Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

George Colligan / More Powerful

George Colligan (P)
Linda May Han Oh (B)
Rudy Royston (Ds)
Nicole Glover (Ts, Ss)
Rec. August 30, 2016, NY
(Whirlwind Recordings WR4708)

大好きなピアニストの一人であるジョージ・コリガンだが、本作ではデイヴ・ダグラス・クインテットのリズム隊であるリンダ・オー、ルディ・ロイストンと共演しているのだから大いにそそられる。おそらく「George Colligan / Ask Me Tomorrow(14年、別頁あり)」にも参加していたオーがロイストンをコリガンに引き合わせたのだと思うけど、マーヴィン・スミッティ・スミスの進化系として、非常にスピーディーなドラミングを武器に目覚しい勢いで活躍中のロイストンだけに、これまでのコリガンのリーダー作が比べものにならないほどの、まさにアルバムタイトルの「More Powerful」という表現がピッタリの演奏が期待できそうだ。もう一人のメンバーの女流テナー奏者ニコル・グローバーはこれが初聴き。本人のサイトがあるので、経歴等は後で目を通しておくとしよう。

全9曲がコリガンのオリジナル。
アップテンポの4ビートの1曲目「Whiffle Ball」から早くもロイストンが大暴れで、相当凄いことになっている。もちろんコリガンのテンションの高いピアノのカッコよさも相変わらずだし、グローバーの女性的なものは一切感じられないソプラノも素敵だし、これまた男性的にボトムをガッチリとキープしているオーのベースにも躍動感が漲っていて、もうこの1曲だけでも買ってよかったという気分にさせてくれる。そういうアグレッシブな曲ばかりだと聴き疲れしてしまうので、2曲目にはゆったりとした感じの16ビート曲「Waterfall Dreams」を配しているけれど、こういう曲調であっても決して甘口な演奏にはなっていないのがいかにもコリガンらしい。この曲ではグローバーが休んでいるけれど、その代わりにオーがソロでも大活躍しているね。3曲目「Effortless」は7/8拍子と5/8拍子の複合かな。複雑な曲調(非4ビート)の中、この曲でも休んでいるグローバー以外の3人がコンテンポラリーな演奏を繰り広げていて、これまた実にいい塩梅。グローバーのテナーも加わっての4曲目「Today, Again」は8ビート系。コリガンのアドリブ・フレーズに瞬時に反応するロイストンのドラミングが素晴らしいし、前2曲でもソロを取っているオーがこの曲でも力強いプレイで聴かせてくれるし、グローバーのテナーの腕前もなかなかのもので、この曲もまたいい感じで楽しませてくれる。5曲目「More Powerful Than You Can Possibly Imagine」は曲調自体が、私が大好きなモーダルな感じの4ビートなのだから、なんともたまらない。マッコイ・タイナーの「Passion Dance」あたりを連想させる曲だけど、流石にアルバムタイトルにもなっているだけあって、各人のプレイにもより一層気合が入っているね。特にグローバーの後期コルトレーンばりのブチ切れぶりには圧倒させられる。
文章が長くなってしまうので残りの曲は割愛するけれど、各人とも持ち味をフルに発揮しているおかげで、どの曲をとっても最高にいい感じで楽しむことができる。ただし録音(エンジニアはMichael Perez-Cisneros)に関してはイマイチだけどね。ドラムスが他の楽器よりも奥に引っ込んでいるせいで、ロイストンの特徴であるスピーディーなドラミングが不明調になってしまっているし、バスドラもよく聴こえないのが残念。でもそういう音的な不満を差し引いたとしても、本作は5つ星に充分値する。

評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


COLLIGAN, GEORGE
GEORGE COLLIGAN
MORE POWERFUL
2017-06-30


--EDIT--

Jasper Somsen Trio / A New Episode in Life Pt.1

Jasper Somsen (B)
Jean-Michel Pilc (P)
Andre Ceccarelli (Ds)
Rec. July 11, 2016, Mechelen, Belgium
(Challenge Records Cr73434)

Enrico Pieranunzi / Tales From The Unexpected(15年、別頁あり)」でも非常にいい仕事をしていたイェスパー・サムセン、アンドレ・チェッカレリが、大好きなジャン=ミッシェル・ピルクと共演しているのだから、本作を買わないわけにはいかないだろう。エンリコ・ピエラヌンツィとピルクとではプレイスタイルが異なるので、当然ながらリズム隊のアプローチの仕方も変わってくると思うけど、上記「Tales From The Unexpected」が初聴きだったサムセンはさておき、チェッカレリがピルクと一緒にやっているのも「Andre Ceccarelli/From The Heart(08年、別頁あり)」「Andre Ceccarelli, Jean-Michel Pilc, Thomas Bramerie / Twenty(14年、別頁あり)」ぐらいでしか聴いたことがなかったので、はたしてどういうことになっているのか楽しみだ。

全9曲がサムセンのオリジナル。
非4ビートがメイン。同じくピルクとチェッカレリの共演盤の上記「Twenty」と比べると、サムセン色が前面に打ち出されている楽曲も相まって少々面白みに欠けるけど、逆にいつもとは一味違ったピルクの端正かつリリカルなピアノが堪能できるので、これはこれで悪くはない。とはいえピルクの最大の特徴は先が読めない奇想天外さにあると思っているので、このいかにもといった感じのヨーロピアンなプレイにはどうしても物足りなさを感じてしまうけどね。チェッカレリがそんなピルクの引き立て役に回りながら、全然攻撃的ではないドラミングをしている(ドラムソロもなし)ことも要因となっているのだが、サムセンが意図したのがこういう演奏であるならば致し方ないだろう。そんな中、4曲目の「Blue Lady」は、ときたまグワーンとくる場面があったりしていい塩梅だけど、全体的には大人し目の演奏が続いているので、聴き終わった後には「このメンバーだったらもっと生きのいい演奏ができたはずなのになぁ」という変なモヤモヤ感が残ってしまった。肝心のサムセンのベースもいかにもヨーロッパ的で個性は感じられないし、似たような曲調が多いオリジナルの楽曲もまた同様で、サイド参加の上記「Tales From The Unexpected」とは異なり、リーダーとしてやっていくには力不足なのではと思ってしまった。
ということで想像していたのとは違う演奏だし、録音(エンジニアはFloren van Stichel)にもイマイチ生気が感じられないので、これは3つ星止まりにしておこう。パート2が出てもたぶん買わないと思う。

評価☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


New Episode In Life Pt. I
Jasper Somsen Trio
Challenge
2017-03-10


--EDIT--

Roberto Gatto Quartet / Now!

Roberto Gatto (Ds)
Alessandro Presti (Tp)
Alessandro Lanzoni (P)
Matteo Bortone (B)
Rec. October 1-2, 2016, Milano Italy
(Arbeat Records ABJZ172)

ロベルト・ガットの前作「Roberto Gatto Quartet with Avishai Cohen, Francesco Bearzatti and Doug Weiss / Sixth Sense(15年、別頁あり)」はコードレスだったけど、こちらの方はピアノ入りのワンホーン・カルテットなので、どんなことをやっているのだろうというワクワク感には欠ける代わりに安心感のある演奏が堪能できそうだ。メンバーのアレッサンドロ・ランツォーニはガットお気に入りのピアニスト。1992年生まれ(だと思う)とまだ若いながらも「Roberto Gatto and Lysergic Band / Pure Imagination(11年、別頁あり)」「Roberto Gatto, Alessandro Lanzoni, Gabriele Evangelista / Replay(12年、別頁あり)」では素晴らしいテクニックと音楽性でその上手さを見せつけてくれたのだが、そのランツォーニのリーダー作「Alessandro Lanzoni Trio / Dark Flavour(13年、別頁あり)」に参加していたベーシストがマッテオ・ボルトーネ(?、1982年生まれ)。これが初聴きのトランペットのアレッサンドロ・プレスティはランツォーニと同世代のような感じだけど、3人の若者を相手にベテランのガットがどのようなドラミングをしているのかが楽しみだ。

ガット曲が3曲、ランツォーニ曲が2曲、ボルトーネ曲が2曲、プレスティ曲が1曲、4人の共作が1曲、コール・ポーターの「I've Got You Under My Skin」、クリス・ポッターの「Tick Tock」、モンクの「Thelonious」で全12曲。
4ビートが中心。全体的にダークな雰囲気を醸し出しながらの演奏は、ある意味初期の頃のウィントンのカルテットにも通じるものがある。ファブリツィオ・ボッソを聴いたすぐ後なので、彼と比べるとプレスティのトランペットはテクニック的にもアイデア的にもイマイチではあるけれど、それなりのオリジナリティーがあるし、フレディ・ハバード的な華も持ち合わせていて実にいい塩梅。これでもっと細かいフレーズで攻めれるようになれば、かなりのところまで(アレックス・シピアギンぐらいまでは)行きそうな感じがするね。またそれ以上に素晴らしいのがランツォーニで、彼がアドリブを弾いた途端に演奏がますますカッコよくなるのだから大したもの。7曲目「Thelonious」での、モンクをリスペクトしながらのアドリブなんかも絶品だね。それに加えて、単にウォーキングだけには終わっていないボルトーネのベース(ソロの場面もけっこう多い)にも好感が持てる。肝心のガットはそんな3人を温かく見守りながらドラムを叩いている感があるけれど、それでもやるべきことはきちんとやっているので、物足りなく感じるようなことはない。ドラムソロがないのは少々残念だけどね。楽曲はどれもがみんないいのだが、その中でもモーダル臭がプンプンする2曲目「Lost」(ボルトーネ曲)、モンク的な曲調の5曲目「Moom」(ガット曲)、モンク曲の7曲目「Thelonious」、非4ビートの8曲目「May」(ボルトーネ曲)、3拍子の10曲目「Brendy」(ランツォーニ曲)が特に気に入った。
本作は演奏だけではなく、録音(エンジニアはGabriele Simoni)も各楽器が過不足なく良い音(音楽的な)で録れていて、それがまたやっている音楽にもよくマッチしていて上々だ。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


Now!
Roberto Gatto
Abeat For Jazz
2017-06-29


--EDIT--

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