Jazz & Drummer

ジャズ・フュージョンの新譜や好きなドラマーのことなど音楽98%、感じたままに書いている個人ブログです。

Will Vinson / It's Alright With Three

Will Vinson (As, Ss)
Gilad Hekselman (G)
Antonio Sanchez (Ds, Per)

Produced by Gerry Teekens
Recording Engineer: Michael Marciano
Mixing: Max Ross
Recorded: September 20, 2017
Recorded at Systems Two Recording Studios, Brooklyn, N.Y.
Photography: Jimmy Katz
Cover Design: Gerry Teekens/Bloemendaal in Vorm
(Criss Cross 1399)

1. My Shining Hour (H. Arlen) 7:21
2. The Pines (W. Vinson) 5:57
3. It's Alright With Me (C. Porter) 8:47
4. Samurai Hee Haw (M. Johnson) 6:38
5. Where Are You? (J. McHugh) 7:20
6. Resting Jazz Face (W. Vinson) 6:32
7. Down Homeless (S. Vinson) 4:19
8. Nobody Else But Me (J. Kern) 9:01

ギタリストではジョナサン・クライスバーグやラーゲ・ルンドとの共演が多いウィル・ヴィンソンだけど、本作ではヴィンソンと同様アリ・ホーニグのバンドの常連組ではあるも、アルバムで一緒にやっているのはこれまで聴いたことがなかったギラッド・ヘクセルマンと共演しているのが興味深い。しかもドラムが現代最高峰のアントニオ・サンチェスなのだから、ヘクセルマンもサンチェスも大好きな私としては期待に胸が高鳴るのだが、実際の演奏が思ったほどイケイケではないのは、ヴィンソンの音楽性もあると思うけど、それ以上にベーシストがいないことによりヘクセルマンがギターでベース的なパートも受け持っていることの方が大きく関係している。そのためにヘクセルマンには奏法上の制約が生じていて、ホーニグのバンドのときのような反応の素早いプレイはできなくなってしまっているし、サンチェスもまたベーシストの代わりに土台を支える必要があるので、ドラムソロや一部の場面以外はこれでもかというほどのアグレッシブなプレイはしていないのが物足りなく感じる点。とはいえドラムソロのスペースは多めに用意されているし、4曲目ではまさか今の時代に聴けるとは思ってもみなかった、Bass Desiresやジョンアバ絡みの演奏で大好きだったマーク・ジョンソン曲「Samurai Hee Haw」をやっていたりして(この曲や以降の曲でのヘクセルマンはオーバーダブなのかリフのループ音に被せているのかは定かでないが、ロック調のトーンでギンギンに弾いていたり、ビル・フリゼール的なエフェクターを用いていたりもする)、曲が進むにつれてそんなこともどうでもよくなるけどね。変則的なトリオなのに、スタンダード曲に対する演奏の持っていき方が意外とオーソドックスなのにも不思議な魅力を感じる。でもゆったり目のテンポの曲が多いので、どうせやるのならヘクセルマンやサンチェスの持ち味を生かしたスリリングな展開となっている曲がもっとあってもよかったのではと思う。
本作は期待していたような演奏とは異なるものの、ヘクセルマンとサンチェスのプレイは曲調の範囲内では堪能できるし(ヴィンソンは二人の強烈な個性に埋もれてしまっているような気がするけれど、「It's Alright With Me」にでも掛け合わせたのか、本人がアルバムタイトルとなっている「It's Alright With Three」と思っているのであればそれでよし)、録音も近年のCriss Cross盤同様上々なおかげで、聴き終わった後にはそれなりの充実感を味わうことができた。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)

It's Alright With Three
Will Vinson
Criss Cross
2018-05-18



--EDIT--

Tia Fuller / Diamond Cut

Tia Fuller (As, Ss)
Adam Rogers (G)
Sam Yahel (Or) 2, 7
James Genus (B) 1-3, 6, 10, 12
Dave Holland (B) 4, 5, 7-9, 11
Bill Stewart (Ds) 1-3, 6, 10, 12
Jack Dejohnette (Ds) 4, 5, 7-9
Terri Lyne Carrington (Per) 7, 8

Producer: Terri Lyne Carrington
Executive Producer: Gretchen Valade
EVP of A&R: Al Pryor
Production Manager: Will Wakefield
Production Manager for EP/LPG: Margo M. Davis
Recorded at: The Clubhouse, Rhinebeck, NY
Recording Engineer: Paul Antonell
Assistant Recording Engineer: Ru
Mixed at: Sear Sound, New York, NY
Mixing Engineer: Jeremy Loucas
Mastered by: Paul Blakemore
Photography/Wardrove Stylist: Jerris Madison
Photography Assistant/Set Design: Steven Blank
Makeup: Samantha Reese
Art Direction + Design: Raj Naik
Creative Services + Production: Maria Ehrenreich
Rrosuct Manager: Sharon Green
(Mack Avenue Records MAC1127)

1. In The Trenches 6:17
2. Save Your Love for Me 5:37
3. I Love You 6:21
4. Queen Intuition 5:58
5. Joe'n Around 4:13
6. Crowns of Grey 5:53
7. The Coming 6:56
8. Soul Eyes 5:39
9. Delight 5:00
10. Fury of Da'Mond 3:58
11. Tears of Santa Barbara 4:22
12. Joe'n Around (altarnate take) 3:07
All songs written and arranged by Tia Fuller
except "Save Your Love for Me" witten by Buddy Johnson, arranged by Warren Wolf
"I Love You" written by Cole Poter, arranged by Tia Fuller
"Soul Eyes" written by Mal Waldron, arranged by Tia Fuller

Tia Fuller / Angelic Warrior(12年、別頁あり)」に次ぐ、ティア・フラーの5枚目のリーダー作。今回はボス的存在であるテリ・リン・キャリントンのプロデュースの元、これまでとはメンバーを一新しているのが興味深いのだが、アダム・ロジャース、サム・ヤエル、ジェームズ・ジナス、デイヴ・ホランド、ビル・スチュワート、ジャック・ディジョネットの、そうそうたる面々によるレコーディングだけあって、実際の演奏も1曲目「In The Trenches」からアップテンポな4ビートでガツンといっているのがいい塩梅。メンバー各人の個性的なプレイに埋もれることなく、フラーがきちんと自己表現ができているのには、ここ5~6年の成長ぶりが感じられるし、オリジナルをメインとしながらの動と静のバランスもビート的なことを含めて悪くないのだが、しいていうならブチ切れている場面がもっと多い方が、バンドとしてもより熱い演奏が楽しめていたかもしれない。楽曲としては1曲目の他に、最初の部分がディジョネットとの対話的なデュオとなっていて、途中からはホランドも入ってくる5曲目「Joe'n Around」、スタンダードナンバーと勘違いしてしまうほどに上質な曲作りとなっているバラード曲の6曲目「Crowns of Grey」、いかにもコンテンポラリージャズといった感じのカッコいい曲調の中、ロジャースがジョンスコ的なアプローチを見せている10曲目「Fury of Da'Mond」、5曲目「Joe'n Around」の別バージョンをジナス、ビルスチュ組とやっている12曲目「Joe'n Around (altarnate take)」が特に気に入った。7曲目「The Coming」の出だしと終わりの部分や、続く8曲目「Soul Eyes」にはキャリントンがパーカッション(皮もの)で参加しているけれど、それもまたサウンド上のいいアクセント。他の曲も概ねいい感じで楽しめるのだが、2曲目「Save Your Love for Me」だけは、確かにケニー・ギャレットあたりもこのような大衆受けしそうなソウルフルな演奏をしていることがあるし、純ジャズ一辺倒ではないフラーがそういうのをやりたい気持ちも分かるけど、この曲だけ雰囲気が異なっているので、カットした方がアルバムとしての統一感が取れてよかったのではと思う。
フラーのプレイは「Angelic Warrior」以降も、「Terri Lyne Carrington / Money Jungle: Provocative In Blue(13年)」「Dianne Reeves / Beautiful Life(13年)」「Ralph Peterson / The Duality Perspective(13年)」「Terri Lyne Carrington / The Mosaic Project: Love and Soul(15年)」「Mack Avenue SuperBand / Live From The Detroit Jazz Festival 2014(15年)」「Lewis Porter / Beauty & Mystery(18年)」(各別頁あり)で聴いているけれど、全曲に参加しているアルバムはそんなに多くはなかったので、本作では久しぶりに彼女の魅力をたっぷりと堪能できた。流石にこれだけのメンバーだけあって演奏が良いのに加えて、録音も各楽器がやっている音楽によくマッチした骨太な音で録れていて、オーディオ的にも満足させてくれる。

評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)


DIAMOND CUT
TIA FULLER
MACAV
2018-05-25


--EDIT--

(HMV)
1. Peter Erskine Dr Um Band / On Call
2. Buster Williams / Audacity
3. John Coltrane / Both Directions at Once: The Lost Album Deluxe (2CD)
4. Matt Penman / Good Question
5. Stanley Clarke / Message
6. Black Art Jazz Collective / Armor Of Pride
7. J.D. Allen / Love Stone

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--EDIT--

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