Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜を中心に感じたままに書いている個人ブログです

Steve Kuhn Trio / To and From the Heart

Steve Kuhn (P)
Steve Swallow (El-B)
Joey Baron (Ds)

Recorded on September 8, 2017, at Sear Sound in New York
Engineer: Katsuhiko Naito
Mixed and Mastered by Katsuhiko Naito
Produced by Steve Kuhn & Arthur Moorhead
Executive Producer: Francois Zalacain
Graphic Design: Christopher Drukker
Cover Photograph: Manuel Menchen Ozaita
(Sunnyside SSC1490)

1. Thinking Out Loud (Steve Swallow) 7:49
2. Pure Imagination (Leslie Brisusse & Anthony Newly) 6:15
3. Away (Steve Swallow) 6:00
4. Never Let Me Go (Raymond Evans & Jay Livingston) 4:38
5. Into The New World (Michika Fukumori) 5:29
6. Trance/Oceans in the Sky (Steve Kuhn) 16:29

スティーヴ・キューンの同一メンバー(スティーヴ・スワロー、ジョーイ・バロン)によるトリオ作品は「Steve Kuhn Trio / Wisteria(12年、別頁あり)」「Steve Kuhn Trio / At This Time...(16年、別頁あり)」も所有しているので、これで3枚目だけど、本作ではキューンのアルバムの中で最も印象深い「Trance」「Oceans in the Sky」を取り上げているのが嬉しい。でも演奏自体はもっと硬質だった昔の方が好きだけどね。その代わりに円熟味を増したプレイが堪能できるし、楽曲的にも大好きな「Pure Imagination」「Never Let Me Go」もやっているのでこれでよしとするけれど、バラード集とまではいかないものの、ゆったり目のテンポの曲が続いているので、できればバロンの凶暴性も垣間見れるような曲が6曲目以外にも入っていれば、アルバムとしてのアクセントにもなって更によかったと思う。キューンは今年で81歳(1938年生まれ)なので、もう昔のような尖がった演奏をするのは無理だと思うけど、それでも「Trance」「Oceans in the Sky」を再演しているということは、まだそういう曲をやりたいという気持ちの表れだと思うので、体力的にも精神的にもこれで限界なのかもしれないけれど、弾けているうちはフレーズがよれよれになったりすることを恐れずに突き進んでくれればと願っている。
6曲目の「Trance」「Oceans in the Sky」メドレー以外は穏和な演奏が続くので、聴いていて少々退屈するけれど、それでも6曲目だけでも元を取った気分にさせてくれるし、本作は録音もキューンのイメージとは異なるものの、温かみのある各楽器の音質がやっている音楽にもよくマッチしていて、流石に内藤克彦だけのことはあるなあと思わせてくれる。いかにもバロンらしい下の方にドーンと沈み込むバスドラ音も、6曲目だけではあるけれど楽しむことができる。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


To and from the Heart
Steve -Trio- Kuhn
Delta
2019-01-25


--EDIT--

Misha Tsiganov / Playing With The Wind

Misha Tsiganov (P)
Alex Sipiagin (Tp, Flh)
Seamus Blake (Ts)
Matt Brewer (B)
Dan Weiss (Ds)

Produced by Garry Teekens
Recording Engineer: Michael Marciano
Mixing: Michael Marciano, Max Ross
Mastering: Michael Marciano
Recorded: January 25, 2018
Recorded at Systems Two Recording Studios, Brooklyn, NY
Photography: Jimmy Katz
Cover Design: Gerry Teekens/Bloemendaal in Vorm
(Criss Cross 1401)

1. Playng With The Wind (M. Tsiganov) 6:02
2. Mama (M. Tsiganov) 7:35
3. Witch Hunt (W. Shorter) 7:28
4. Orange Dream (M. Tsiganov) 8:36
5. Dream Catcher (M. Tsiganov) 1:46
6. Cry Me a River (A. Hamilton) 8:35
7. Virgo (W. Shorter) 7:57
8. To Ne Veter Vetku Klonit (No, It's Not A Branch Bowing To The Wind) (Russian Folk Song) 7:56
9. The Very Thought of You (R. Noble) 8:30

ミシャ・シガノフの、「Misha Tsiganov / The Artistry Of The Standard(14年、別頁あり)」「Misha Tsiganov / Spring Feelings(16年、別頁あり)」に次ぐCriss Crossからの3枚目だけど、フロントのアレックス・シピアギン、シーマス・ブレイクはそのままに、今回はベースをボリス・コズロフ、ハンス・グロウィシュニクからマット・ブリューワーに、またドラムもドナルド・エドワーズからダン・ワイスに代えているのが興味深い。でもやっている音楽自体は大差ない感じだけどね。本作でも4ビートがメインでモーダルな匂いがするハードバピッシュな演奏が堪能できる。その辺はシガノフが基本的にハンコック・タイプのピアニストなことが大きく関係しているけれど、そういう要素は作曲面にも表れていて、どの曲をとってもBlue Note時代のハンコックに通じるダークな曲調が、私の好みともマッチしていて実にいい塩梅。3曲目「Witch Hunt」と7曲目「Virgo」ではショーターの曲を取り上げているけれど、それらもハンコック~マイルス~ショーターの流れであることは間違いないだろう。バンドとしての演奏はシピアギンとブレイクの活躍がよく目立っていて(2人とも流石のプレイをしている)、シガノフは音楽監督としてバンドを纏め上げているような感じではあるけれど、それでもバッキング(コンピング)からして現代的でカッコいいし、アドリブでも同じ路線のデヴィット・キコスキあたりと比較しても遜色ないプレイをしていて楽しませてくれる。またブリューワーも前任の2人には負けていないのだが、全体的に演奏のダイナミズムに欠けているような気がするのは、ワイスが曲調に合わせすぎたドラミングをしているからなのかもしれない。これはこれで悪くはないけれど、デヴィッド・ビニーあたりとやっているときはもっと弾けたドラミングをしているし、今どきのドラマーも容赦なく攻めまくるタイプが多いので(それがバンドとしての大きな活力へと繋がる)、できれば6曲目「Cry Me a River」でのソロのようなアグレッシブなプレイを多くの場面で展開していれば更によかったと思う。楽曲に関してはどれもが良好。オリジナルはもちろん、3曲目「Witch Hunt」と6曲目「Cry Me a River」は斬新なアレンジが聴きものだし、8曲目「To Ne Veter Vetku Klonit」もどこがロシア民謡なのと思ってしまうほど現代ジャズに料理させていて大いに気に入った。ダークな曲調が続く中、ラスト曲では歌ものの「The Very Thought of You」でホッとした気分にさせてくれる。
ということで演奏は100点満点というわけではないけれど、シガノフの音楽性やプレイ自体が好きなことに変わりはないし、録音もエンジニアがマイク・マルシアーノということで、近年のCriss Crossの平均的な音で録れているので、それなりには満足できた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Playing With The Wind
Misha Tsiganov
Criss Cross Records


--EDIT--

Steve Turre / The Very Thought of You

Steve Turre (Tb)
Kenny Barron (P)
Buster Williams (B)
Willie Jones III (Ds)
George Coleman (Ts)5 & 10
Russell Malone (G)2, 3, 8 &11
String Octet: 1, 5, 8 & 11
Marty Sheller (Arrangerand Conductor)
Randall Goosby (Vln), Valerie Kim (Vln), Brendan Elliot (Vln), Meng Jia Lin (Vln), Chloe Thominet (Viola), Jasper Snow (Viola), Khari Joyner (Cello), Marza Wilks (Cello)

Recorded Live on January 24, 2018 at Sear Sound Studio C, New York
Produced by Paul Stache
Associate Producer: Damon Smith
Recorded, Mixed and Mastered by Christopher Allen
Studio Assistant: Owen Mulholland
Photography by John Abbott
Design by Damon Smith and Paul Stache
Executive Producers: Frank Christopher & Paul Stache
(Smoke Sessions Records SSR-1804)

1. The Very Thought of You (Ray Noble) 5:18
2. September in the Rain (Harry Warren) 6:15
3. No Regrets (Steve Turre) 4:31
4. Carolyn (In the Morning) (J.J. Johnson) 6:23
5. Never Let Me Go (Jay Livingston & Ray Evans) 6:05
6. Sachiko (Steve Turre) 6:16
7. Freedom Park, SA (Steve Turre) 4:13
8. The Shadow of Your Smile (Johnny Mandel / Paul Francis Webster) 3:30
9. Time Will Tell (Steve Turre) 5:26
10. Yardbird Suite (Charlie Parker) 6:56
11. Danny Boy (Traditional / Frederic Weatherly) 3:53

スティーヴ・トゥーレのリーダー作はけっこうな枚数を所有しているのだが(うち「Steve Turre/Keep Searchin'(06年)」「Steve Turre/Delicious and Delightful(10年)」「Steve Turre / Woody's Delight(12年)」「Steve Turre / The Bones of Art(13年)」「Steve Turre / Spiritman(15年)」は別頁あり)、手を変え品を変えいろいろやっているわりには全面的に共感できるアルバムはなかったというのが正直なところ。本作ではメンバーがまず凄い。ジョージ・コールマン(新譜で聴くのは「Joey DeFrancesco/Live: The Authorized Bootleg(07年、別頁あり)」以来)、バスター・ウィリアムス、ケニー・バロンといった大御所が一堂に会しているのはプロデューサーの力だけではなく、トゥーレの人柄も大きく関係しているのだろう。彼らに加えラッセル・マローンまで参加していて弥が上にもワクワクするのだが、実際の演奏はストリングス入りのバラード曲(「The Very Thought of You」)でスタートしているのだからガッカリ。トゥーレがなかなかいい雰囲気で吹いているし、バロンのアドリブも流石ではあるけれど、せっかくこれだけのメンバーが揃っているのだから幕開けに相応しい曲を持ってきた方がよかったと思うけどね。2曲目「September in the Rain」は想像していたとおりのスウィンギーな演奏でルンルン気分にさせてくれるものの、3曲目「No Regrets」はまたバラードで、しかもトゥーレとマローンのデュオと、思っていたような演奏とは異なるし(これはこれでいい感じではあるけれど)、4曲目「Carolyn」、ストリングス入りの5曲目「Never Let Me Go」とバラード曲が続くものだから、どれだけ各人が曲調の範囲内で素敵なプレイをしていても、「私が望んでいるのはこういう演奏ではない」という気持ちが付き纏ってしまう。後半にはトゥーレとウィリー・ジョーンズIIIのデュオ曲(7曲目「Freedom Park, SA」)が用意されているとはいえ、この曲も基本的にはバラードだし、続く8曲目は楽曲自体が大好きな「いそしぎ」なので許せるとしても、2曲目やこれまた大好きな10曲目「Yardbird Suite」を除いてはあまりにもバラードバラードした作りとなっているものだから、ノリノリの演奏を想像していた私としては思い切り肩透かしを食らってしまった。
豪華なメンバーに釣られて買ったけど、最初からバラード集だと分かっていればパスしていた1枚。とはいえ演奏自体は決して悪くはないし、録音も各楽器(ストリングスも含む)がやっている音楽によくマッチしたハートフルな音で録れていて、それなりには楽しませてくれる。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Very Thought of You-Digi-
Steve Turre
Membran
2018-08-23


--EDIT--

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