Boris Kozlov / Conversations at the Well(16年、別頁あり)」が大のお気に入りとなっているのだが(実際にはベーストリオだけど)、本作もまたモレノのみならず、ワイスとスコットも曲調にバッチリ嵌った魅力的なプレイをしているのだから、ソロはそんなに多くはないものの、これはもう愛聴盤の仲間入りに決定だね。単に演奏が良いだけではなく、アルバムとしての動と静のバランスも完璧なおかげで、繰り返し聴きたい気分にさせてくれる。それにしてもカウント・ベイシー楽団のイメージが強い「April in Paris」(5曲目)を、ここまで大胆なアレンジでやってしまうとは大したもの。こういうユニークな発想はいったいどこからやってくるのか、本人としては当たり前のことかもしれないけれど、改めてモレノの才能を思い知る。パーカーの「Perhaps」(7曲目、この曲でのスコットのドラムソロがビル・スチュワート風なのが滑稽)をギタリストがやっているというのもあまり聴いたことがないしね。それは1曲目の「The Big Push」や2曲目の「For Those Who Do」も同様だし、サウンド的にはオーバーダブでギターの音を重ねている4曲目「Cluve Da Esquine No. 1」や8曲目「Glass Eyes」がいいアクセントとなっていて、ここまでいいことをやられてしまっては何も文句のつけようがない。
とうことで演奏は予想していた以上に素敵だし、録音(エンジニアはマイケル・マルシアーノ)も各楽器の音質、バランス共に申し分がなくて、本作は当然ながらの5つ星なのだが、今秋リリースのCriss Cross盤がこれ一枚だけなのは、いつもは最低でも3枚なので気に掛かる。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Three for Three
Mike Moreno
Criss Cross
2017-10-20


--EDIT--

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